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名状しがたいメイドのような物語。さく裂っ、メイド殺法っ!!   作者: トウフキヌゴシ
登場、”ルリ”と言う名のメイド。

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メイドフリッカージャブ。

「ねえ、ルリ、漫画や小説ってなんで最初にドラゴンを倒すんだろっ」

 

 カウンターの向こうに座った女性が、手に持った漫画をひらひらさせながらに言った。

 ピンク色の髪にギルドの制服。


「知らないわ。 エリザベス、高度に政治的な理由でもあるんじゃない」

 興味がないので適当に答えた。

 今、私はドラゴンの討伐の報告をしに、冒険者ギルドに来ている。

 エリザベスとの付き合いは長い。


()()()()の受け取りはギルドの裏で良いわね」


 チャリッ


 ギルド登録証であるドッグタグを彼女に渡す。

 

 ここのギルドも食堂兼酒場が併設されていた。 


「おおっとお⤴」

「メイドさんですよ~」

「げへへへ」

 酒の匂いをぷんぷんさせながら、小中大の三人の男が近づいて来た。

 三人ともモヒカンである。


「ふう」

 私は軽いため息をつきながら、背を伸ばす。

 顎を少し引いて、両手をお腹の前に重ねた。


 メイド殺法さっぽうその0、”メイド立ち(スタンディング)”の姿勢をとる。


 百八あるメイド殺法さっぽうの基本姿勢であり、ここからメイド殺法さっぽうが繰り出されるのだ。


「おお。 可愛い」

「美人さんだあ」

「こっちに来てご奉仕しろよお」


 中くらいのモヒカンが腕を伸ばしてくる。


 スッと避けた。


「メイドに触っていいのはご主人様のみっ」


 ご主人様にお手つきされて、やたら待遇の悪い令息や令嬢を産んで、若死にするまでがテンプレートだ。


「こ、こいつ」

「逃げるんじゃねえよ」

 中くらいのモヒカンが両手でしがみついて来た。


「百八あるメイド殺法さっぽうその26、”メイドフリッカージャブ”ッ」


 ヒュン

 スパアン


 私の右手が鞭のように伸びた。


「う、うわっ」

 パタパタア

 私の拳が、中くらいのモヒカンの鼻先をかすり鼻血を出させる。


「こ、こいつう」

 次は小さいモヒカンだ。


 ヒュヒュヒュヒュ

 パパパパパパアン

 

 私は、右腕を、蛇のように、鞭のようにしならせジャブを連発する。


「う、うわあああ」

 小さいモヒカンに、拳が当たった所が、みみず腫れになった。


「くそっ、どけっ」

 小さいモヒカンを押しのけながら、大きなモヒカンが飛び込んでくる。


「百八あるメイド殺法さっぽうその27、”メイドチョッピングレフト”ッ」

 左手で大きく、上から下へ振り下ろす様なパンチを放つ。


 ドグンッ


 金属バットで古タイヤを叩いたような音を出した。

 大きいモヒカンが白目をむいて倒れる。


「ひいいいい」

「あ、兄貴い」


 小中が大モヒカンを抱えて逃げていった。


「あ~あ、あいつら最近ここに来たんだよ」

「よりにもよって、”ランクS”のルリに絡むなんてな」


 私は、メイド立ち(スタンディング)しながらうっすらと口元に笑みを浮かべた。







 





メイド殺法さっぽうその0、”メイド立ち(スタンディング)

メイド殺法さっぽうその26、”メイドフリッカージャブ”

メイド殺法さっぽうその27、”メイドチョッピングレフト”

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