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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
14 美しさのための闘争心
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依頼開始

「ん、んー」


 サクラが身じろぎをして、体を起こした。そして、彼女の視線の先には黙ったまま、並んで座っているラピスとオブが視界に入った。サクラは一瞬思考停止して、とりあえず、布団を掴んで自身の体に引き寄せた。二人が何かしたとは思っていないが、寝起きで部屋に誰かが居るというのは中々ホラーだった。しかし、その状況も長くはない。


「あ、サクラさん。起きたのですね。部屋の鍵を掛けていなかったので、勝手に上がらせてもらいました。すみません。それから、この方もサクラに用事があるそうなので、中で待ってもらってました」


「あ、オブ姉。用事ですか」


「あ、ああ。そうだった」


 サクラの幸せそうな寝顔に見入っていたせいで、本来の目的を忘れていた。ラピスに言われてようやく思い出したほどだ。彼女の寝顔は癒しだったようだ。


「寝起きで悪ぃんだが、ちょっとギルドの依頼でめんどくせぇことのがあるんだ。ナチュレがサクラを読んで来いって言っててな」


「わかりました。少し準備をしますので、待っていてください」


 サクラは二人を玄関先で待たせて、身支度をした。そこまで準備する物もないが、この部屋の鍵と、ミラクルガールの鍵を持っているか確認して部屋を出た。ギルドに行くならラピスは来る必要はなかったのだが、サクラが何も言わなかったため、ラピスも付いてきた。オブ姉はサクラが何も言わないなら、ラピスを待たせようとも思っていなかった。ラピスも二人に拒絶されることもなかったし、サクラのギルドでの姿に少し興味もあった。彼女が戦っているところは見たことがないので、もし見れるなら見てみたいとも思っていた。



 三人はギルドに来る途中、いつもより町が騒がしい気がした。それは活気があるというわけではなく、怒っているような叫びあい。言い合いをしているほとんどの人は男性と女性で、女性の方は綺麗ではあるのだが、露出度の高い下品な格好をしていた。見た目だけは綺麗なのだが、その着ている服が全くに合っていないのだ。そして、喧嘩している男性のセリフは決まっていて、君はそんなではなかっただろ、だ。一言一句同じと言うわけではないのだが、ニュアンスはそんな風な言葉ばかりだ。


「オブ姉、この喧嘩の多さが依頼の原因ですか」


「ああ、まぁ、これは副作用みてぇなもんらしい。一晩で、相手のいる女があんな感じになったってのが、依頼の原因だな。その原因の究明が依頼内容だ。詳しいことは依頼書を見てもわからんかった。オレじゃ埒が明かねぇから、サクラを呼べってことらしいぜ」


 彼女は真面目な顔でそう言っていた。彼女は自分があまり頭の良い人ではないことを理解しているため、頭の悪さを馬鹿にされても腹も立たない。それが事実だ。彼女はそう思っているのだ。


「そ、そうですか。とにかく、ギルドに行かないといけないんですね」


 サクラは少し苦笑いで、彼女に応じた。それから、早足でギルドに向かった。




「ああ、サクラさん。待っておりました。もしかすると、オブシディアンさんから聞いているかもしれませんが、貴女に受けてほしい依頼があるのです。正確には貴方達、ですね。サクラさん、オブシディアンさん、フローさん、メイトさんで組んで依頼を受けてほしかったのですが、集まったのは二人だけとは。仕方ありません。とにかく、この依頼を受けてほしいのです」


 ナチュレは三人がギルドに入ってくるとほぼ同時に、三人に詰め寄った。それから、彼女は一枚の依頼書をサクラの前に提示した。そこには急いで書いたような雑な字が並んでいた。依頼書の一番上には、緊急と書かれており、そこに二重丸がしてあった。サクラは依頼書を受け取ると、その依頼書に書かれた内容を流し読みした。内容は、昨日から今日にかけての夜に起こったと予想される、女性のありえないくらいの美化の原因の調査である。手がかりとしては、下着姿の綺麗な女性に、器に入った水を掛けられてこうなったという証言が共通らしい。それ以外にも何か書かれているが、事件の手がかりではなく、依頼の難易度や報酬の話が書いてあるだけだった。


「手がかりもほとんどありません。これでは見つけるのは不可能だと思います」


 ラピスがサクラの横から依頼書を見てそう呟いた。しかし、サクラには町で見かけた布面積の少ないセクシーな服は見たことがあった。その服を着ていた人も町にいる人たちと同じように美しい見た目をしていた。そして、その女性を庇っていた人も知っている。忘れるはずがない。メイトでも勝てなかったあの紙の長い瓢箪を持った女性。つまりは、アクアリウス。いよいよ、本格的に動き出したと考えた方が良いのだろう。だとするなら、メイトを見つけて話を聞くのが最優先だ。これだけのことが起こっているのだから、彼も何か掴んでいるに違いない。

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