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小さな王子様との一時帰宅していた弟の話 ①



「メリちゃんの弟さんが帰ってきてたんだよね。僕も会いたかったなぁ」



 ラッザがそんなことを言うのは、冒険者として旅立ち二年間全く帰ってこなかった二番目の弟――ソルが一時帰宅していたからである。


 ソルは十一歳の時から冒険者として旅立ち、つい先日帰ってきた。

 手紙は冒険者ギルド経由でもらっていたけれど二年ぶりだった。


 ……しかも驚いたことに恋人まで連れて帰ってきていた。あとその恋人の妹分二人も。

 ソルの恋人であるケーシィはとっても綺麗な子だった。赤い髪と瞳を持つ美しい女性。正直年上にしか見えなかったのに、一つ年下だって聞いてびっくりした。


 

 しばらくゆっくりするのかなと思ったら、ケーシィたちの事情ですぐに旅立ってしまったのだ。

 なんだかお父さんたちから聞いた話によると、ケーシィは他国の侯爵令嬢で冤罪で婚約破棄されて国外追放を言い渡された……って聞いたけれど何回聞いても意味不明だと思っている。

 いや、だって普通に考えてよ? 侯爵令嬢を王族だからって勝手にこれといって証拠もなしに「断罪的なものをして、勝手に追放するっておかしいわよね? うちの国でやったら多分お母さんにぶっ飛ばされるわよ。お母さんがその場にいたら。


 お母さんの庇護下にあるのならば正直その他国の連中とかがやってきても問題ないって思ってるけれど、冒険もしたいからって旅立っていっちゃったのよね。


 そういうわけですごく短い期間しかいなかったのでラッザはソルとケーシィと、その妹分のアレーナとミレーナには会えなかった。

 

 正直次にいつ帰ってくるか分からないけれど、次に帰ってきた時はラッザのことも紹介したいなと思う。



「次にかえってきた時にはラッザを紹介するわよ」

「うん。会いたかったなぁ。冒険者として活躍しているんだよね?」


 ラッザがキラキラした目でそういうのは、やっぱり男の子として冒険者というものに憧れでもあるのだろうか。


 ……これで私がソルの話を沢山して、それでラッザが冒険者にあこがれるなんていう事態になったらすごく困るけれど。




「ええ。冒険者として十一歳の時から活動しているのよ。色んな所を見たいっていって」

「すごいよね」

「ラッザは……冒険者になりたいとか思う?」

「え、ううん。あこがれはあるけれど、僕はメリちゃんと一緒に居たいからそんな風には思ってないよ」



 ラッザがそう答えてくれたので、私は少しだけほっとした。

 ラッザが冒険者になりたいっていったら、うん、まぁ、その時は私もついていくことを選択しようとは思っていた。だってね、好きな人と離れ離れになるなんて私は嫌だもの。


 もしかしたらたった数年だからって待っておいてほしいなんてパターンもあるかもしれないけれどそれで心変わりとかされたら悲しいと思うから。

 だから私はラッザが国を離れるとかあったらついていくと思う。


 お母さんたちは私が本気でそう思っていたらなんだかんだ許してくれるだろうしね。




「ラッザ、もし本当に他の国に行きたいとかあったらいってね? なるべく私もついていけるようにするから」

「メリちゃんも、何かしたいこととか、あったら言ってほしいな。僕も協力する」



 私の言葉にラッザが笑ってそう言ってくれる。



 互いにやりたいことを抑制しあう関係より、やりたいことを応援しあえる関係の方がずっといいもの。

 でも今は冒険者に対してラッザが興味がなくても、将来的にどういう風に生きようとするかは今のところ分からないわよね。


 本当に想像がつかないような未来が待っている可能性もあるかもしれないし。

 まぁ、何があったとしても私はラッザがいれば幸せだと断言できるけれど。





 それにしても私はラッザと出会ってからずっと、幸せな気持ちで、恋を実感してからほわほわした気持ちになっている。ソルもケーシィに対してこういう気持ちを感じているのかしらね? 義理の妹になるであろうケーシィとはあまり話せなかったから次に帰ってきた時には私ももっと仲良くしたいわ。


 ソルが恋人を連れ帰ってきた後から、マリッサはジェズアルド様ともっと結婚したいって気持ちでいっぱいになっているみたいだし。マリッサの恋も実るといいなぁ。マリッサはずっと昔からジェズアルド様のことが大好きだから、その思いがかなわなかったら悲しいものね。



「ラッザ、今度、一緒にデートしましょう。職場の人にね、おすすめの場所教わったの」

「わぁ、行きたい!」

「ええ。行きましょう」




 私とラッザが二人で出かけていても、多分周りからしてみればデートだなんて思われないだろう。

 私とラッザが互いに恋愛感情を抱いているのも、周りは思いもしなかったりするから。それでも私とラッザの気持ちは本当のことだし、私たちがデートだっていえばデートだものね!




 

「冤罪をかけられ~」第四章のすぐあとぐらい。

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