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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
43 天使の帰還と獅子の猛攻
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天使の帰還と獅子の猛攻 4

 彼女のハンマーを見て、レオは警戒心をさらに強める。ハンマーではないが、二戦目で彼を負けに追いやったのは、巨大な斧だ。大きな武器で責め続けられると、自身の超能力もどこかで耐えきれなくなるということは、二戦目で彼が学んだことの一つだった。だから、彼女のその攻撃にぶつかることは何としても避けないといけないのだ。彼は前に受けた攻撃に多少なりとも恐怖心を抱いていた。硬化している間は、ほとんど痛みを感じることはなかった。もちろん、斧やハンマーのような衝撃を与えるような攻撃も受けたことがないというわけではない。むしろ、魔獣を相手にしていると、斬撃より殴ったり蹴ったり、と言う行動を基本だ。そして、何より尻尾を持っている魔獣はそれで攻撃してくる。それは人が使うハンマー程度の衝撃を持っているはずなのだ。それでも、彼は痛みを感じることはなかった。フローが持つ武器が特別なのだろうと結論付けたが、それは彼女のハンマーは自分の超能力では耐えきることが出来ない認めているようなものだった。だから、彼はフローのハンマーや斧を必要以上に警戒してしまうのだ。


 レオはフローが先に動くのを待っていた。フローも先にハンマーを振り、回避されると、かなりの隙が出来てしまうのは、彼女でなくともわかることだろう。互いに睨み会う結果になり、どちらも動かない。勝負は全く動かなくなる。そして、攻めることが特にレオが動きを止めたということはハンマーに対する対策が、自らの攻撃ではできていないということを示しているということになるだろう。フローは一瞬、それが彼が意図的にそう思わせているのかもしれないと思ったが、目の前の獣人がそんな小細工をするとは思えない。彼は敵で、二度しか戦っていないが、彼はそう言う手段を取るのを嫌う。フローがそう言う手を使うと、彼にはそれがかなりのストレスになるようだ。正々堂々、力と力をぶつけるような戦いが好みなのだろう。だが、それにわざわざ乗ってやる必要はないと、彼女は考えている。戦闘に置いては、自分が特に環境や、得意な手段で戦えるように場を整えるなければいけない。どれだけ、自分に有利になるようにできるかだ。


 睨みあっていた二人。先に動いたのは、フローだった。彼女はハンマーを両手で持ちながら、彼に近く付いていく。彼はそれを見て、防御するように体を固める。二戦目の時にはそれを受け止めることが出来なかったはずなのに、それを受けようというのだ。彼らしいと言えばそうだが、一度防御できなかったものをそのまま受けようというのだから、馬鹿と言われても仕方ないだろう。フローは彼が回避するようなそぶりをしないため、彼女はそのハンマーを振り下ろすことにした。地面を蹴り、軽く飛ぶ。翼を使い軽く飛んで、更に少しだけ上へ。そして、ハンマーを両手で持って、上に持ち上げる。ハンマーの頭が彼女の後ろへと移動して、彼女の体が後ろに反っていた。レオはそれを見ても逃げたり、カウンターを出すような動作はしていない。彼は本当にその攻撃を受けるようだ。彼女は彼の正面、斜め上で彼にハンマーを振り下ろす。力を溜めたハンマーは小細工もなしで、思い切り彼に叩きつけられた。衝撃音が辺りに草原に響き渡る。それだけの音が鳴るということは、それだけの衝撃が出ているということである。俺の全身に力がはいっている。だが、レオは倒れたり、潰されることはなかった。それどころか、彼は両腕で、ハンマーをガードした状態のまま、彼女のハンマーを持ち上げた。そのままハンマーを押し返したのだ。彼女は押し返されたハンマーに押されて、空中で体勢を変えられた。ハンマーの頭が上に来て、体は隙だらけだ。その隙を突こうと、レオが攻撃の体勢を取る。そのまま拳を後ろに引いて、彼女に向けて思い切りのばした。だが、フローは反撃されるところまで考えていた。ハンマーが効かない可能性のことも考えていたのだ。何の策もなく、弱点だったハンマーを受けるなんてことはないだろうと思ったのだ。だからこそ、思い切りハンマーを振った。回避するならそれでいいだろうし、受けてもなお反撃してくるなら、それに対して攻撃すればいいと考えていたのだ。つまりは、相手の攻撃を誘うための攻撃。だから、彼が反撃してくるのは、彼女の策の内にあることだった。


 彼女の腹に延びる拳は、彼女までは届かない。レオの手が何かに飲まれていた。それが拳の勢いを殺しに殺して、彼女に当たる前に拳の勢いは零になった。そして、彼が手を引き抜こうとしても、その何かにからめとられて、そこから手を抜くことが出来ないのだ。金属のように固く、その内側には沢山の小さな突起が付いており、そこに手を吸い込まれると、そう簡単には手を抜くことが出来なくなっているという仕組みだ。それに腕をとられている彼は無防備だった。

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