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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
47 煌めきも輝きも
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煌めきも輝きも 2

メイスを弾かれた彼女は彼女は、そのままメイスを腕を回して下に移動させて、斜め下から、彼にぶつけようとしていた。そのまま行けば彼の背中にぶつかり、多少はダメージを与えられるだろうと思ったが、メイスは再び弾かれる。二撃目を弾くときには彼の槍が既に彼女を斬りつけられる軌道を取れる位置に来ていた。彼は槍の中央を持って、盾に回転させる。メイスの刃の無い方で彼女のメイスを弾き、刃が彼女に迫る。


「サクラっ」


 フローが彼女の前に無理やり入り、彼女を後ろに押す。サクラは倒れることなく、刃を回避することが出来た。フローはハサミではなく、自らが作った鎧の一部で防御していた。つまりは、彼女は腕に付けていたアーマーで何とか、彼の槍を抑えたのである。そして、その状況はフローの方が攻撃が速く届く距離だった。彼女はバラバラにしていたハサミの一本を彼に向けて突き出す。彼は後ろに下がり、回避する。彼が後ろに飛んだ時点で、彼女も前に出る。自身の得意な距離からそう簡単に逃がすはずもない。このチャンスは中々来ないだろう。彼女は二撃目、三撃目と連続で斬りつけようとするが、どの攻撃も回避され、槍に抑えられている。彼女が攻撃している間に、他のものがぼうっと突っ立ているわけではないのだ。だが、それはオフィウクスも理解していることで、彼はすぐ近くに迫っていたオブを槍の後ろで着いて、後ろに押した。彼女にはダメージが蓄積されていて、バランスを取れなくなりしりもちをついた。何度でも飛んでくる矢は既に彼に不意打ちの効果をもたらすことは出来ずに甲羅で簡単に防御される。


「こういうのは好きではないんですが、仕方ないです」


 サクラがメイスを正面に構えて、そこに小さな火の球が出現する。それは徐々に大きくなっていく。サクラ以外のそこにいる全ての人が、サクラが魔法の準備をしていることに、魔気の流れでわかっただろう。だが、その準備の時間が明らかに一般的な攻撃に使用する魔法よりも多い。彼女はこの時代には使われない魔法を使おうとしていると、誰もが簡単に理解できていた。使う前に集中する必要がある強力な魔法は既に使われなくなった魔法だ。体内に溜めておける魔気の量からしても、一回打てば、次に威力の弱い魔法でも使うためには時間を置く必要がある。御伽噺や伝承の中で勇者や魔王、魔女や賢者が話の最後に使うような魔法だ。それを現実にやろうとすれば、それだけの魔気が必要になる。この時代にそれだけの魔気を操れる人と言うのは珍しいのだ。そもそも、勇者や魔王、魔女や賢者クラスの能力を持つということは、それを使わないといけない程の敵が出てきていたということでもある。それはオフィウクスのような存在と言うわけでもない。だが、サクラは御伽噺も伝承も知らない。それは元の世界にあった魔法を全力で放ってやろう考えただけの魔法だった。


「エクス、プロージョンッッ!」


 彼女がそう叫ぶと、メイスの前に出てきていた小さな火球は素早く撃ちだされる。フローや他のミラクルガールはまだオフィウクスの近くにいる。彼女の放ったエクスプロージョンがどれほどの威力なのか、彼女は自覚していない。さらに言えば、彼女は自分が魔法を打ては他の皆は逃げてくれると勝手に信じていたのもある。


「あれほど濃密な魔気、さすがにもらうわけにはいきませんね」


 彼は纏わりつく、ミラクルガールを吹っ飛ばして逃げようとしていた。だが、そう簡単には逃げることは出来なかった。


「逃がさない」


「どこ行くんだよ?」


 彼に液体状の金属を纏わりつかせて、それを固めて動けないようにしているのが、フロー。さらにそれを上から見えない手で包み込んでいるのが、オブ。彼はもはや自由には動けない。この状態でマークを使っても、大した動けないだろう。オフィウクスのマークを使っても、勢いをつける何かが無ければ、いくら強化しても無駄だ。彼のマークの力の彼のイメージは、元からあるもの、作ったものを倍にしていくようなイメージだ。レオのマークはあるものに足していくイメージだが、それでは今自分を拘束している物を解くのには力が足りない。


「あの魔法。君たちも巻き込まれますよ。逃げなければ、貴女たちは死にます。私にはアクアリウスがありますが、貴女たちは死ぬかもしれないのですよ。早く逃げましょう!」


「はっ、それがあるってんなら、いいだろ。オレと地獄に堕ちようぜっ!」


「ただの勘だが、お前はアクアリウスを使って全快するわけじゃないんだ。致命傷を回復することが出来るのは凄いが、その力にも限界はある。超能力は完璧ではないということだな」


 二人は軽く口角を上げて笑っていた。オフィウクスはそれを見て、これはもう逃げ出せないと悟る。彼の頭の上にアクアリウスのマークが出現した。それとほぼ同時に、エクスプロージョンが彼にぶつかった。

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