美しさのための闘争心 1
ナチュレと少し話をして、依頼を引き受けることにしたサクラはオブ姉とラピスを連れて、メイトを探していた。彼がどこに居るのかは分からなかったが、とりあえず、彼の居場所を知ってそうな人に会いに行くことにした。ウェットブルーのマスターならきっと、メイトの居場所を知っているだろう。
そして、ウェットブルーの前に来て、見えた店の中にメイトの姿があった。カウンター席に座っているのだが、彼は最初から店の入り口側に向いて座っていた。それから、サクラが店の中に入ると、マスターより先にメイトが口を開いた。
「待ってたよ。ここに来てくれるんじゃないかと思って。ついにアクアリウスが動き出したんだ」
「こんなところで待ってねぇで、ギルドに来ってんだ。くつろいでんじゃねぇよ」
オブが間髪入れずにメイトに文句を言っていた。サクラは物語の展開的に対して気にならなかったので、彼女は文句はない。サクラはオブに掌を向けて制すると、メイトに視線を向けた。
「それで、アクアリウスのいる場所はわかりますか。彼女を倒せば、皆元に戻るんですよね」
メイトはアクアリウスをよく見かける場所と、その範囲を記したこの町の地図をサクラに渡した。その地図の説明をして、彼女が潜伏しているであろう建物の一件には星のマークが書かれていた。その建物に入っていくのを見たというだけで、本当にそこに住んでいるという確信はないらしい。
「メイトさんは、手伝ってくれないんですか」
「すまない。アクアリウスを調べるのに、少しドジったんだ。超能力で何とか逃げられたんだが。ここからでもサポートはするから」
彼の超能力の全ては知らないが、彼の超能力で緊急脱出とかそう言う感じなのかもしれない。と、サクラはそう考えて、店を出た。オブはメイトを疑うような視線を最後まで浴びせて店をでた。彼女はああいう肝心な時に戦えないような人が好きではないのだ。ラピスは特にメイトに思うことはなく、サクラに付いて行くだけだった。
「そんな役回りってところか?」
「まぁな。でも、やることやるだけだ」
三人が出ていったあと、彼は超能力を使用した。この町をコピーして、完全に同じ町を彼の空間に作り出した。そのコピーをオリジナルと被せて出現させる。彼の超能力は確かに空間をコピーして、その空間に出入りするものだ。彼はコピーしたものを現実に貼り付けることで、オリジナルを保護しているのだ。それを維持するのには質量のコピーを維持している間は、戦闘なんてできないのだ。サクラが車で、町の被害は彼によって抑えられていたのだ。それを知っているのは、カイトのみ。もし、メイトが町を保護していることがわかれば、きっとゾディアックシグナルは彼を狙って来るだろう。彼らの目的はわからないが、町の保護と言うのは確実に邪魔になるのだから。だから、彼はカイト以外にはその情報は教えなかった。
メイトから貰った地図を手に、三人は町を歩いていた。町の中の喧嘩は、ギルドに行く前に見たときより酷くなっているように見えた。今にも殴りかかりそうな女性もいる。男性が走りながら、追いかけてくる女性に罵声を浴びせている光景も見た。これが広がると町が危ないのは簡単に理解できた。そして、彼女はおせっかいだった。言い合いをしている分には助けることもできないが、暴力は見過ごせない。既に胸倉を掴んでいる女性や、鈍器を持って男性を追いかけている女性を何とか引き留めて、拘束していた。魔法で腰の辺りまでを土の中に埋め込んだのだ。
「サクラ、そんなことしてる場合じゃねぇだろ。原因を潰さないと、きりがねぇって」
そんなことをしているサクラにオブは痺れを切らしていた。彼女も町を守りたいという気持ちは同じなのだが、彼女は原因を潰せばそれで終わりだと考えている。それ以降の処理を考えていない。このまま、暴徒と化した女性たちを放置して、原因を潰そうものなら、男性が大怪我したり、死亡したりするかもしれない。そうなれば、巣に戻った時に後悔しきれないほどの悲しみを受けるのは傷つけた女性自身だろう。そんな結末では解決したとは言えない。サクラはバッドエンドも納得できるならいいものだと思うが、自分が何かできる力があるなら、大団円で終わらせたいのだ。きれいごとだけでどうにかなる世界ではないだろうが、それでも、彼女は自身の思いつく限りの行動で一番いい結末に辿り着きたいのだ。だから、彼女は誰でも助けている。しかし、対処しなくてはいけない女性の数が多い。魔法を使うのに、いちいち詠唱をしなくてはいけない問うのは面倒なのだ。そして、彼女は耐えられなくなり、おとめ座のマークの入った鍵を胸に差して変身した。




