表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/21

小さな王子様への告白。①

 私は相変わらずラッザと仲良くしている。

 ラッザのことを知れば知るほど私は好きだという気持ちが溢れている。

 


 人を好きになることに、年齢は関係ない。

 ただ好きなら好きなのだ。

 まだラッザは子供だけれども、それでも私はラッザのことが好きで、ラッザと一緒に居られるとどうしようもなく幸福だと思った。



 好きな人とだからこそ、どんな時間だって嬉しくて一緒に居られるだけで本当に嬉しくて仕方がない。

 お母さんたちもこういう気持ちを感じているのかな? まぁ、私がそういう話題を振ったら私が誰かに恋したの知られちゃうから聞かないけど。親にそういう気持ちを知られるのってちょっと恥ずかしくない?



 そんなことを思いながらもラッザとのんびり過ごす。

 ラッザは私が遊びに行くと、嬉しそうに笑ってくれる。

 私はその顔を見て、声を聞けるだけでどうしようもないほど幸せな気持ちになる。



 ラッザはきっと私がラッザのおかげでこういう気持ちになっていることも知らないだろうなと思う。


 それにしても恋をするって不思議だわ。

 私は双子の姉であるマリッサが一生懸命恋をしているのを見て、不思議な気持ちになっていたのにすっかり今は私も恋をしてこうなっているのだもの。




「メリちゃん?」

「……」

「メリちゃん、聞いてる?」

「はっ、ごめんね。ラッザ。ちょっとぼーっとしていたわ」



 折角ラッザが話しかけてくれていたのに、私はぼーっとしてしまっていたわ。

 だって、ラッザが私に話しかけてくれているだけでどうしようもないほど幸せで、私はその幸福に浸りすぎると時々ぼーっとしてしまうのだ。



 それにしても「もう、仕方ないなメリちゃんは」とそんな風に笑うラッザのことが私はやっぱり好きだなぁと思うのだ。

 ずっとずっと……この穏やかで、素敵な時間が永遠と続けばいいのに、なんてそういう気持ちでいっぱいになる。



 そういう気持ちになっていた私なのだけど、仮にも年頃の令嬢なので社交界に出なければならなかったりする。

 ……お母さんなんて、私ぐらいの年の頃は戦争中で忙しく動いていたって話だもの。そして戦争を終えて爵位をもらってからは社交界になんてあまり出ていなかったって。それはお母さんがそれだけ凄い存在だったから。

 普通だったら社交界に出ないことは褒められたことではないし。そもそもお母さんって王族相手にもため口だし。その辺はやっぱりお母さんがこの国でほかに変えられない唯一無二の英雄だから。



 パーティーなどは、正直言ってそこまで好きではない。

 お母さんとお父さんに近づきたい人が多いもの。友人がいないわけではないけれど、そういう友人以外の人の方が寄ってくるのは面倒なのよね。

 ソルは冒険に出かけているからともかくとして、一つ下の弟のラトは社交界デビューしたらきっと女性に囲まれて大変でしょうね。


 ……マリッサが片思いしていることは有名なことだから、特定の人がいないと思われている私の方に結構男性が来るのよね。

 マリッサに男性が寄っていったとしても、ジェズアルド様へののろけを言われて終わるとかそんな感じだもの。本当にマリッサはぶれないから。

 私も同じように出来たら楽なのだけれども……。でも流石にあれだけ年下の男の子が好きなんだって言ったら、私はおかしいとかいろいろ言われてもいいけれどラッザが何か言われるのは嫌だもの。

 ラッザに迷惑をかけたくないから、ラッザへの気持ちを胸にしまっておいた方がいいものね。




 だってラッザが私に対してどういう気持ちを抱いているのかも分からないし、まだ子供のラッザは考えるだけでも悲しいけれども私じゃなくて同じ年の女の子と恋仲になることもあるだろうし、そうなると私がラッザのことを好きだっていうそういう噂が出回っているだけでも邪魔になるもの。



 私は《炎剣帝》マリアージュ・フロネアと《光剣》グラン・フロネアの次女。だからこそ、私の言動は常に周りから注目を浴びているといっても過言ではない。英雄である両親の娘であるということは、そういうことなのだ。



 社交界は結構疲れてしまう。あと婚約の申し込みの手紙とかも来たりするし。まぁ、全部断ってもらっているけれど……。









「メリちゃん、疲れてる? 大丈夫?」


 社交界の後に、ラッザに会いに行ったらラッザに心配されてしまった。

 


 私の小さな王子様は優しくて、私のことをよく見てくれていて……。

 だから私はやっぱりラッザのことが好きなんだなぁと思う。



「ふふ、ちょっと社交界で疲れちゃったの」

「社交界かぁ。大変なの?」

「そうね。色んな人が話しかけてくるからちょっと大変だわ。結構婚約者を作るためにってギラギラしている子も多いしね」


 私がそう言ったらなぜだかラッザが悲しそうな顔をした。



「ラッザ、どうしたの?」

「……えっと、この前友達にメリちゃんに婚約者が出来たら、メリちゃんが遊びに来ることもなくなるって言われたから、そうなったら寂しいなぁって」


 ……誰よ、そんなことを言ったのは!



「そんなことはないわ」

「……でもメリちゃんも、誰かと婚約して結婚するでしょ?」

「……私が好きなのはラッザだもの! ほかの人と婚約なんてしないわよ!」



 はっ、思わずラッザの悲しそうな顔を見てそんなことを言ってしまった!

 私の馬鹿! と思った時にはもう遅かった。




 






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 自爆的な告白 ( ^ω^ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ