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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
14 美しさのための闘争心
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美しさのための闘争心 6

「町中で爆発したと思ったら、やはり、サクラだったか。それで、あれは敵ってことで良いのか」


「フロー……!」


 サクラは本当に目を丸くして正面に立っていた人物を見ていた。今、彼女を追いつめていたアクアリウスは近くにいない。サクラがフローここに来るとは思っていなかった。今日は彼女の顔を見ていなかったから、ひとりで依頼をこなしているのかと思っていたのだ。アクアリウスとの戦闘が始まってからは戦闘以外のことを考えていなかったが、まさかこのタイミングで出てくるとは思わなかった。頭が少し冷静になると、彼女の力量ではアクアリウスに敵うはずがないと思った。オブもアクアリウスには攻撃できなかったのだ。いくら強いとは言え、オブに比べて冒険者である年数が少ない彼女が助けになるかどうかはわからないのだ。


「サクラ。これ、少し借りる」


 フローは拾った鍵を背中越しに、サクラに見せた。サクラは鍵を借りる意味がすぐには分からず特に返事は出来なかったのだが、彼女は勝手にその鍵を持っていた。彼女が拾った鍵はサクラがアクアリウスに蹴られたときに体から離れたおうし座のマークが描かれた鍵だった。


「チェンジ! ミラクルガール! コール トーラス!」


 彼女はその鍵をサクラがしていたのと同じように、心臓のあるあたりに差した。それを右に捻る。その瞬間、鍵が光になり、フローを包み込んだ。


 光はフローの足に移動して彼女の足を包む。それは靴の形を形成して、高さのある白い革のような素材のブーツになった。足首の辺りに水色のリボンが結ばれ、余った紐がブーツに軽く巻き付いている。手には白いシルクのような手袋になる。手首にも足首についているリボンと同じものが結ばれていた。体を包むのは水色の服であり、シンプルなフレアスカートが膝の辺りまで伸びる。スカート部分には右足に沿うように、白い線が引かれており、その線に沿うように金色の小さなボタンが並んでいる。彼女の胴を包む服も水色を基調としたもので、その腹部には大きめの金色ボタンが左右対称に並んでいる。そのボタンにはおうし座のマークが描かれていた。全体的にマーチングバンドが着ているような衣装。青いリボンテープが腰の周りを一周して、腰の辺りでリボンが結ばれていた。リボンの先の部分は背中の方へと流れている。胸の辺りには小さな海のような色のリボンが控えめに付いている。そして、右肩に金色の輪の中に羽が一枚通っているマークが描かれていた。


 彼女は衣装が変わると、彼女を包んでいた光がはじけ飛ぶ。その中から、サクラが着ている物と同じ雰囲気を感じる衣装を来て出てきた。彼女は目を開き、自身の格好を見た。


「これが、サクラが使ってる力か」


 体が軽い。気分が良い。いくらでも魔法を使えそうな全能感。確かにこの力は強いが、欲に負けるような人物はこの力を使うことは出来ないだろうとフローは思った。強すぎる力。しかし、魔法が無尽蔵に使えそうであるということ以外にどれだけの能力が変わっているのかはわからない。その未知を怖いと思うが、それを使いこなすことが出来れば、どんなことでもできるかもしれないという無敵感の方が強い。しかし、それに支配されてはいけないと自制しなくてはいけない。


「フロー……。その、姿は……」


「サクラ。これからは私も一緒に並んで戦うことにしたんだ。だから、サクラが回復するまでは私に任せてくれ」


 フローはそう言いながら、再構築した剣を持っていた。彼女が使い慣れている片手剣だ。それを持ちながら、彼女は翼を広げた。少しだけ跳びあがり、低空飛行で吹っ飛んでいたアクアリウスに近づいていく。相手は既に体勢を整えていて、今にもサクラの方に跳んでいこうとしているようだったが、フローが近づいてくるのを見て、動くのを止めたようだ。


「へぇ、誰だか知らないけど、誰が来ても関係ないけど」


 アクアリウスは言葉こそ適当だったが、二人目のミラクルガールの登場は想定外だった。今まで以上に本気で相手をしないと、自分が負けると思った。さらに二人目のミラクルガールの能力は未知数だ。サクラの力はギルドの依頼や、町中でのフローとの戦闘も見ている人は多かったため、彼女の力はほとんど知っていたから、アクアリウスには余裕があったのだ。しかし、フローの実力は変身前のことしか知らない。それもアクアリウスは大して気にも留めていない人物だった。サクラの近くのいると友達と言うだけで、何か特別な何かを感じてはいなかったのだ。そのため、特に注意して情報収集しているわけではなかったのだ。だからこそ、ミラクルガールに変身することでどれだけ強力になるのかわからない以上、相手は本気で相手する必要があった。


 アクアリウスは瓢箪の口を飛んで近づいてくるフローに向けて、粘性の液体を飛ばす。彼女の翼を封じるつもりだったのだが、彼女にはその攻撃は当たらない。鋭く体勢を変えて、液体を回避する。そして、相手が次の行動を起こす前に、フローはアクアリウスのいる位置に到達していた。彼女は剣を振り下ろして一撃加える。相手はその剣を瓢箪で受け止めた。フローは驚いたもののそれが表面に出ることはなく、そのまま剣を振り下ろした。瓢箪を弾き、アクアリウスは後ろに何歩か下がるしかなかった。

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