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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
8 乱暴者の冒険者
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乱暴者の冒険者 1

「サクラ!」


 フローとの戦いから、何日かが過ぎた。ラピスとも毎日顔を合わせるようになり、少しずつだが仲良くなっているだろう。彼女の表情は大きく変わらないため、彼女の心を詳しく知ることは出来ないのだが。そして、町を歩いているとフローと会うことがあった。サクラを見つけると必ず今のように声をかけてくれた。サクラも彼女に呼ばれて嫌なことは何もないため、彼女に駆け寄っていた。


「今日は何をしてたんだ」


「特には決めていません。冒険者ギルドとウェットブルーには顔を出すつもりです」


「そう言えば、冒険者何だったな。私もなれるのだろうか」


「試験を受けて、合格すればなれますよ。私は戦闘の試験でした。同じ試験ならフローは楽勝で合格できそうですね」


「そうか。今日はサクラといたいから、明日か明後日に受けよう」


 あの友達になりたいと言った日にはあれだけ嫌がるような素振りを見せていた割にはこうして仲良くしてみると、中々素直な人だった。今のように、一緒にいたいだの、明日も会えると良いなだのと言うのだ。サクラはその言葉に嬉しくなり、思わず笑顔で返事をしてしまうのだ。そして、これが一番の変化かもしれないが、彼女は悪いことをしている人を見ても、すぐに暴力を振るわなくなった。力が全てではないと理解したわけではないようだが、強いサクラのやり方を真似ているようだ。


 二人はまず、冒険者ギルドに入っていった。サクラが入ると、皆が彼女に注目した。それは仕方ないことかもしれない。少女がウルフェンリーダーを倒し、冒険者を簡単に下した天使を倒したというのだから、その実力が計り知れないのだ。そして、その中の何名かは、彼女を応援しようとしている者もいた。それは、彼女の力の恩恵にあやかりたいと思っているわけではない。単純にその強さがどこまで通用するのか、そして、彼女がどこまで行くのか見たいというだけだった。


 だが、それを気に食わないと思っている人も少なくない。露骨に彼女を応援すると、その人たちに目を付けられるため、目立つ応援は出来なかった。そして、大抵の場合、気に食わないと思っている人たちの方に、力を持っている人がいるのだ。


 サクラの前に彼女の身長の二倍とまでは言わないが、それくらいに見える筋骨隆々の男性が立ちふさがる。フローがその敵意に反応して、その男を睨む。すぐに手を出さなくなったのは成長かもしれない。


「おう、サクラの嬢ちゃん。随分暴れてるみたいだな。ウルフェンリーダーに天使の討伐。と言うか、天使は奴隷にでもしてんのか。ぐはは」


 下品な笑い声で、天を仰ぐ男の喉元に、彼女の拳が迫る。寸止めせずにそのまま殴り抜けた。しかし、その拳に手ごたえはない。


「いきなりだな。何怒ってんだ? ぐはは。まぁ、なんでもいいや。俺と勝負しようや。サクラの嬢ちゃんの力がほんもんかみたいんだが」


「いいですよ。ぼっこぼこにしてあげますから」


 サクラはその冒険者に連れられて、ギルドを出ていった。ナチュレがその光景を見ていたのだが、止める前に出ていってしまった。他の冒険者も二人を止めることは出来ない。筋肉の男はこのギルドで一番力を持っていた。彼に逆らうことが出来るのはナチュレとギルドマスターだけだ。メイトも極力彼とは顔を合わせないようにしているほどの人物。そして、その二人にフローも付いて行った。サクラが危険な目に遭うようなら加勢しようと考えている。フローはサクラの負けたことで、絶対的な力という物はないのだと理解した。人間に負けることなど無いと思っていたのに、負けたのだ。サクラも同様に何にも負けない可能性はないとは言えないのだ。そんなときに少しでも加勢できればと思って付いて行くことにした。




 三人が来たのは町の外の草原。森の中は魔獣が出て、勝負を中断されるかもしれないからという理由で、草原になった。二人の間には遮るものがない。せいぜいが背の低い草だろうが、それが何かの邪魔になるとは思えない。


「いいだろ。邪魔するものは何もない。真剣勝負だ」


 男は背中に背負っていた武器を両手で持った。棒の先に大きな斧の頭が左右に一つずつ付いている。食らえば一撃で死亡しそうな威力を持っていると想像できるほどだ。


「そうだな。俺はドズって言うんだ。一応名乗っておくぜ。俺だけ知ってるってのは気持ち悪いからな」


 ドズは両刃の斧をがっしり握って、勝負の準備が出来たことを告げた。彼女も鍵を胸に刺して変身する。もはや、変身することに抵抗がない。いつものように、フリフリで桜色の服に身を包む。リボンが風もないのに、腰の辺りから尻尾のように出て揺れている。


「それが、勝負服ってやつか。いいぜ、いいぜ。じゃあ、始めようぜ! 殴り合い(バトル)をよっ!」


 そう言って、彼は一歩を踏み出した。変身しているサクラでもその次の動きを視界に捕らえることはできなかった。気が付いたときには目の前にいたのだ。斧が眼前に迫り三度のバックステップで回避する。体もかすめることなく回避は出来たが、相手の動きが見えない以上対処が難しい。いつものようにごり押しで勝てる相手ではないのかもしれない。彼女の首筋を汗が伝った。

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