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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
39 再開花
217/266

再開花 1

 オブの輝く拳はラピスの使った魔法を超能力の拳でぶっ壊した。土の塊は砕け散り、魔法は維持できなくなった。ラピスを守るものは何もない。だが、彼女はすぐに土の壁を作り出す。その土の壁は茶色のものではない。土の魔気の量を増やして、密度を上げているため黒い壁を建てていた。オブはそれを見ても、攻撃を止めようとは思わなかった。突き出した腕を再び引いた。彼女は黒い壁を出したせいで、無意識の内に彼女の手には力が籠る。そのせいで、彼女の手の輝きが増している。彼女はそれに気が付いていない。


 サクラはオブの手が輝いているのを見ていた。サクラだけではなく、ヘマタイトも彼女の超能力で出されていた不可視の拳が輝いているのを見ていた。ヘマタイトは今までも同じくらいのハラハラ感を持っているだけで、中に割って入って戦いを止めようとはしなかった。それは現状がどれだけ危険なのかを理解していなかったからだ。そして、ミラクルガールの力との付き合いが一番長いのはサクラだ。だからこそ、彼女は現状の危険度を認識していた。


 ミラクルガールの力を使い、攻撃が輝いているというのはかなりの威力だということになる。その輝きが強かれば強いほど攻撃の威力が増す。彼女がハサミを使っているときにそれには気が付いていた。そして、その輝きの威力は彼女は知っているのだ。ゾディアックシグナルを一撃で倒すことすらできる威力を持っているのだ。それは、星座の力を持っていてもなお、倒すことが出来るほどの力を持っているということである。ラピスはゾディアックシグナルではなく、ミラクルガールではある。しかし、星座の力を使っているということに関してはきっと同じだろう。つまりは、オブの光輝く攻撃をラピスが受けると、ゾディアックシグナルと同じ状況になる可能性がある。そして、ラピスがボロボロになり、しばらくは回復のために休養が必要になるだろう。いや、回復することが出来るならまだ幸いと言ったところだろう。ミラクルガールの力を使えば、戦闘不能塔だけではなく、死に至らしめることもできる。死なずとも、何かの後遺症が残る可能性もある。サクラはオブの攻撃をラピスが受けることであるかもしれない最悪の未来を想像してしまった。オブも大切だが、ラピスも大切な友人だ。どちらも失いたくはない。その衝動が彼女の体を突き動かした。


 彼女は手の中にあった鍵の束から、おとめ座の鍵を取ろうとした。しかし、変身している時間はない。彼女は鍵をカチャカチャいじりながらも、既に足を動かしてラピスの元へと走っていた。途中から、走るというより飛んでいると言った方が正しいと感じるような速度と足運びになる。それでも間に合わないかもしれないと思った、彼女は自身の体にもっと速く動けないかと命令を続ける。すると、自身の中の何かの制限が外れる感覚あった。その感覚は初めてのはずなのに、何度か経験しているように感じた。それが何なのか、彼女はその正体にすぐに気が付いた。だからこそ、彼女は自身の体の強固さを上限を上げられるだけ、上昇させた。それを自らの意識でそうしたのだ。ついに彼女は自分の超能力の使い方を自覚したのだ。


 ラピスはオブの輝く拳を見て防御のためにさらに土の魔気を集めて、黒い厚くしていた。そこにラピスの超能力を使用した輝く巨大な拳がぶつかろうとしていた。しかし、拳と壁の間に何かが入り込んできたのだ。オブには全く認識できていなかったが、ラピスにはそれが見えた。姿の全てが見えたわけではない。だが、彼女の特徴的な綺麗な桜色の髪を彼女が見間違えるはずがないのだ。その瞬間に、彼女の体に血は流れているはずもないのに、全身の血の気が引いていくのを感じた。全身から熱が退けるような、彼女が作った土の壁も見る影もなくボロボロと崩れていく。彼女自身もそこに立っていることが出来ずに、地面に座りこんでしまった。そして、ボロボロと崩れる土の壁の中から、彼女が落ちてきた。防御能力を上昇さえていても空中で踏ん張る場所がないため、サクラはオブの攻撃を受けてその威力のまま後ろに飛ばされたのだ。


「サクラ!」


 彼女は力の入らない体でも必死に立ち上がり、飛んできたサクラの方へと向かっていく。オブは戦闘にはサクラがいなかったはずなのに、ラピスがその名前を呼んだことを不審に思った。戦闘は一旦中止で、彼女も空から落ちてくる。地面に降り立ち、その状況を理解してしまった。今、自分が殴り飛ばしたのは土の壁などではなかった。変身もしていないサクラをミラクルガールの状態でふっとばしてしまったのだ。

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