表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
15 アクアリウス
84/266

アクアリウス 4

 サクラに迫る触手は彼女が持っていた二刀のバラバラになったハサミによって、斬り裂かれた。斬り裂いた液体が彼女の体にかかってしまった。ミラクルガールの衣装を焦がして、彼女の肌も火傷を負っていたが、彼女はそんなことは気にしていない。アクアリウスを倒すことを優先しなければいけないのだ。サクラは向かってくる紫色の触手を斬り裂きながら、アクアリウスがどこに居るのかを探していた。相手の姿は未だに見つけられていない。触手はあらゆる方向から来ているように見えるのだ。しかし、その根本はどこか一か所であるはずなのだ。その方向を見つけるのは難しい。サクラが地上で探している間、フローは空に触手と戦っていた。サクラと同じように上からアクアリウスを探しているのだが、本体は一向に見つかる気配がない。町を壊すわけにもいかず、空を移動しながら相手を探し続けている。


 二人が触手に苦戦している姿をアクアリウスは物陰から見ていた。岩と水に紛れて、地面に落ちて転がった先は路地にたまたまあったゴミが溜められたカゴだった。アクアリウスはそのごみをどけて、その中に隠れている。サクラが路地の中の広場から動かなければ絶対に見つけられない死角になっており、空から見ているフローからもかなり見つかり難いだろう。カゴには半透明の蓋が被せてあり、フローの飛んでいる高度からはかなり見つけにくい。アクアリウスの蝶の力は瓢箪から自分の知る限りの液体を作り出せるというものだった。そして、みずがめ座の力でその生成に制限がなくなっているのだ。つまりは見つけられて力を奪われない限り、無限に戦闘できるというわけだ。このまま見つからずに戦闘を続けて、持久戦にすれば、先に音を上げるのはミラクルガールと言うわけだ。アクアリウスは心の中で自身の勝ちを確信していた。


 だが、アクアリウスの無敵の場所もそこまで長く無敵ではなかった。フローが低い場所まで降りてきて、鉄球二つを路地の中で暴れさせ始めたのだ。彼女の鉄球は彼女のイメージ通りに動く。つまりは細い道だろうが広場だろうが、彼女の狙った場所に跳んでいくのだ。彼女は路地の中で隠れることが出来そうな場所を手当たり次第に怖し始めた。住居を壊すと直すのに大変な思いをするかもしれないが、路地の小汚いカゴや箱であれば、壊しても問題ないと考えた。路地の全ての加護ではなく、二人のいる路地の中の小さな広場から続く道の近くにあるカゴと箱を壊しているだけだ。アクアリウスの今までの行動から見て、触手を操り攻撃するのには、自分たちを視界の中に捕らえていると考えていた。だから、広場が見える程度の場所に確実にいると確信していた。そして、路地の物を壊し続け、ついにアクアリウスの隠れていたカゴが壊された。カゴははじけ飛んで、アクアリウスが除けたごみが辺りに散乱する。その中に瓢箪が混じっているのをフローは見逃さなかった。彼女は鉄球を操り、相手を再び鎖で動きを封じた。抵抗する瓢箪を力尽くで引き寄せて、広場に戻した。その間も二人を狙う触手は常に出続けていて、二人はその対処をしていた。瓢箪の口からは大量の紫色の液体がかなりの勢いで噴出している。鎖と瓢箪がぶつかって、音を立てている。


「いい加減に観念したらどうだ。これ以上なにもしようがないだろう」


「いいや、まだ負けちゃいないね! また、コーティングして耐久戦に持ち込めば、無限に液体を出せる私の勝ちだっ!」


 先ほどのように紫の液体がその瓢箪に集まり、球体を作ろうとしていた。しかし、その水は集まる前にサクラが作り出した岩の壁により阻まれる。同じことを二度もさせるはずがないのだ。それに、アクアリウスが鎖から抜け出していないところを見ると、液体は無尽蔵でも相手の体力は無限ではないのだろう。相手にも疲れが出ているのだ。


「蓋をします。この液体を止めなければ爆発するのはあなたです」


 サクラは忠告をしてから、粘土のようなものを作り出した。その粘土を瓢箪の水圧に負けないように、瓢箪の口に近づいていく。瓢箪の口に粘土が到達して、徐々に液体の勢いが弱まっていく。完全ではなくとも瓢箪に蓋がされた後も、アクアリウスは液体を出すのを止めなかった。そのせいで、瓢箪はすぐに破裂した。中の毒液がばら撒かれて、サクラとフローの体の至るところに火傷を負わせた。体がついに警鐘を鳴らす。これ以上は戦えない。傷は負えない。既に腕も足も翼も正常には動かせない。動くには動くがその動作は鈍い。しかし、瓢箪は爆発した。もうアクアリウスは動けないはずだ。サクラもフローもそう思っていた。しかし、少しだけぼやける視界の中、二人は瓢箪の欠片がいくつか浮いているのをみた。まだ、アクアリウスは死んでいない。それは二人の思い込みだった。アクアリウスの本体は瓢箪ではない。アクアリウスは物に憑く神なのだ。とりつく物がない状態が続くと消滅するだけで、憑りつく物があれば、半永久的に消滅することはないのだ。いま、アクアリウスが憑いているのは瓢箪の欠片。大した力もないが、このミラクルガールに復讐することくらいはできるだろうと考えていた。こんな姿にされた屈辱を少しでも返してやろうとしているのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ