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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
39 再開花
220/266

再開花 4

 サクラは今度は自身の能力の俊敏性や跳躍力など、既に上昇させてしまった能力を除いて、二割増加させた。彼女時指針が二割増しに強化された。だが、あくまで上限を上げる能力だ。常に全力で使うわけでもないため、二割程度なら問題なく体も操作できる。しかし、上限をいきなり十倍やは百倍にすると、加減自体が難しくなるのだ。上限の数値が大きければ大きいほど、細かい数字は調整できなくなる。十倍にした時点で、そこらへんの冒険者を殺さないように戦うというのはかなり難しいことになるだろう。二割の上昇でも加減するのは少し難しいくらいだ。それでも、彼女はそれだけの力を使いこなそうとしていた。


 サクラは再び、オブに近づいた。その速度は先ほどよりも速い。オブも目で追っているが、彼女も視界に収めるのでやっとといったところだ。サクラはオブの近くに行くとその速度を急に緩めて、パンチしようとした。しかし、その拳がオブに当たることはなかった。彼女は止まる場所があまりに手前過ぎたのだ。能力が二割増しただけで、制御するのに慣れるのが大変だということだろうか。しかし、彼女は上昇させた能力を最初から最後までフルで使おうとしているのだ。それはうまくいくはずもない。通常時であっても、最初から最後まで全て能力を使っているわけではない。バランスよく、使う部分だけ使っているため正常に動かすことが出来てるのだ。それに気づているわけではないが、サクラは全力で力を使うのを止めた。このままずっと全力で攻撃しようとすると、先に無くなるのは体力だと判断したのだ。


 しかし、彼女は動きを整えている間に、オブが動いていた。サクラに近づいているわけではなく、また彼女から距離を取っただけである。サクラは自身の超能力について考察しながらも、相手からの攻撃が一切来ないことがふしぎだった。オブが自分が先に攻撃するのを待っているのかと考えた。


「オブ姉。攻撃してこないと、戦いになりません。攻撃してきてください。さっき、倒されたのを気にしているのなら、私は何ともありませんから。攻撃しないと勝負になりませんよ」


「わかってる。だが、オレにはオレのタイミングがあるんだ。お前も待つ必要はねぇぜ?」


 二人とも強がっているようなことを言っているが、片方は超能力が上手く使えていないだけで、もう片方は慎重になりすぎているだけだった。しかし、お互いの言葉がお互いにとって、挑発となる。彼女は超能力がどうとかもう考えるのをやめた。オブも慎重にごちゃごちゃと考えすぎていることに気が付いた。自分はそこまで考えを巡らせるような戦い方をしないと改めて考えを改めた。両者は先ほどのお互いに殺意や戦意を感じない攻撃をし続けていたのだが、二人の雰囲気が変わった。


「わりぃな。少し本気でやることにしたぜ」


「それはお互い様です。大怪我しないように気をつけてくださいね」


 いきなり、その場に緊張が走る。まるで、強者同士が喧嘩を始めたような、ぴりつき。ヘマタイトもラピスもそれを感じていた。ヘマタイトの息を飲む音がラピスには聞こえていた。しかし、ラピスはそこまで緊張していなかった。むしろ、久しぶりにサクラの本気を見られると思うと、わくわくさえ感じているのだ。


 両者はほぼ同時に動いた。オブは真っ直ぐにサクラの方へと走り始めたが、サクラは自身の魔法の距離に合うように移動を始める。オブ姉なら近づてい来ると読んでいた彼女は、跳躍と合わせてオブが追いかけるより速く移動している。


「あそこまで、言っておいて、逃げんのかよ!」


「逃げているわ家ではありませんよ」


 オブの信仰宝庫に土の壁が一枚出現した。彼女はそれを拳でぶち破る。しかし、その壁を壊しても次の壁が彼女の前に出現していた。それも壊す。しかし、それでもなお彼女の正面には壁が出現する。それがただの妨害ではないと理解していても、彼女は避けて通るという選択肢はなく、壊して進むのだ。サクラはそれを理解しているため、土の壁を張りながらオブの足元に小さな段差を作り出した。オブはそれに躓いて、バランスを崩す。転ぶとまではいかないものの、目の前の壁を壊すことができなかった。そのせいで、彼女は顔を壁に強打する。その勢いで、土の壁は壊れた。オブは顔を抑えてはいるが、痛みもダメージもない。ミラクルガールはその程度で傷を負うほど、防御力は低くない。それは、サクラもわかっている。そして、サクラの攻撃はその程度で終わるとはオブも思っていない。オブは辺りを警戒している。しかし、それでも彼女は気が付けない。彼女の周りには風の魔気が充満しているのだ。それはラピスの技に似ているが、サクラはラピスのように魔気を周りに充満させることは出来ない。しかし、確実に彼女の周りには風の魔法が漂っていた。

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