表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
12 空白の鍵
64/266

空白の鍵 3

「サクラの持ってる鍵を使えば、その力を消失させることは出来る」


 メイトはサクラの持っている鍵を出してもらい見せた。ドズはメイトの頭がおかしくなったかもしれないと明らかに彼を疑っていた。しかし、メイトはいたって正気で、正常だ。サクラの持っている鍵はただの鍵ではないのだから。


「ふん。じゃあ、やってくれ」


 ドズは信じようと信じなかろうと、ドズには何もデメリットはない。何も起きなければ、そのまま力が残るだけだ。彼にとってはなくなったらラッキー程度の話なのだ。


「じゃあ、サクラ。その鍵を使ってみてくれ。ドズに鍵の先端を触れさせて、鍵を掛けるように、左に捻るんだ」


 サクラは頭に何も描かれていない鍵を手に取る。その鍵の先端をドズの手の甲に触れさせた。実際にはマークに鍵を触れさせる必要はない。彼女が鍵を肌に触れさせると、その鍵の先端がドズの体に入りこんだ。ドズは息を飲んだが、痛みはない。それどころか本当にこの力とおさらばできそうだということに、一抹の寂しさと大きな高揚感があった。彼女は鍵を錠に鍵を掛けるように左に鍵を捻った。すると、彼の手の甲のマークが輝き、その光が鍵に吸い込まれていく。特に鍵に変化はなく、ただただ光を吸収していく。鍵に光が吸い込まれていくと共に、ドズの手の甲のマークが消えていく。そして、光が止むとドズの手の甲のマークは完全に消えていた。もう、彼は虎化の能力は扱えなくなった。


「終わったみたいです」


「あ、ああ。そうか。少し疲れた気がするが、これで縛られなくて済むぜ。ありがとよ」


 ドズの顔は怖いが、本当に感謝しているようだった。彼は手の甲を見て、そこに本当にマークがないことを確認している。


 その間、フローはとても退屈そうにしていたのは、誰も気が付いていなかった。


 そのまま、ドズはギルドへと戻った。




 三人はドズの力を封印した後、まだ広場にいた。フローは相変わらず、退屈そうだった。メイトとしてはサクラが居ればいいのだが、フローにそれを言ってもこの場所から去ろうとはしないことは明白だ。


「それで、これで、封印できたんですよね。これで、ドズの持ってた力を使えるんですか」


「いや、鍵を見ればわかることなんだが、あれは力のコピーなんだ。あれをどれだけ封印しても、鍵に力は宿らない。ゾディアックシグナルのメンバーを封印しないとダメなんだ。つまり、ドズは力を与えられただけで、ゾディアックシグナルのメンバーじゃないってわけだ。つまりは今のところ、アクアリウスだけが見たことあるってことだ」


「彼女を封印すれば、アクアリウスの力を使えるようになるってことですか。なるほど」


 メイトの言ったことは理解は出来たが、アクアリウスを封印するのはすぐには出来そうにないだろう。一度だけしかあったことがないが、その時でも勝てる見込みはなかったのだ。しばらくは、ヴァルゴの鍵を含め、三本の鍵で戦うしかない。


「時間を奪ってしまってすまなかった。引き続き、ゾディアックシグナルの調査はしているから、進展があれば僕の方から尋ねるから。よろしく」


 サクラははいとだけ返事をした。メイトの話はそれで本当に終わりのようだった。結局彼から受けた相談を解決したわけではないのだが、ドズの力を封印できたのは前進なのかもしれない。サクラが少し真面目に考えていると、フローがサクラの顔を覗いていた。


「フロー、どうしたんですか」


「いや、話は終わったようだし、一緒にギルドで依頼を受けたいなと思ったんだが、いいか」


 サクラはゾディアックシグナルのことは一度頭の片隅にでも置いておいて、フローとギルドで依頼を受けることにした。



 ギルドの掲示板に貼られている依頼も多くなっている気がする。最初に見たときも、掲示板に貼られている依頼の書類は多かったが、今は依頼の紙が重なって下の紙が見えない部分があるほどだ。サクラも依頼書を見てはいるが、フローが選んだものに同行しようと思っていた。フローは隅から隅まで見るようにじっくりと掲示板を見ていた。依頼書が多くなっているため、時折、上になっている紙を捲って下の紙をみているが、すんなり決まらない。彼女が受けたい種類の依頼が見つからないのだろうか。そう思っていると、彼女は依頼書を二枚、掲示板から剥がした。彼女がサクラにその紙を見せる。そこには森の魔獣討伐の依頼が書かれていた。一枚はスラッシュピグ三体の討伐、もう一枚はアプサプリング十体の討伐。どちらも出会ったことはないはずだ。何にしろ、近くの森で出現しているため、そこまで強い魔獣ではないだろうと、楽観視して受付に持っていくと、ナチュレはフローをじっと見つめた。


「この依頼を受けるのは結構ですが、ウルフェンよりも大変な討伐かもしれません」


 その言葉の後に、二種類の魔獣の解説が始まった。スラッシュピグは泥を纏い、足元を泥にする魔法を使う。そして、突進と同時に対象に噛み付いて、底なしの泥の中に連れ込む。アプサプリングは背の低い苗木のような魔獣で、森の中で不意打ちを防ぐのは熟練の冒険者でも難しいらしい。そして、その魔獣に付いた葉っぱのような手は鋭い切れ味らしく、不意打ちで首筋を斬られることもあるらしい。そんな強い魔獣に今まで森の中では会わなかったのを幸運と思っていたのだが、つい最近町の近くの森にまで見つかるようになったようだ。本来なら、そう言う強い魔獣はもっと自然が溢れる場所に生息する。つまりは町の近くの人の気配のする森には出てこないというわけだ。


「どうしますか。今なら、まだ依頼を受けるのをやめると言っても聞くことは出来ますが」


 そう言われると、退けなくなるのがフローだ。彼女は依頼書を受付に置いて、一言言った。


「この依頼を受ける」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ