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小さな王子様と一つ下の弟の話 ②




「可愛いわね!!」

「マ、マリアージュ様、こんなに買ってもらうのは……」

「問題ないわ。なんだかこう、とってもおしとやかな感じでよいわ!!」



 実家にラッザと一緒に顔を出したら、お母さんがラトのお嫁さんになるペネローラに可愛い可愛い言っていた。

 私たち娘たちも、ソルのお相手のケーシィも自分で戦える力を持っていて、普通の令嬢とはだいぶ違う。それに比べてペネローラは、なんというかラトのお相手なのに良い意味で普通というか。最強の英雄であるお母さんからしてみればペネローラは、少し触れたら壊れてしまいそうな小動物? みたいに見えているみたい。



 私はソルとケーシィの娘のシィルネにも会いたいしとラッザとよく最近、フロネア伯爵領にちょくちょく顔を出している。

 少しずつ大きくなっていくシィルネが可愛いのよね。





「お母さん、あんまりペネローラにかまいすぎると嫌われるわよ」

「え、嫌だわ。ペネローラ、嫌だったらいってね」

「え、嫌ではないですよ。でもちょっと恐れ多いというか……」


 私が口出しすれば、お母さんが慌ててペネローラを見て、ペネローラが否定する。

 ペネローラは本当におとなしい子よね。でもそれでも自分でお金を貯めて大変な状況を抜け出そうとしていたそうなので、芯は強い部分があるんだろうなと思う。というか、そういう子だからこそ、ラトは惚れたのかなと。



 ペネローラも、私とラッザのことを応援してくれていてそれも嬉しかった。



「恐れ多いなんて思わなくていいのよ。だって私の娘になるんだもの。幾らでもお金は使うわよ。そもそも遠慮は本当にいらないからねー」


 お母さんはそんなことを言いながらペネローラに向かって笑っている。


 お母さんって、結構色々甘やかす面もある。でもいざ怒る時は本当に怖いのよね。ペネローラもお母さんとお父さんにとって許せないことをすれば多分その怒りを目の当たりにするのだろう。まぁ、ペネローラは苦労してきたからこそお母さんによくされても驕ったりしなさそうだけど。


 それにしても私の兄妹たちって見る目あるわよね。

 なんだろう、英雄である両親の子供である私たちと縁が出来てもそのことで何か驕ったりしないっていうか。人によっては英雄の身内だからって自分も英雄のように感じる人もいるのよね。

 そういう人は本当にダメだと思うわ。だって自分のことじゃないのに、自分が偉くなったつもりの人はどうかと思うもの。





「あ、ラッザも何かいる? 私が何か買ってあげようか?」

「僕は、何か欲しいっていうよりマリアージュ様に鍛えてもらいたいです」

「まぁ、可愛い! いいわよいいわよ。ついでに倉庫で眠っている剣でもあげようか? 戦争で使ったやつとかあるよ?」



 お母さんはラッザに向かってだらしない顔をしていた。

 私のラッザは可愛いわ。それに自分からお母さんに鍛えてほしいっていうなんて、本当に向上意欲がすごくてかっこいいわ。


 そしてお母さんは、有名な武器とかをぽんってあげようとしないで……。

 



 ペネローラは、さっそく訓練に向かうお母さんとラッザを見て笑っている。



「メリッサさん、ラッザ君は凄いわね」

「ふふ、そうなの。私のラッザは凄いの。ペネローラは、ラトのどんなところが好きになったの?」

「ど、どんなところって、なんだか恥ずかしいわ。優しくて、家族思いなところも好きだわ。それに……私を攫ってくれた時、王子様みたいで本当にかっこよかったの」

「ラトが王子様かぁ。なんだか姉の私からしてみたら中々想像できないけれど、ペネローラにとっては王子様にしか見えないのよね。ラトを思いっきりからかえそうだわ」



 ラトが王子様かぁ、と面白い気持ちになってしまう。

 私からしてみれば弟の一人としか見えないけれど、ペネ視線だと王子……うん、でも私もラッザのことを王子様って思っているから女の子からしたら好きな人は全員王子様よね!


 こうやって恋話をするのもとっても楽しいわ。




「本当にフロネア伯爵家の皆さんは仲良しよね。私がその一員になれるだなんてなんだかここで過ごしていても夢みたいだわ」

「夢じゃないわよ。これからペネローラは正式に私の妹になるのよ! 皆に祝福されてのものになるからね」


 そう言ったら、やっぱり夢みたいだと言ってペネローラは笑った。



 ペネローラは元夫たちに憎しみとかはなさそうなんだけれど、お母さんは張り切っている。あとラトも張り切っている。……お母さんはこのままラトとペネローラが結婚した後に子供が出来ればとどめをさせるって思ってそう。


 それにしても私もペネローラのことは気に入っているから、ペネローラにひどいことする人は撲滅なのよ!

 ペネローラの元家族たちもだいぶ落ちぶれているみたいだしね。

 お母さんってこの国への影響力が半端ないしね。




 それから二か月後に、ペネローラはラトと結婚式をあげた。

 その幸せな結婚式を見て、私も幸せな気持ちになった。


 ラトにはペネローラを悲しませないようにとは散々言っておいた。

 ラトは「当たり前のことだよ」って言っていた。さらっとこういうこといっちゃうのが私の弟って感じね。




 


 

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