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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
8 乱暴者の冒険者
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乱暴者の冒険者 2

 変身した状態でも相手の高速移動を認識することが出来なかった。それがドズの超能力。誰の目にも止まらない程の速度で短距離を移動できるという物だ。意味通り、誰も彼の移動を認識できない。しかし、認識で着ないのは移動だけで、攻撃や魔法はその影響を受けていないため、攻撃は認識できる。しかし、初撃を避けることは出来ない場合がほとんどで、その大斧を食らえば、無事ではいられない。死にたくなければ、その時点で降参するのだ。


「逃げてばかりだと勝てないって!」


 斧の猛攻は続く。回避して距離を空けてもすぐに詰められる。その速度は一瞬だ。テレポートにしか見えないだろう。高速移動だとしても、その移動を止めるよりも速く相手が近づいてくるのだ。彼女はそうかと思いつく。相手が動いてから止めることばかりを考えていたが、動く前から止める準備はできるのだ。彼女は地面からいくつもの壁を出現させた。移動ルートを制限したのだ。


「この程度で止められるわけないだろ!」


 彼は短距離高速移動を何度も繰り返す。止まった瞬間に、斧を振り回り、壁を壊す。壊れた壁からは土の魔気が抜けて、粒子になって自然の魔気へと還る。そもそも、この程度の邪魔をどうにかできないと、強いなんて言われはないだろうと思ったが、結果を見てから考えても仕方ないことだ、と割り切り、戦闘を続行する。しかし、次々と進路を妨害するように行動する。水の球を浮かせてみたり、不可視の刃を設置してみたり、火の球を置いてみたりしたが、進路妨害はサクラが思いついたことは、彼と戦闘したものが既に試しているのだろう。全てがその大斧によって切り伏せられる。もはや、そう言った小手先の魔法は効果がないのだろう。彼女は更に考えないと対策が出来ないなと思った。しかし、逃げながら考えるというのは中々難しい。ましてや、戦闘経験も相手よりはないだろう。彼より強い者と戦ったとしても、経験の数の差は埋まらない。


「隙だらけだな」


 ドズの斧がいつの間にか、彼女の横腹を捕らえていた。思考しながら、連撃を回避し続けるのは無理があったのだ。斧の刃の部分が腰に巻かれたリボンに触れると同時に、ジャンプする。それも全力でだ。フローとの戦闘で上昇させたジャンプ力が発揮される。ドズが彼女を見上げている。彼の周りに彼と同じくらいのサイズの岩の塊が三つ出てくるのが見えた。おそらくは土の魔法なのだろう。それが勢いよく、彼女の方へと飛んでくる。空中にいては体勢を変えることは出来ないが、魔法はまだまだ使える。


「ロック、ドロップっ」


 彼女の周囲に四つの岩の塊が出現する。彼女が手を上げて、その手を下げると、四つの岩も連動して落ちていく。彼女が最初こそ彼女の落下速度より遅かったが、岩の方が速く落ちていく。四つの内、三つは相手の岩にぶつかり、大きな衝撃波を広げて砕け散る。最後の一つは相手の頭上に落ちていく。しかし、既にそこにドズはいない。その岩が地面にぶつかると大きく地面を凹ませた。それはクレーターと言えるようなものだろう。そこに生えていた草もなくなり、土が露出していた。さすがにその威力にドズも驚いているようだが、怖がっている様子はない。どちらかと言えば、この魔法を使えるほどの実力の奴を負かせるということに興味があるようだ。


 しかし、岩も躱され、彼女は落下するだけだ。落下地点を大きく変えることは出来ない。着地に近くなれば、それだけ隙が生まれるのは彼女も理解しているが、どうにもできない。ジャンプしなければいいだけなのだが、それが出来るほどの実力があるなら、ドズ相手に苦戦するはずはないのだ。


 ドズは彼女の着地に合わせて窪みを折りていた。サクラの視界には彼は映っていない。彼はクレーターを下りるのに超能力を使用していない。クレーターは球面であるため、直線移動が出来ないのだ。こんな窪んだ場所での戦闘をしたことがない彼は、対処できていない。サクラが着地しても彼は彼女の近くに移動できていない。サクラがドズの方を見た。サクラが認識しているのを今度はドズが認識していない。サクラはサクラ一人を包めそうなほど大きな水の球を出現させた。そこから、細い柱をいくつも彼に向けて伸ばしていく。その先端が凍り、柱の先端が彼の体を打った。いきなりいくつもの魔法を受けて、彼は後ろにふっとんだ。球面のせいで、足で倒れないように踏ん張ることもできない。後ろに下げられて、足が引っかかり無様に転んてしまった。大斧の頭が彼の横に刺さった。


「くそ、油断した。ここからは本気でやらないと」


 彼はすぐに立ち上がり、クレーターから脱出する。彼は今、この瞬間に自分の弱点の一つを認識してしまった。サクラは、強化されている跳躍力を利用して、ドズの元へと跳んでいく。

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