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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
43 天使の帰還と獅子の猛攻
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天使の帰還と獅子の猛攻 2

「扉を壊していいと思っているのですか? 貴方がどなたか知りませんが、あまりに非常識ではありませんか?」


 フローしか彼のことを知らないのだが、彼女がレオに近づく前にナチュレが彼に説教をしていた。それも当然のことだろう。ギルドに入ってきて、いきなりドアを叩き、周りに迷惑を掛けただけでなく、扉を部壊したのだ。怒られないと思っている方がおかしいのは当然だろう。しかし、レオは全く彼女に怯んだ様子はなく、それどころか睨みつけてくるナチュレを睨み返している。彼はまるで悪びれることも、もちろん反省している様子もない。そして、扉に叩きつけていた拳を離して、拳を持ち上げた。その拳の先にいるのはナチュレだ。それでもなお、彼女に怯んだ様子はない。それがレオの神経を逆なでする。その顔にイライラが募っているのがわかった。


「私に脅しは通用しませんよ。もちろん、その拳を私に落としたとしても、無意です」


 ナチュレは冷たい声で言った。レオは前の前の女には何をしても意味がないのだと理解した。むしろ、そこまで意志を貫く姿勢が気に入った。彼は拳を降ろして、彼女の前の前に袋を出した。その袋が膨らんでいるということは中に何か入っているのだろう。


「お金で同行しようというつもりですか?」


「ああ、扉を直しても釣りがくるだろう」


「マナーもなっていない者との金銭のやり取りはしません。どうぞ、お引き取りを」


「ちっ」


 彼は更に苛ついた様子で、彼女に拳を振り下ろした。寸前で止めるなんてこもなく、そのまま彼女に拳を振り下ろしている。だが、その拳が彼女に届くことはなかった。彼の手を抑えていたのはフローだ。だが、彼女がどうしようと、ナチュレはその拳程度なら彼女自身で受け止められただろう。


「フローライトさん。お戻りになっていたのですね。助けていただいてありがとうございます」


「いえ、これくらいは。下がっていてください。この乱暴者は私が退治してします」


 そう言って、フローは彼を睨んだ。レオは彼女に強く握られている拳を捻って、彼女の手から離させた。そして、フローは視線を一瞬だけ、彼の後ろに向けた。そこには開いたままの出入り口があった。それを確認すると、彼女は思い切り、彼を蹴り飛ばした。レオは、蹴りが当たる瞬間にその攻撃を認識して、腕でガードしようとした。しかし、それをフローは予測していた。その行動を予測するのは難しくはない、人は咄嗟に何かしようと思っても、次の手まで読むというのは難しい。レオは獣人であり、力や反射神経は人間よりも能力が高いが、その種族的な能力を超える予想と、速度で彼女は相手のガードしている部分とは違う場所を思い切り蹴った。彼女が蹴った場所は脛の辺りだ。ガードしていたせいで、彼女の動きの全てを見ることは出来ていなかった。さすがのレオも脛を不意打ちで蹴られて、何もなかったようには振舞えない。彼は予想外の痛みに、ガードを緩めてしまう。そこに彼女の鋭い蹴りをいれた。彼はその蹴りの威力に後退りしてしまった。彼の後ろにはギルドに入るための階段と開いた扉しかない。彼は階段に足を乗せられなくて、怪談から落ちる。堕ちる解いても五段程度の階段だ。人が落ちてもよっぽどでなければ、怪我もしないだろう。しかし、低いからこそ、恥ずかしく感じるだろう。そして、レオもそう感じてしまった。


「おい、お前。次戦うときは決着をつけるって言ったよな。今、付けるぞっ!」


 彼はそう言いながら、立ち上がると同時に彼女に飛び掛かろうとした。しかし、彼女は前に突き出している手を両手で掴んで、その手を捻った。相手の勢いを利用して、彼の手を彼の後ろに持ってくる。そうすると彼はそれ以上は動けないはずだった。だが、彼は無理やり体を動かした。彼の骨や関節がバキバキと音を立てているのに、彼はそれも気にせず、彼女の手から脱出した。


「おい、今すぐ決着をつけようぜ、ここでな……っ!」


 彼はそう言うと、フローの腹を引っ張り、ギルドの外に引っ張り出した。そのまま、彼女の腕を引きちぎるほどの力で引っ張り、彼女を片手で投げ飛ばす。しかし、彼女を投げ飛ばしたところで意味はない。彼女は天使なのだから、空中に放り出されても、そのまま落下して地面に激突するなんてことはないのだ。だが、怪我をしないことと、彼の自分勝手な行動に腹が立つというのは全く別のことだろう。フローだって、この町のことが好きなのだ。最初こそ、この町をめちゃくちゃにするところだったが、彼女この町で過ごしている内に、この町の人に優しさや親切心を感じていた。全ての人が善人だとは思っていないが、それでもこの町の嫌いな所より、好きな所の方が多いのだ。そして、ギルドには彼女と繋がりのある人も多い。ナチュレもその一人だろう。彼女が怒る理由としては全く持って十分だった。


「わかった。ただし、前と同じだと思うなよ」


 彼女は静かにキレていた。

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