表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
12 空白の鍵
63/266

空白の鍵 2

  サクラがフローに二人の現状を話してしまったので、メイトがサクラの話を補足して、フローに現状の話をしていた。サクラはその説明がまるで自分のせいではないかのように、暇を潰すかのように窓の外を見ていた。メイトが少しくたびれた様子で、窓の外を見ていたサクラを呼んだ。どうやら、フローにも話終わったらしい。


「で、どうするか、っていう話なんだけど」


「……そう言えば、この鍵のマークに似たの、持っていた奴がいたな」


 その言葉にサクラとメイトが彼女に少し詰め寄る。フローは怖気づくこともなく、それどころか少し得意そうにそれが誰かを言った。


「冒険者で、体のでかい奴だ。サクラと戦ったときに、虎に変身した時に、こんな感じのマークが出てただろう」


 キャンサーの鍵の頭の部分を示しながら、サクラに同意を求めていたが、サクラはそれを知らない。戦闘中にそんなこと気にしてられないのだ。さらに、超能力が二つある状態に対して疑問が浮かぶほど、この世界の常識が定着してない。それどころか、ドズとの戦闘など彼女の記憶に微かに残っている程度なのだ。そんな相手のどこかにマークがあったことなど、記憶に残っているはずもなかった。彼女はフローに同意することも、否定することもなく可愛らしい笑顔を浮かべている。フローはそれを同意だと読み取って、メイトに視線を向けたのだが、メイトはサクラが一言もそんなことを言わなかったので、彼女の笑顔は否定の笑顔なのかもしれないと思った。


「まぁ、とにかく、ドズがゾディアックシグナルのメンバーかもしれないってことになるのか。あいつがなぁ」


 態度も悪く評判も悪いが、町に対して何か悪いことをしているという話は聞かない。魔獣や盗賊の討伐では対象を原型が無くなるまでミンチにするとか、他の冒険者に無理やり依頼を受けさせたりという噂はある。しかし、町民に危害を加えたとか、商業地区で物を無理やり安く買っているとかそう言った話は聞かない。さらに、彼にもこの町の冒険者としてのプライドはあるはずだ。今まで、この町を守ってきたはずなのにここに来て、この町を無理やり変えるというゾディアックシグナルに味方するというのは何か違和感がある。


「とりあえずはギルドに行ってみようか。ドズがいるとは限らないけど」


 三人はサクラの部屋を出て冒険者ギルドへと移動することにした。サクラを真ん中にして、左右にメイト、フローが隣を歩いていた。




「あ? 俺に何か用か?」


 ドズは簡単な仕事しかしない冒険者を威圧するような立ち方で、その人たちと会話していた。彼に声をかけたのはメイトだ。誰にでもするような気軽さでドズに声をかけた。彼は誰が声をかけてきたのかと面倒くさそうな緩慢な動きで、メイトを見た。声をかけてきたのはメイトだと知ると、さらに面倒臭そうな顔をしたが、それでも話を聞くことは聞くらしい。ドズはメイトに視線を送り、何の用かと話を促していた。


「ドズ。変な力持ってるって、サクラとフローから聞いたんだが、本当か」


「変な力ぁ? なんだよ、変な力って。俺の超能力が変だって言いたいのか?」


 声を低くして、メイトの後ろにいるサクラとフローを睨みつける。この町の辺りでは種族差別や超能力を馬鹿にするというのは、許されないことである。この町ではその二つの行為をしたものは、殺されても仕方ないという共通認識があるほどだ。ドズでなくても、同じような態度になるだろう。


「違う違う。この子たちがそんなこと言うわけないだろ? 落ち着け、ドズ」


「はっ。まぁ、そうだな。嬢ちゃんも翼の嬢ちゃんもわりぃ奴じゃねーってのはわかってるつもりだ。で、何だよ、変な力ってのは?」


 ドズは剣呑な雰囲気を収めて、改めてメイトを見て問うた。


「ここじゃなんだ。外に出よう」


「ああ? めんどくせー」


 口ではそう言いながらも、ドズはメイトに付いて行く辺り、ただ暴力的な酷い人物と言うわけではないのかもしれない。サクラはドズの認識を少しだけ、本当に少しだけ認識を改めた。フローは特に彼には興味はないようだ。そもそも、彼女がここにいるのはサクラがここにいるからだった。




 町の広場の端。今はちょうど建物に日の光が遮られた場所に四人は来ていた。メイトとドズが対峙して、メイトの後ろにサクラとフローがいる。傍から見れば、ドズに脅されているように見えるかもしれないが、四人は対等な関係だ。


「はぁ、変な力ってこれのことだろ」


 彼は手の甲に、何かのマークを出現させた。オメガのマークの円の部分とその円の右側の中間辺りに円を付けたようなマークだ。そして、それはサクラとドズが戦闘した時にフローが見たマークと同じであった。


「なっ。ドズ、この力はだめだ。使っちゃだめだ」


「わかってる。この力をくれた奴も同じこと言ってたぜ。あんまり使うなってな。正直、今はこんなものいらねえよ。力を返したくても、くれた奴がどこに居るかもわからねーからな」


 ドズはサクラとの戦闘の後、反省していた。この虎化の力で勝利しても、それはきっと自分の力ではない。この力で人に勝っても虚しいだけだ。そう思えば、この力に頼って依頼をこなすのも自分がこの力に甘える弱さを突きつけられているようで、嫌だったのだ。


「で? これのこと訊いてきたってことは、どうにかできんのか?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ