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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
13 二つの魔獣討伐
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二つの魔獣討伐 1

 二つの依頼書を受けることにした二人はさっそく森の中に入ってきていた。森の見た目なんて変わらないはずなのに、森の奥にいるはずの魔獣が奥から出てきているという話を聞いたせいか、嫌な雰囲気を感じていた。いつも見ていたはずなのに、森の木々の表面の模様が歪んだ笑顔に見えてくる。森の中に入ってくる人が、魔獣に殺されて、森の養分になるのを歓迎しているようにも見える。


「な、なんか少し怖いです」


「大丈夫。サクラが戦わなくても私だけで依頼達成して見せるから」


 フローも多少は怖がっていたのだが、サクラに弱気になっているところは見せたくはなかった。だから、彼女は胸を張って、強がっていた。その強がりも無駄ではなく、サクラが一歩踏み出す前に、フローが森の中を率先して歩いていく。サクラは彼女の後ろに付いて行くのだが、それでも怖いものは怖い。彼女は胸に鍵を差して変身した。それだけで、不安感が和らいでいた。サクラが後ろを警戒しつつ、フローが勇敢に森を進んでいく。注意深く辺りを見回していた。今回討伐する魔獣はどちらも背の低い魔獣だ。背の高い草木が生えている森の中、適当に見ていてもこの魔獣を見つけることは出来ないだろう。


 しばらく探索していると二人の間の会話も少なくなってくる。常に警戒しながら、森の中を探索するのは精神的に疲れる。背の高い草木が邪魔で、フローはいつの間にか作っていた剣で草木を払っている。そして、その疲れが出始めたタイミングを狙っていたかのように、周りの草木ががさがさと揺れ始める。既に囲まれているのか、二人の周囲の草木が揺れ、それが波のように近づいてきている。そして、そこから飛び出てきたのは、灰色の塊だった。その体から、その灰色のどろっとした液体が、地面に足れている。その魔獣の足元の土がぬかるんでいるのか、その魔獣の足が土の中に埋まっているように見える。そして、その魔獣が五体で二人を囲んでいる。その魔獣は依頼にあった魔獣だろう。苗木には見えないため、スラッシュピグだろう。形は豚に見えなくもないが、灰色の泥のせいで中の動物がどんなものなのかがわからない。サクラの胸より少し低いくらいの大きさで、胴が奇妙なくらい長い。体長はサクラの背よりも大きい。そして、五体集まったその魔獣は足元のぬかるみの範囲を広げている。そのぬかるみが広がっているのに、二人は気が付かない。魔獣は目の前にいるのに、いきなり動かなくなったと思っているだけだ 。何をしてくるのか警戒したまま、そのぬかるみを足で感じたときにようやく、既に底なしの泥沼の中に入っていることに気が付いた。そこから抜け出すために、ジャンプしようとしたのだが、既にぬかるみのせいで足が捕られてしまっている。サクラは一瞬焦ったが、土の魔法を使い沼化しない足場を作り続ける。フローは翼を広げて、空を飛ぶ。移動に邪魔な木の枝を切り落とす。二人とも、戦闘が出来るだけのフィールドを確保したところでようやくまともに戦闘できるようになった。フローは剣を作り変えて、鎖に繋いだ鉄球にする。彼女はそれを振り回して、さらに木々を折っていき、行動範囲を広げていく。魔獣の一体が後ろ脚を地面に擦りつけて、勢いよく走り出した。どこに向かって走っているのかわからないと思ったが、散々走り回った挙句、フロー目掛けてジャンプした。フローはその豚に正面から思い切り鉄球を当てる。豚はギュップと言う変な鳴き声を上げながら、地面に叩きつけられた。倒したのかと思ったが、豚は何もなかったかのように立ち上がる。灰色の泥が弾けて、地面にべったりついていた。泥の鎧の中も灰色だが、その肌にはクリーム色の斑点がある。豚とはいえ、この見た目の豚を食べたいとは思えなかった。その一匹の魔獣が行動を始めたのを皮切りにして、他の豚も動き出す。三匹がサクラを狙い、二匹がフローを狙っている。フローは空を飛んでいるため、豚たちの攻撃は届かない。サクラにも豚の直線的な突進は効果はなく、三匹が同時に攻撃したところで、単調な攻撃を回避できないわけがないのだ。サクラはすれ違いざまに拳を叩き込んでいるが、泥の鎧のせいで手ごたえがない。さらに手に泥が付くため、物理的な攻撃をしたくないと考えてしまう。サクラは殴るのをやめて、魔法でどうにかしよとうと思った。そして、彼女が一匹の豚を丸焼きにするために、相手の体を丸々包むほどの大きさの火の玉を作ろうとしたその習慣、彼女の後ろで、何か大きなものが落ちたような音がした。一瞬振り返ると、フローが地面に堕とされていた。豚にやられたのかと思ったが、そんな力を持っているとは思えない。すぐに彼女を地面に落とした正体が分かった。それは動く木だ。周りの木々と見た目は変わらない。顔も口もないのだが、その木だけは動いていた。サクラの知っている言葉で言えば、トレントだろう。豚だけならどうにでもなると思っていたが、そう簡単にはいかないらしい、とサクラは拳を強く握った。

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