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小さな王子様と初めての姪っ子と ①



「ソルが……子供作って帰ってきたぁ!?」


 私が思わず手紙を見て、叫んでしまったのも無理はない話だと思う。

 つい二年前に、ケーシィたちと一緒にまた旅立ってしまったソルが……ケーシィが妊娠したとかで帰ってきたらしいという手紙を受け取ったからである。

 ちなみにケーシィの妹分であるミレーナとアレーナは結婚してとある街に根付いてしまったらしく、今は二人旅をしているという話である。


 ……ソルってまだ十五歳なんだけど。それで親になるってこと?? 私はてっきりマリッサの子供の方が早いと思っていたからびっくりした。

 ちなみに冒険者としてぶらぶらしていた二人は特に結婚式というものもしていなかったらしく、お母さんがそれを聞いて結婚式をするのよ! と張り切っていた。


 ケーシィはお母さんにあこがれているのもあって、「マリアージュ様が言うなら」とうなずいていたし。

 ルドさんは卒倒してしまったんだとか。二年もあえてなかったのに、いや、あえてなかったからこそルドさんはケーシィに対して愛情がまた深まっていたみたいだから。

 ……うん、その様子きっと面白かったんだろうなぁ。



 私も二年ぶりにソルたちに会いたいし、ラッザのことも紹介したいしというわけでラッザと二人でフロネア伯爵家の屋敷に向かった。




「シィ!! 妊婦なんだから動いちゃダメだぞ」

「お兄様……ちょっと歩いているだけで何を言っているの? 大丈夫よ?」



 屋敷に戻ったらルドさんがケーシィに向かって、心配そうに色々言っていた。

 ルドさんは今、文官としてフロネア伯爵領で働いているのだけど、ケーシィのことが心配でずっと屋敷に泊まり込んでいるらしい。あと聞い使用人たちから聞いた話では、ソルを見た瞬間、「君が私のシィを……」と大泣きしていたらしい。ソルと一緒に酒を飲み明かしたんだとか。というかルドさんが絡んでいたが正しいようだが。

 家族仲が良いことはとってもいいことなのだけど、私の両親や兄弟がそうでなくてよかったと思った。だって、仮によ? 例えば物語であるように「俺を倒して娘を奪っていけ」的な感じだったら絶対私たち結婚出来ないじゃない。

 弟たちだってすごく強くて、並の人だと勝てないし。



 



「ケーシィ、久しぶりね。この子がラッザよ。私の王子様なの」

「ラッザです。よろしくお願いします!」


 ラッザはにこにこしながら、ケーシィに挨拶していた。


 それにしてもケーシィは元々私の一歳年下と思えないぐらいに大人っぽくて、色っぽかったけれど……なんだかますますすごくなってる? 人妻味が増しているというか、結構妖艶というか。

 一見すると男慣れしてそうに見えるけれど、ケーシィって可愛いほうなのよね。


 

 それにしてもケーシィのおなかに赤ちゃんがいるなんて不思議だわ。

 出産と子供が小さいうちは屋敷にとどまる予定らしいわ。じゃあ数年は居てくれるのねって楽しみになった。ルドさんなんかはずっといればいいって言ってたけど、ソルもケーシィも冒険者として動くのが本当に好きなのよね。だからちょっとしたらまた冒険に行くんだって言ってた。


 本当にソルって、十一歳から家を出ているのもあって、すっかり貴族らしくないわ。社交界デビューとかも興味ないみたいだし。まぁ、家にいるうちは何回かパーティーには参加させるってお父さんが言っていたけれど。


 

 マリッサもジェズアルド様と一緒に住んでいる住まいから慌てて屋敷に帰ってきていたわ。マリッサもソルがケーシィを妊娠させて帰ってきたって知って驚いたみたい。





「まさか、ソルに先を越されるとは思わなかったわ!!」

「お母さんが初孫だって大興奮だもんね。興奮しすぎたって国境で暴れてくるってどっかいったけれど」

「……なんで散々お母さんにやられているのに時々ちょっかいを出してくる国があるのかしらね?」

「お母さんがいつまでも若々しくて強いのを私たちは知っているけれど、他の国はお母さんが衰えたって思っているんでしょ」


 マリッサとそんな会話を交わす。




 大きな戦争はないけれど、時々ちょっかいをかけられることはある。

 あとお母さんが国境で暴れれば周りの国への牽制にもなるので、お母さんは興奮しすぎると国境付近で暴れてたりする。本当にお母さんは本能的というか、動物みたいだ。


 ちなみにマリッサはジェズアルド様と新居で暮らしているわけだけど、仕事はしたいって仕事は続けている。

 とはいえ、結婚したばかりだというのもあって前より少し仕事を減らしているけれど。




「本当にバカよねぇ。というか、ソルとケーシィの子供って可愛いわよね、きっと」

「可愛いと思うわ。私たちにとっての初めての姪っ子になるのよね」

「姪っ子! 絶対可愛いわ。早く私もジェズアルド様と子供作っていとこ同士で遊ばせたいわ」

「気が早いわね」

「だってソルもケーシィも数年しかいないのでしょう? その間に子供出来てないと遊ばせられないじゃない!」


 まぁ、確かにその通りだなと思った。


 でも子供がすぐに出来るかどうかは分からないので、もしかしたらマリッサに子供が生まれてもしばらくはソルたちと会わせられないとかもありそうだなと思った。



 

冤罪をかけられ~エピローグの後の話

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― 新着の感想 ―
[一言] >「お母さんが初孫だって大興奮だもんね。興奮しすぎたって国境で暴れてくるってどっかいったけれど」 国境近くの敵さん、逃げて~、超逃げて~! 大興奮した炎剣帝がそちらに迫ってます~!!!
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