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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
15 アクアリウス
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アクアリウス 3

 紫の液体が地面に広がる。その液体は、オブの足を焼いていた。しかし、オブは動かずに、サクラを支えることに集中していた。しかし、彼女の視界にも移っている。紫のアクアリウスの球体がサクラの作り出した岩に押しつぶされているのだ。そして、その勢いは明らかに中の瓢箪も潰しているように見えた。轟音と共に、砕ける岩が煙を立たせる。崩れた岩が地面に落下していき、地面に着く前に宙へと溶けていた。オブは自分たちの勝ちを確信していた。サクラの魔法であれば、いくら無敵に見えたアクアリウスでも倒しただろう、と。


 サクラは自分の岩の魔法を当てた瞬間に落ちていく液体と共に、何かが落ちるのが見えていた。確実に見えていたわけではないが、このタイミングで下に落ちるものは一つしか予想がつかない。瓢箪が液体や岩と共に地面に降りたのだ。サクラは焦ってそれを探そうとしているのだが、相手を見つけることが出来ない。サクラ以外は相手がまだ生きていることを知らないのだ。大きな岩で攻撃したのは失敗だったと、後悔しているが、その後悔を心に留めておくほどの余裕はない。下にはオブもラピスもいる。アクアリウスに狙われれば、ミラクルガールではない二人は確実に負けるだろう。彼女は焦った挙句、オブの掌から降りることにして、宙へと足を出したのだが、その体をオブが受け止める。オブは焦ったような顔をして、彼女の女半身を掴み、超能力を使い、地面にゆっくりと降ろしていく。それがもどかしく、サクラは手足をバタバタと動かして、脱出しようとしている。その様子を見て、オブは特に何も思っていなかったが、フローが彼女の様子のおかしさに気が付いた。まだ、終わっていない。彼女はそれをして、辺りを警戒して、視線を巡らせる。しかし、アクアリウスも見つからなければ、下に広がる紫の液体が動いている様子もない。二人だけ、それを理解していても意味がなかった。サクラが地面に降りるまであと少しと言うところで、サクラが何かを察知した。察知したところで動くことは出来ない。魔法を使おうにも、その何かの速度の方が速かった。


「……っ! あ」


 オブの腹に紫色の触手が突き刺さっていた。それは彼女の体を真正面からまっすぐに貫いている。オブは痛みすら感じることなく、食酢を見下ろす。サクラを視界から離したせいで、サクラは地面に落ちて、尻もちをついた。触手がスッと彼女の腹から抜かれる。穴が開いているというのに、出血は思ったより出ていない。彼女の腹の穴からは血より、煙が上がっている。紫の液体は彼女を貫きながら、腹の中身を焼いたのだ。そして、オブはその場に両膝を突いて、前に倒れそうになる。両手を地面に着いてその体を支えたが、彼女の足元には既に紫の液体が広がっている。彼女の膝も手もその液体によって焼かれていた。


「オブ姉っ! オブ姉っ、大丈夫っ!? しっかりしてください!」


 サクラの声は届いているのか、オブの視線はサクラに向けられていた。その瞳には既に力が抜けているのか、ぼうっとしているようにしか見えない。倒れないようにするのが精いっぱいなのだろう。その様子を見ていたフローがいち早く、オブを液体の外、これからの戦闘の邪魔にならない位置に送ろうと、彼女の体を抱えながら、空を飛び移動する。その先にはラピスがいた。いつも無表情な彼女もオブの様子に焦っているようだった。しかし、彼女にできることはない。サクラたちに使っていた応急処置で使う灰色の液体も携帯しているはずがない。治癒師のようなこともできるはずがない彼女はオブを戦闘に巻き込まないように見ていることしかできなかった。鍵を握る手に力が入る。無力すぎる。ラピスは自分を責めることしかできない。


「フロー、オブ姉が、オブ姉が……。大丈夫、なんですか? 早く治さないと。ナチュレさんなら、治せるはずです。早く、早くいかないと!」


 サクラはオブが目の前で刺されるのを見てしまったせいで、パニックになっていた。フローが背中を斬られたときより深い傷だ。体が何かを突き抜けるなんて状況は体験したことも見たこともない。いきなりあんな深手を見て、冷静でいられるほど、彼女は修羅場をくぐっているわけではない。彼女は自身が傷つくなら、きっとここまでパニックにならなかったかもしれない。目の前で姉のような存在が死ぬかもしれない。彼女はそれが怖いのだ。しかし、フローはサクラの瞳をじっと見ていた。サクラはその瞳をじっと見ていることなどできなかった。


「サクラ」


 とても静かな声だった。しかし、しんと静まったその場所ではサクラの耳にも届くほどの大きさになる。サクラはフローの方をじっとみた。


「サクラ。詳しいことはわからないが、やるべきことがあるんじゃないのか。それを置いてしまっていいのか?」


 オブが倒れそうなのは確かだが、彼女の仇を取れるのはこのタイミングだけかもしれない。そう思うと、彼女は戦うしかないと思った。サクラは恨みで持って、落ち着きを取り戻した。彼女が落ち着きを取り戻したと共に、サクラにいくつもの触手が迫ってきていた。

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