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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
16 悪に沈む
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悪に沈む 5

  相手の攻撃に合わせて、フローは鉄球を盾へと変えた。今まで、彼女は盾を作ることはなかったが、アクアリウスとの戦闘で守る方法が一つもないことを思い知らされ、彼女は盾を使うという選択肢をようやく用意したのだ。そもそも、この町に来る前までの彼女の戦闘では、剣か鉄球で十分に圧倒できるほど戦えていたのだ。そのため、守るという選択肢は必要なかったのだ。それがこの町に来て、彼女は明らかに考えが変わっていた。


 彼女は作り出した盾で、相手の拳を受け止めた。しかし、その衝撃は重く、何歩か後ろに歩かされる。それだけの衝撃で、少し手に痺れを感じるほどだった。そして、彼女が少しの間怯んでいる間に、相手は近づいてきていた。それに気が付いたのだが、対処するには少し遅かった。彼女は持っていた盾を上に弾きあげられ、胴ががら空きになる。フローは盾を元に戻そうとしたが、それが間に合わないのは、感覚で理解していた。だから、彼女は盾をさらに再構築して、体を守るように盾の下の部分を地面に突き刺さるまで伸ばす。相手もそんな盾を見たことはないため、驚いて攻めあぐねていた。その間に体勢を立て直して盾を元に戻す。盾を持っていない方の手には剣を作り出し、盾を使った戦闘に慣れる必要があった。魔獣相手ではあまり訓練にはならなかったため、この獣人相手にどこまで戦えるか試してみるようだ。彼女は攻撃を受けるための訓練をしたいため、彼女から攻めることはない。相手はそれを知っているのか、彼女が動かないとわかると相手から動き始めた。相手の拳が先ほどと同じように彼女の盾を上に弾こうと衝撃が加わる。しかし、彼女はそれに抵抗するように盾を下に向けていた。そのため、盾が相手の攻撃をほとんど正面から受け止めることになり、彼女の体が少し浮いた。人間であれば、地に足が着かない状態になり、不安定な体勢になるだろうが、彼女は天使だ。地面に足が着いていなくとも体勢を安定させる術は体が覚えているのだ。相手はそんなことは考えておらず、蹴りを横から入れる。フローはその蹴りに合わせて、翼を使って器用に体勢を変えて、蹴りも盾で受け止めた。殴られた時よりは遥かに手に伝わる衝撃は大きかった。空中でその衝撃を受け流して、地面に降りる。相手は身を低くしていた。その体勢から何をするのか、と彼女は待ってしまった。先手を打てるほどの隙であったはずなのに、彼女は相手の行動を受けようという意志のせいで、待ってしまったのだ。彼女はそれに気が付かず、相手は彼女に飛び掛かる。相手に捕まると体勢も何もなくなると思い、彼女は後ろに体重をかけて、後ろに跳ぶような動作をした。その勢いを使って、低空飛行して、後ろに飛んだ。相手が飛び掛かるより速く動いて、回避した。しかし、その一回だけでは終わらず、相手は彼女を追従するように、何度も飛び掛かる。その飛び掛かりよりほんの少しだけ速く動いているだけなのに、回避はギリギリだった。何度目かの飛び掛かりの時に彼女はいきなり前に飛び、相手の体の下に潜り込む。彼女はその位置で、剣を相手の胴にぶつけて斬りつけようとしたのだが、刃が相手の体に通らない。金属を斬っているような感触で、それがきっと相手の超能力なのだろうと彼女は思った。彼女はそのまま、相手とすれ違うように移動した。相手の体を抜けて、すぐに体を反転させ、相手の方を見た。相手も既に地面に着いていて、体をこちらに向けようとしていた。彼女の方を向いた相手は飛び掛かるのをやめたが、両手はまだ、地面に着けている。相手は鋭い歯をむき出しにして、彼女を睨みつける。それから、口を開けて、大声で叫んだ。それは獣の咆哮と同じだ。彼女の耳にもその爆音が響いていた。いや、耳だけではない。全身に衝撃波を当てられたかのように、痺れを感じる。動かないというほどではないが、それでも体を動かしにくい。


「くっ。これは」


 彼女の手から、剣が落ちる。剣を握っていた握力が弱くなっている。それは明らかに相手の咆哮のせいであった。盾は腕にはめるような構造にしてあるため、彼女の握力は関係ないが、剣はそうもいかない。そして、こういった身体に異変が起こるような攻撃は彼女の超能力では防げない。それはアクアリウスとの戦闘で痛感させられたことの一つだ。そして、これの対策は全くできていない。魔法でも超能力でも対策が思いつかないのだ。そもそも、サクラやラピスでもこういったものの対策はすぐには出来ていないだろう。治癒師など、人を回復させるような魔法を使えるような人物でないとすぐに対策と言うのは難しだろう。それでも、彼女は諦めるわけにはいかなかった。対策は無くとも、相手にそういったことを差せないように立ち回ればいいのだ。相手の咆哮が終わり、体に力が戻る。彼女は盾の一部を分解して、新たな剣を作り出した。そして、分解した盾の一部も再構築することで元の形に戻した。盾の端を剣で打ち、自身を鼓舞した。

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