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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
14 美しさのための闘争心
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美しさのための闘争心 4

 アクアリウスの瓢箪がオブを捕らえていた。既に液体はかなりの勢いで放出されている。サクラの力でも、瓢箪の向きを変えられない。彼女は焦る。そして、オブを守るために、彼女は無意識に自身の超能力を使ってしまった。彼女の身体能力が上書きされ、彼女は今までよりも何倍にも素早く動くことが出来るようになっていた。その速度を利用して、放出された液体よりも速く動くことが出来た。それでも、オブに手が届いたのは、液体とほぼ同時。サクラがオブの体に抱き着くように飛んだ。オブが倒れそうになったのだが、彼女は無意識にその力に抵抗していた。その結果、サクラの背中に相手が放出した液体がもろに直撃してしまった。


「あ、くっ」


 彼女が浴びた液体は彼女のミラクルガールの衣装すら凍結させるほどの冷たさを持った液体だった。彼女の服を貫通して、低温火傷をしたときのような鋭い痛みが背中に伝わった。オブはサクラを受け止めて、彼女の苦しそうな顔を見てしまった。その瞬間、彼女の頭には怒りで支配されていた。彼女は無意識の内に、超能力で相手に向けて、拳を伸ばす。しかし、その拳は相手には届かない。サクラがオブに体重をかけてしまっているため、拳は勢いが出ない。そのせいで、回避するのも簡単だったのだ。それでも、オブはサクラを支えながら、何度も拳を伸ばす。しかし、どの攻撃も当たらない。その間に、サクラが体勢を整えて再びアクアリウスに向かって走った。彼女は走りながら、ハサミをくっつけて一つにした。それから、鍵を取り出した。頭には丸の上にブイの字がくっついているようなマーク。それはおうし座の鍵だ。彼女はそれを胸に差して、開錠するように捻る。すると、その鍵は光の球体になり、彼女の前に移動する。その光は上下に長く伸びて、上の方にはドリルを形作る。そして、光が弾けて、ドリル状の頭の付いた槍が出現した。彼女はそれを手に取る。それと入れ替わるようにハサミを鍵に戻した。


「これもハサミと同じなら……」


 彼女が槍を出現させたのは理由があった。ハサミの時に使った技、ミラクルシャインメテオールのような技がこの槍にもあると考えたのだ。彼女は槍を投げる体勢になる。その瞬間、相手は距離を詰めた。サクラの体勢は明らかに投げると言っているよなもので、距離を詰めることで簡単にその攻撃を防ぐことが出来るのだ。サクラは距離を詰められては槍を投げるわけにはいかなくなった。アクアリウスは持っている瓢箪から、粘性の液体を放出した。それは、前回メイトと戦闘した時にも使っていた者だと推測した。粘性の液体と言うだけで回避せざるを得ないのだが、彼女は槍を片手で握り、その先端を液体に向けた。その瞬間、槍に淡い光が宿った。そして、サクラが手を動かしているわけでもないのに、槍の先端がドリルのように回転し始めた。槍は液体を絡めて、槍の先端を包むようにまとめ、その液体が槍の先端に吸い込まれた。槍の頭に宿る淡い光が少しだけ強くなる。アクアリウスが液体を絡めとられたために、次の液体を放出した。その液体もドリルが回収する。槍の光がまた少しだけ強くなった。さすがに相手も、この状態は良くないと考えたのか、液体を放出することはなかった。だが、サクラはこのタイミングでなくとも、再びあの瓢箪から液体が放出されるという確信があった。それは前の戦闘でもアクアリウスがその瓢箪を何度も使っていたからだ。使わないと戒めても癖で使う可能性が高いだろう。しかし、全ての液体を回収できるのかはわからない。この吸収には制限時間もあるかもしれない。その制限時間を過ぎれば、きっと吸収は出来なくなるだろう。


「土よ。スプレットグラベル」


 彼女はついに魔法を使い始めた。彼女はそう唱えた瞬間、彼女のいくつかの石が生成された。その石が、徐々に加速しながらサクラの方へと飛んでくる。彼女はその程度の魔法を回避するのは造作もないことだ。彼女は確実に当たらない場所に跳んで逃げた。しかし、その位置に石の礫があり、彼女を中心に石が出現していた。彼女はそれを回避することは出来ない。とっさに土の壁を作り出したが、とっさに作ったものでは防ぎきることは出来ず、集中砲火を受けた。彼女は吹き飛ぶこともなく、その場にうずくまる。しかし、そうしていられる時間など無く、彼女はすぐに立ちあがった。


「土よ。ストーンピラー」


 サクラの足元がいきなり付き合がり、彼女はバランスを崩した。再び倒れ、その隙に先ほどと同じ魔法を食らった。サクラは相手が魔法の詠唱をしていないと思ていたのだが、それでも魔法を使っているように見えた。自分だけの特権だと思っていたのだが、そうではないのだろうか。サクラが気が付くことはないだろうが、アクアリウスは最初の詠唱の時点で、いくつもの石の礫をあらゆる場所に生成している。それを維持するのは難しい。しかし、土の魔法が残りやすいという性質や、アクアリウス自身の能力によって、それが可能になっていた。サクラはこの世界の常識を知らない。ラピスもオブもサクラが攻撃され続ける光景を見ているしかない。ラピスは既にどうやってサクラを連れて逃げることが出来るか考えていた。しかし、サクラは槍を杖にして立ち上がる。


「まだ負けてませんから。あなたに勝つまでは、負けません」


 サクラの瞳はまだまだ死んでいなかった。

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