表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
8 乱暴者の冒険者
40/266

乱暴者の冒険者 4

 落下してくる白い虎と斧が眼前に迫ってきたとき、サクラの体は真横からの衝撃によって吹っ飛んだ。サクラは我に返り、死の恐怖が頭から抜ける。ぼうっとしていた頭ははっきりとしていた。とにかく、今自分が吹っ飛んだ原因を探せば、腰の辺りに白い翼が生えている天使がいた。フローはサクラと一緒に倒れていた。


「フ、フロー。あ、ありがとうございます」


「私の前では死なせない」


 フローが地面に手を付いて起き上がり、サクラに手を伸ばした。サクラはその手を無意識に掴んで立ち上がった。


「二つも超能力を持ってるのか。それともそう言う種族なのか。どちらにしろ、もう見ていられない。私も加勢するから」


 彼女は木の枝を持っていた。そして、それが彼女の手の中で光る粒子になった。消えたのかと思ったが、すぐにその粒子が彼女の手の中で何かの形になろうと集まっていた。粒子が増えるとその形が何かわかった。それは剣だ。彼女と戦うときにも持っていたものだろう。やがて、粒子は完全に剣になった。装飾の無い片手で扱える程度の剣身を持った剣だ。それが彼女の超能力。分解と再構築を行うという力だ。サクラと戦った時のように剣以外の形で構築すれば、他の武器にもなる。しかし、彼女のイメージの中にあるものにしかならないため、彼女が知らないものにはできないし、分解できるものが無ければ、そもそもこの超能力は機能しない。この場所ではあまり関係ないのだが。


 フローが剣を出したのを見て、ドズは唸る。それが卑怯だとは思っていないが、戦うなら最初からいるべきだと考えていたのだ。一瞬、怒鳴ろうと思ったが、虎化の能力を使った時点で、二人でも相手できるだろうと思ったため、何も言わなかった。それどころか、これで勝てば、虎化の力をくれたレオにいい報告が出来ると思ったのだ。


 先に動いたのはドズ。一人だろうが二人だろうが、先手を取れば勝てる。彼はそう言う思い込みがあった。その考えは、間違いではないのだろう。賢く思考できる相手でなければ、対処も難しいのかもしれない。しかし、サクラとフローは動物のように本能で動いているわけではないのだ。そして、フローの翼は飾りではないのだ。フローは翼を広げ空に浮かんだ。サクラは既にそこから移動していた。ドズはどちらを狙うべきかと、二人の移動した先を三度ほど交互に見た。そして、地上にいるサクラの方が狙いやすいと、彼女を追うことにした。しかし、上空からは魔法が飛んでくる。森の中でないため、木が虎の姿を隠すことはない。大小さまざまな岩がドズに向かって飛んでいく。ドズは上から来る魔法に意識を向けさせられる。意識が自分に向いていないことが分かったサクラは魔法を放つ。虎の顔より少しだけ大きい火の球を五つほど出現させて、それをドズに向けて発射する。しかし、そんな熱を発するものを虎である彼が感知できないはずもなく、ドズは超能力を使って、さらに上に移動する。しかし、火の球は彼追尾するように移動した。しかし、真っ直ぐ自分に向かっているのだから、その魔法から自分を守ることは簡単だ。ドズの前に再び、水の壁が出現する。そこから水が垂れようとしたところで、その壁が凍った。ドズはその現象に理解が及ばない。フローが水の温度を下げたのだ。火の球がその壁にあたり消失する。少しだけ凍った水の壁を削りはしたが、貫通するほどの力は無かったのだ。ドズは驚いたものの、結局はその魔法を防げたことに内心、安堵した。その瞬間、彼の顔面に氷の壁を突き破って、岩の塊が飛んできた。もろに顔に直撃したため、脳が揺れ、視界がぐらつき歪む。視界の中が何重にもなって見えた。そして、空中にいたため、彼はそのまま落下した。地面に体を横たえ、ピクリとも動かない。体から白い毛がなくなり、元の人型のドズに戻った。彼は硬い斧の持ち手の棒を枕にして気絶していた。


 サクラの足から力が抜け、内またで地面に座り込んだ。その瞬間に、彼女の変身が解かれてしまう。鍵が勝勝手に外れて、彼女の膝の上に落ちた。フローは地面に降りても、そのままじっと立っていた。彼女がずっと倒れたドズを見つめていても、彼は少しも動かない。かろうじて息をしているのが確認できる程度だ。


 サクラは膝の上に落ちた鍵を拾い、ポケットにしまった。座り込んでしまったサクラに再びフローが手を差し出した。サクラはその手を掴んで立ち上がろうとしたが、足に力が入らない。完全に気が抜けていて、手を借りても自立することが出来なかった。フローはサクラの膝の裏と背中に手をやり、彼女を横抱きで抱き上げた。完全にドズは放置で、二人は町に戻っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ