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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
17 トップ冒険者の伝説
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トップ冒険者の伝説 5

 サクラは熊に向かって、何度かハサミを振り回した。いくつもの切り傷を作ったはずだが、その傷は唾液によって治っていく。それでも、彼女は戦いながら勝つ方法を探す。体が動くなら、足掻くのを止めるべきではないのだ。戦う意志もまだ萎えていないうちから、負ける未来を想像する必要ない。しかし、相手も攻撃させ続けるほど油断していない。彼女が攻撃を止めると、すぐに熊が反撃するためか前足を地面に降ろして、四足でサクラに突っ込んできた。彼女が何とかそれを回避したのだが、彼女の後ろにあった木に熊がぶつかり、木がへし折れた。幹の地面に近いところに突進しているのにも関わらず、木の幹をへし折ったのだ。折れた木は轟音と共に、地面に倒れ伏して草花を下敷きにして土埃を上げた。熊はそれでも平気そうに、振り返りながら、殺意の籠った視線をサクラに送る。サクラはもうその視線に怯えることはなく、睨み返した。そのせいか、熊はすぐには突っ込んでこなかった。サクラの視線にもまた殺意が籠っているのだ。殺されるか殺すかの二択。彼女が死にたくない以上、どちらかが死ぬまで決着はつかない。それが理解できるなら。殺意も持たずに戦えるはずはない。


 熊はゆっくりと左右の前足を一回ずつ前に出した。サクラもそれに応えるように、右足を踏み出す。両手に持っているハサミを構えて、相手の攻撃に備えた。先に動いたのは熊だ。先ほどと同じような突進。サクラはそれを寸前で横に回避しながら、相手の勢いを利用して、横原を斬り裂く。刃は奥には入らず、毛皮と表面を覆う肉だけが斬れたような手応えで、ダメージはほとんどなさそうだ。しかし、サクラは熊が突進してから反転する前に追撃しようと、彼女が熊より先に反転して前に出る。熊の斑点に合わせて、彼女は相手の頭に魔法で作り出した岩を当てようとした。しかし、熊は反転してからすぐに立ち上がり、岩は相手の腹にぶつかる。岩自体は相手の頭ほどの大きさしかないわけだが、その衝撃はかなりの物になるはずだった。それが腹に当たった熊には大して聞いていないようだった。しかし、それで攻撃の手を緩めるべきではないと、彼女の直感が囁く。さらに追撃しようと、彼女は相手の足元の地面から細い柱を何本も突き上げた。そのどれもが熊の胴を貫きはしなかったが、熊は体中にその衝撃を受けて、後ろにひっくり返った。体の至るところに衝撃が加わり、さすがの熊も自身を支えることは出来なかったのだ。その隙を逃すこともなく、彼女は攻撃を続ける。まずはカニ相手にしたときのように熊より大きい岩を相手の上に召喚して相手の上に落下させる。そして、相手の倒れている地面を柱上にしても持ち上げて、持ち上げる力と落下する力が熊に加わる。巨大な岩にぶつかった柱はバラバラに落ちた。両方とも魔法で作ったものであるため、崩れた岩は土埃も上げずに宙に消えていく。さすがの熊もダメージを負っているようで、すぐには立ち上がらない。それでも四本の足で自身の体を持ち上げた。しかし、その足取りは不安定で、ふらふらとしている。彼女は最後にとどめを刺そうとさらに岩を生成する。それを熊にぶつけようとした瞬間、熊がいきなりふらふらとした足取りが一瞬で回復したかのように、素早く動き、サクラの前に走る。サクラは既に勝った気でいた。それは確実に油断だった。熊が彼女にのしかかるように襲い掛かり、今度は彼女が後ろに倒れた。熊の前足が彼女の肩の辺りを押さえつけている。相手の口が大きく開き、そこには鋭い歯が綺麗に並んでいる。彼女のミラクルガールの服に唾液が垂れている。彼女が嫌悪感を顔に出していた。


「気持ち悪いんですよ!」


 彼女は熊の腹にハサミを差し込んで、ぐっと押し込んだ。いつも以上の力、それは火事場の馬鹿力という物ではなく、彼女が無意識の内に超能力で自身の力の上限を解放し、上限をさらに上昇させたのだ。そのため、抵抗感はあるものの、簡単にハサミが相手の腹を貫通した。そして、彼女が相手の胴を足裏で蹴っ飛ばした。熊は踏ん張る場所もなく、簡単に吹っ飛んだ。熊は惚けたようにすぐには動かなかった。もしかすると、熊も彼女と同じく勝ちを確信して油断していたのかもしれない。熊にそんなことを考える知能があるかは別としてそう言うような態度だったのだ。熊の腹から血が流れている。しかし、突き刺しただけでは、すぐに致死量になるほどの血は出ない。それでも苦しいと感じるのは確かだろう。少なくとも痛みがある。それでも、熊は四足で立ち、サクラを睨みつけていた。戦意と殺意を強くして、第二回戦開始だ。

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