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名状しがたいメイドのような物語。さく裂っ、メイド殺法っ!!   作者: トウフキヌゴシ
飛来、メイドラゴンナイト。

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17/33

メイドヨガテレポート

 今自分は、ルリさんと出会った街にいる。

 この街を拠点にして付近の町や村に、メイドさんを探しに、もとい、行商に行っているのだ。

 行商に行ってしばらくぶりに街に帰ってきた。

 ギルドの酒場を見回す。


「おや、ルリ様はいないのですね」

 ギルドの受付嬢である、エリザベスに聞いた。

 大体、お茶をしているのだ。 

 

「行き違いになったようね」

「緊急ミッションが起きたのよ」

 エリザベスが答える。


「緊急ミッションですか?」


「そ、魔鉱石の鉱山都市の山道に、土砂崩れが起きてね」

「土砂崩れの調査と支援物資を届けに行ったわ」


 メイドインベントリは優秀である。

 ――ルリさんのインベントリなら倉庫一戸分くらいは入るのでは


「そういえば」

「あなたもインベントリ持ちよね」


「はい」

 ――飛竜との契約によるものだが


「追加の支援物資を運んでいただけないかしら」

 商人だが一応、冒険者登録はしているのだ。

「ルリに会いたいのでしょ」

「飛竜なら追いつくわよ」


「……わかりました、行ってきます」


 裏にある運動場で支援物資を受け取る。

 

 ブワサッ


 自分の飛竜であるジラントにまたがり、街を飛び去った。



 ジリリン、ジリリン


 その時、ギルドのモールス信号が鳴った。

 エリザベスがモールス信号の装置をカウンターの上に出す。

 耳にヘッドホンを当てた。


 ツー・トン・ツ―


「ふんふん」

 モールス信号を読み取り、紙に書いていく。

「何ですってえ」


「……土砂崩れは未確認のモンスターが原因かもしれないと……」  

 ――ルリが危ないっ


 バッ


 エリザベスは、外を見上げる。

 小さくなっていく飛竜の背中を見た。


「ルリを頼むわよ、メイ竜騎士ドラゴンナイト


 商人にメイド殺法さっぽうは使えない。

 アレクの正体がメイ竜騎士ドラゴンナイトと気づいていないのは、ルリだけのようだ。



「う~ん、なんか嫌な予感がするなあ」


 バサリ、バサリ


 今自分とジラントは、鉱山都市に通じる街道の上を飛行している。


「行商先の噂では、山で大雨とか降ってないんだよなあ」

 ――土砂崩れの原因は何だろう?


 街道上をルリさんを探しながら飛行。

 さすが、ルリさんクラスのメイドだ。

 飛竜の翼を持ってしても追いつけない。

 街道は、山道の分岐に入った。

 魔鉱石は重要な資源。

 山道と言っても、馬車二台分くらいの広さがある。


「ふ~む、なおさら土砂崩れはあやしいなあ」

 

 山道の左右を高い山がそびえる。


 土砂崩れが見えて来た。


「あっ」

 メイド服の女性を見つける。

 ルリさんだ。

 山道は、土砂崩れで岩だらけである。

「ルリ様っ」

 飛竜の高度を下げてルリさんに声をかけようとした。

 その時、


 ガラリ

 ガラガラッ


 周りの岩から細長いものがたくさんそそり立った。


「「ロックワームッッ」」


 二人は同時に叫んだ。


 メイドの境地はヨガの境地にも通ずるっ(キリッ)。


「くっ、百八あるメイド殺法さっぽうその24、”メイドヨガテレポート”ッ」


「ヨガッ」


 ルリさんが空中で半跏座を組んだ。

 少し離れた所に現れる。


「うおお」

 自分はジラントを急上昇。

 ギチギチと丸い口の中の牙を鳴らしながら、複数のワームが追いかけてくる。

 逃げ切った。


「群れだっ」


 空から、岩の間をたくさん動くワームを見る。


 土砂崩れの原因は、ロックワームの群れだった。







メイド殺法さっぽうその24、”メイドヨガテレポート”

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