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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
12 空白の鍵
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空白の鍵 1

「僕が渡した鍵、持ってる?」


 その日、メイトがサクラの家に訪ねてきていた。彼はいつもより深刻そうな雰囲気を持っていた。その真剣な目で見つめられて、そう言われたため、サクラは少し怖かった。彼女が返事しないことがメイトは気になったが、その瞳に怯えが見えた。ようやく、自分が怖がらせているのがわかった。


「あ、すまない。少し寝不足なんだ。ははは」


 彼は顔を片手で撫でながら、そう言った。サクラも冗談か本当のことなのかわからないが、彼がいつもの雰囲気に戻ったのを見て、サクラの瞳から緊張と恐怖が無くなった。メイトもそれを見て、改めてサクラに問うた。


「鍵の中で模様が入ってないの、持ってるかな?」


 サクラはポケットに手を突っ込んだ。そこから出てきたのは全ての鍵だ。鍵の頭の部分に穴はないが、彼女は鍵の差し込む部分を紐で括っていた。彼女はそこから頭に何も書いていない鍵を全て渡した。彼はそれを一本ずつ見て、眉をひそめていた。それから、何かを思いついたように顔を上げた。


「この何も書かれてない鍵を使ったことは?」


「いえ、ありませんね。そもそも、新しい鍵が無くても戦えていたので、気にしてませんでした」


「いや、そうじゃなくて。封印にも使ってないってことだよね」


「ああ、はい。そのそのタイミングも誰がそうなのかもわからなかったんです」


 何も書かれていない鍵の使い方は教えてもらったが、ゾディアックシグナルのメンバーかどうか判断する材料がない。今のところ、アクアリウスしか知らないのだ。他の者にあっていたとしても名前を聞かなければ星座に関連した名前なのかもわからない。見た目だけでは判断することは出来なかった。


「ああ、そうか。知ってるはずないもんな。すまない」


「いえ、大丈夫です。それで、アクアリウス以外のメンバーはどこに居る、とかわかるんですか」


「いや、すまない。居場所もわからない。この町で動きがあればすぐにでもわからるんだけど」


 相手を発見できていないということは、相手に大きな動きはないということだ。そして、そうなるとこちらから発見する手段がない。つまりは力の封印もできないというわけだ。しかし、アクアリウスの部下の場合は、見た目で判断がつく。その姿も町では見かけないのだが。サクラはこのままではどうしようもないままで、気付かないうちに町が変化させられていたということもあり得るかもしれないと思った。変化が止められない程に進行してしたら、ミラクルガールがいても意味がないのだろう。


 二人はそれぞれに頭の中で現状について頭を悩ませていた。そんな中、フローが今日も彼女に部屋に訪ねてきていた。メイトは未だ、部屋の中には入っていない。玄関のところでずっと二人で悩んでいるのだ。それは傍から見れば、異様な光景に見えていたのかもしれない。フローはその様子を疑問に思いながら、近づいていった。


「二人で何してるんだ?」


 声を掛けられてようやく、サクラがフローに気が付いた。さらに、玄関で頭を悩ませていたことに気が付いて、二人を部屋の中にいれる。しかし、メイトはフローの前でその話をしてもいいものか少し考えた。サクラの友達であるように見える彼女にこのミラクルガールの本来の仕事について話せば、きっと彼女は反対することもなく、サクラを手伝うと言い出すだろう。その友情は尊いものだが、単純に魔獣を倒したり、盗賊の討伐をしたりと言う依頼とは敵の強さが異なる。そんな依頼が可愛く思えるほど強いのが、ゾディアックシグナルのメンバーだ。彼女の実力はサクラの少し下という話は聞いた。つまりは、この町のギルドの大抵の冒険者よりは強いというわけだ。しかし、それだけで対抗できるほどではないのだ。ドズやフィムストでも敵わないだろう。試験官資格を持っている冒険者が集まってようやく一人倒せる程度だろう。さらに大抵の場合、メンバーたちは単体での戦闘をすることは少ないのだ。


 しかし、メイトが話すべきかと迷っている間に、サクラは迷いなく現状を話していた。何に付いて悩んでいるのかを離すためには、今サクラたちが置かれている状況を説明しなくてはいけないのだが、それも彼女はフローに話している。


「そうか。なるほどな」


 そして、サクラは持っている鍵を全て、彼女に渡した。彼女はその鍵を持っても、特に何かあるようには見えない。ただ、鍵を上から見たり、下から見たりしているだけだ。彼女はミラクルガールではないのかもしれない。サクラはミラクルガールが自分一人でなかったなら、この町にミラクルガールの素質がある者がいて、既にあっている可能性が高いと思っていた。しかし、今持っている鍵の中には、フローに適合する鍵がないのか、それとも彼女自身に適性がないのかわからないが、彼女はミラクルガールとしては戦うことは出来ないらしい。

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