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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
45 五つ
252/266

五つ 1

 メイトに呼ばれたヘマタイトはウェットブルーを出て、町の外に出ようとしていた。町を出た時点で、森に挟まれた道にはオブとラピスが走っているのが見えた。そして、更に森の向こう側では誰かが戦っているのが見えた。戦っているのはどちらも人型で魔獣と人が戦っているわけではないようだった。戦闘している片方には白い翼がついていて、それがフローだとわかるだろう。ヘマタイトもそれをわかっていたし、彼女の前を走っている二人もわかっているだろう。


 ヘマタイトを追うように、カイトとメイトも少し遅れて、走っていた。彼らが何か戦力になるとは思っていないが、サクラたちが心配だからついてきているだけだ。もし、ピンチになったなら、彼女たちを背負ってでも町に逃げるつもりだった。




「私が予想していたよりも、実力があるということなのでしょうか。特に、フローライトさんの成長は著しいですね」


 

オフィウクスは二人と戦闘しながら、二人の実力を見ていた。回避だけでなく、チャンスがあれば反撃していた。二人は手を変えて、連携して攻撃もしていたが、彼からの反撃を受ける回数も増えていた。


「二人だけでは、私に勝利することなどできません。現に、貴女たちだけでは、攻撃も防御もままならなくなってきているではありませんか」


 オフィウクスは最初よりもさらに余裕そうに話している。フローは既にサクラの隣に移動してきていて、彼は二人を見下ろしている状態だ。その光景は二人が追いつめられているようにしか見えない。いや、実際に追いつめられているのだ。彼が自ら攻撃するように行動していれば、既に自分たちは負けているだろう。あくまで彼は、二人だけなら、自ら本気を出して攻撃する必要もないと考えているのだろう。


「さて、警戒しすぎたのでしょうか。どうせなら、他の方もつれてきた方が良いですよ。ミラクルガール五人ならば、もっとましに戦えるでしょうから」


「サクラ。やはり、私たち二人では、あいつには勝てないのではないか。私たちが挑んだ勝負だが、一度逃げて体勢を整えてから戦った方が良いと思うのだが」


 いつも強気なフローもこの現状では全く勝てる兆しも見えないため、逃走と言う選択肢を取ろうとしていた。さらに口では、二人だから勝てないと言っているが、内心では、五人いても勝てるという確信は持てなかった。だからこそ、そんなことを言ったのだが、サクラは逃げるつもりもなければ、負けると言う未来を微塵も考えていない。この場で彼を倒さなければ、また町の中に被害が出るかもしれない。それに、もし自分たちの準備を彼の口から待つという言葉を聞けても、彼がそれを守るとも思えない。むしろ、約束の日の前に彼の計画を実行されるのが一番まずい展開だ。サクラがオフィウクスを信用できないのだから、ここから逃げるという選択などすることは出来ないのだ。


 そして、二人が攻めあぐねていル間に、誰かが近づいてきているのが、彼の視界に入り、その人物を正面に捕らえるように視線を動かした。それを見ると、彼の口角がほんの少しだけ上がる。計画の完遂まであと少し。ミラクルガールを倒せば、障害になるものは何もない。ミラクルガールほどの実力がないならば、計画の邪魔をできるほどの戦力ではないということだ。


 彼がそう考えているのも仕方がない。彼が視界に収めているものは、オブシディアン、ラピスラズリ、少し遅れてヘマタイト。ミラクルガールが五人そろったのだ。それをここで倒せば、計画は終わりも目前なのだ。


 だが、彼が考えるほど、簡単なことではない。オブも、ラピスも、ヘマタイトも、いくらオフィウクスが相手だからと言って、簡単に勝たせるような性格でもなければ、そこまで実力がないわけでもないのだ。


 オブはようやく、サクラとフローが視界に入った。そして、二人を見下すように空にはオフィウクスがいる。彼がゾディアックシグナル最後の敵。彼を倒すことで、この町にはある程度の日常は戻ってくるというわけだ。それ以上に、サクラと平和な町で過ごすことが出来るというのが、彼女にとっては魅力的なことだった。ミラクルガール全員で安心して晩酌をしたいというのが彼女の願いの一つだ。だから、ここで彼を倒すという決意が、その戦闘の様子を見て、より強くなる。


「サクラっ、オレたちも戦うぜっ!」


 その声にサクラとフローが振り返った。そこにいるのはオブとラピス、その後ろにはヘマタイト。さらにその後ろにはカイトとメイトがいた。


「オブ姉っ! 助けに来てくれたんですね!」


「ああ、メイトに聞いてな。全力疾走してきたぜ」


 その割には息も切らせていないと思ったが、それもそのはずで今の彼女たちは既にミラクルガールの衣装にチェンジしているのだから、全力疾走程度では息もきれいないだろう。


「はぁ、はぁ、追いつきました。はぁふぅ」


 そして、変身していないヘマタイトがその場に到着した。 彼女は他の四人が変身しているのを見て、自身の胸に鍵を差して変身した。


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