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小さな王子様への告白。②



 どうしよう。

 ラッザに好きだと口にしてしまった。


 私がこんなことを口にするなんてラッザは思っていなかっただろうし。

 冗談だってごまかす?

 ううん、……私がラッザのことが好きなのは本当の気持ちだもの。


 この気持ちは嘘なんかじゃない。

 ここで冗談だよなんてごまかすのはなんだか違う気がする。それにそれはラッザに対しても誠実じゃない。


 好きな人に対して、誠実じゃないことをするなんて嫌だわ。そんなことをしたら取り返しのないことになると思う。





「ねぇ、ラッザ。急にこんなことを言われて、気持ち悪いとか、困るとか、いろいろ思うかもしれないけれど。というか、こんな年上の女が何言ってんだって感じだろうけど」



 私がラッザの立場だったら、ずっと年上の人にこんな風に突然言われたら相手にもよるだろうけれど困ってしまうだろう。……私はそういうことを、ラッザに言おうとしている。

 ああ、これでラッザにひかれてしまったらどうしましょう?


 そうしたら私の恋は、破れてしまうことになるけれど……。


 でも年の差があろうとも、好きだと思っているのだ。

 ラッザだからこそ一緒に居たいと思っている。





「私ね、ラッザのことが好きよ。ラッザと一緒に居られるだけで私は幸せで、ラッザと一緒に居たいって思っているの。本当はね、ラッザが大きくなるまでいうつもりなかったのだけど、でも……ごめんなさい、急に。でも好きなの」



 大好きだなってそう思っている。

 ラッザが大きくなるまでこういうことを言うつもりはなかったのに。まだ子供のラッザに何を言っているんだって感じだろうけれど、私はラッザが好き。

 そう思って仕方がない。


 だから誰かと婚約とか、結婚とかする気が本当にないの。



 私の告げた言葉に、ラッザはぽかんとした顔をした後、顔を赤くした。

 顔を赤くしたラッザも凄く可愛い。可愛くて思わず興奮してしまいそうになって……ちょっと自分の心を落ち着かせようとする。

 いや、だってね、興奮した時のお母さんと似たような感じの興奮? それを私が抱いている感じだったもの。





「ラッザ、ごめんね? 困らせているよね?」

「え、いや、違うよ!」

「え?」


 困らせているんだろうなって思って告げた言葉は、ラッザに否定された。

 驚いた私の言葉に、ラッザは顔を赤くしたまま言う。




「僕もメリちゃんのこと、大好き!」

「え?」

「メリちゃん、すごく可愛いし、努力家だもん。だからメリちゃんが誰かと婚約して一緒に居れなかったら寂しいなって思ってたんだよ。だから、嬉しいって思う」

「ほんとう?」

「うん。でも……僕、メリちゃんより七歳も年下だし……って思ってたから。メリちゃんが僕のこと、好きって言ってくれて嬉しい」

「ふふ、私もラッザより七歳も年上の、言ってしまえばおばさんみたいなものでしょ? だからその……ラッザはもっと同じ年の子がいいのかなって思っちゃってたの」

「メリちゃんはおばさんじゃないよ。可愛いもん」



 ……ラッザは結構さらりとこういうことを言うから私はいっぱいいっぱいになる。

 それにしても夢じゃないよね? ラッザが私のことを好きって言ってくれているんだけど。

 なんか実感したら一気に顔が赤くなってきた。



「メリちゃん?」

「ああぁあ、ちょっと見ないでね。ラッザが私のことを好きだって言ってくれたんだなって、こう、落ち着かないだけよ」

「ふふ、メリちゃんってやっぱり可愛いね」


 うん、ますます顔が赤くなるわ!

 それにしてもこれ、両想いってことよね?



「ねぇ、ラッザ……えっと、ラッザが大きくなるまで私は待つわ。その頃には私もっと年取っちゃうけど、その時にラッザが私のことを好きでいてくれていたら、結婚しましょう。でもあの……ラッザが大きくなるにつれて、私以外の人を好きになったとか、結婚したい人が出来たとかだったら、はっきり言ってね?」

「うん。メリちゃんも……もし、誰かと結婚したいとかなったら言ってね。僕がメリちゃんと同じ年頃だったらよかったのになぁ。メリちゃんのこと、すごく待たせちゃう」



 しゅんとした顔をするラッザ。

 その顔を見ると、慌てて私は言う。



「ラッザ。そんな顔しないで大丈夫よ。私はラッザだから好きになったのよ。同じ年だったらそもそも出会ったかも分からないでしょ? ラッザがラッザだから出会えて、私が好きだと思ったのよ。だから、ラッザ、大きくなっても私を好きでいてくれたら私の旦那さんになってね?」

「うん。メリちゃんも、僕が大きくなった時に僕のことをまだ好きでいてくれたら……僕のお嫁さんになって」

「ええ。もちろんよ」




 私とラッザは、そんな約束をした。



 私は十四歳。

 ラッザは七歳。



 ――そんな私たちの約束を、周りは子供だからっていうかもしれない。でも私たちは本気だし、私はラッザが大きくなるまでまとうと思う。

 もしラッザが大きくなって私以外を好きになったとしても私は後悔なんてしないもの。だから、私はずっと、ラッザをまとうと思う。





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