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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
47 煌めきも輝きも
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煌めきも輝きも 4

「まさか、この力まで使わせてもらえるとは思いませんでした。本当に、これが私の最後の力です。これ以上の全力はありませんが、こうなる前に決着をつけたいと思っていました。なぜなら、この力は手加減が出来ません。つまりは、この力で貴女たちを攻撃すれば、殺してしまいますから」


 明らかに、前とは違う雰囲気。輝くオーラが辺りにまき散らされている。さらに彼の纏う衣服がボロボロだった。今着ている物を見て、学ランを思い出した。しかし、彼女が知っている黒いものではなく真っ白いものだ。学ランと言うより、軍服と言うものに近いのかもしれない。彼の手にはいつの間にかシンプルな剣を持っていた。何の装飾もないものだ。


「ここで私の姿を見ても、戦いを続けるというのですか。ここで退くなら死ぬことはありませんが」


 それには誰も答えない。しかし、すぐに攻撃しようとする者はいない。そうしている間に、彼女たちの変身が解除された。鍵が彼女たちの前に落ち、鍵は光を発して、光が散る。


「すまない。力尽くになってしまいました」


 フローが鍵を拾って胸に差そうとしたが、鍵の先端が体の中に入らない。体に当たり、それ以上は中に入らない。鍵の頭を見れば、そこには何も書かれていなかった。


「ミラクルガールでなくなった貴女たちと、今の私が戦っても、貴女たちには勝ち目はありません。と思ったのですが、なぜ貴女の変身は解けないのですかね」


 彼の視界に入っていなかった一人が、彼の視界に入ってきた。彼女以外のミラクルガールは元から来ていた服装に戻っているのだが、一人だけ桃色の衣装を着たままのミラクルガールがいた。


「そんなの、私にはわかりません。ですが、おとめ座の記憶は貴方を止めてほしいと言っているような気がします」


 サクラは右手を握りながら、それを胸に当てる。本当にその声が聞こえているわけではない。だが、彼女が使っているおとめ座の力は、彼の変身解除の力に抵抗しているのはわかった。一瞬だけ、胸の辺りに温かい熱が発生したのだ。それも体の内側、自身の心を照らしている太陽のように感じたのだ。それが彼女が使っているおとめ座の力が抵抗した結果なのかはわからないが、結果として、彼女だけは変身が解除されていない問うのは事実だった。


「そうですか。やはり、最後まで貴女は敵になるということですね。ヴァルゴは最初にそのマークを与えた人は私に立ちはだかりましたので、その記憶が残っているのでしょう。ですが、ヴァルゴだけで私に勝てるはずがありません」


 口では余裕そうなことを言っているオフィウクスだが、その表情にはあまり余裕は見えない。わかりやすいのは口元だ。口角が中途半端に上がっていて強張っているのがわかる。


「……彼女は私と同じで一人ではなかったようです」


 他の鍵から散ったはずの光は彼女の元に集まっていた。変身を解除されて、飛び出した鍵に残っていた星座の力は鍵から追い出された。だが、そこに残る力は完全には消えずに、残る力を使ってヴァルゴの元に集まっていたのだ。ヴァルゴのマークを与えらえた人はきっと、他のゾディアックシグナルのメンバーにも慕われていたのだろう。そして、サクラもフローもラピスもオブもヘマタイトも、ゾディアックシグナルのメンバーとは少なからず繋がりがある。彼女たちに助けられたものもいたし、因縁を持つ者もいる。その想いが星座の力を動かしているのだ。記憶が残るという特性のお陰で、最後に残るサクラの周りに集まって、ミラクルガールを助けようというのだ。全ての星座と言うわけではないが、星座の力の光が、彼女の体に染み込んでいくように彼女の体に取り込まれていった。


「記憶が、流れて……」


 彼女でなければ、溢れ出てくる記憶に彼女の体も脳も心も耐えることは出来なかっただろう。彼女は超能力で全ての能力を上昇させていたのだ。そのお陰で、彼女は記憶と感情の濁流にも耐えられているのだ。彼女は星座が持っている記憶が次々と一つ一つを見る間もなく流れていく。それでも、そこにある感情が彼女の心を揺るがしていく。たが、それで彼女の心に負担がかかるわけでもなかった。


 現実の彼女は動かなかった。サクラ以外のミラクルガールは彼女が動かなくなったのを不審に思った。それは彼女がどうにかなったというよりは、オフィウクスの力で動けないようにされているのではないかと考えていた。しかしながら、それを卑怯とは思わなかった。戦闘においては、自分に有利なように状況を持っていくのは当然のことだ。自身の脅威となる最後の一人を動けなくして、倒せば彼を邪魔する人はいなくなるのだ。彼女たちも目標まであと一歩となれば、そうするだろう。


 だが、彼は一向に攻撃する様子がない。彼が動けば、彼女たちはサクラを守るために、彼の前に立ちはだかろうと考えていた。

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