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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
38 叩き起こしてやる
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叩き起こしてやる 5

 オブは傍から見てもかなり押されている状況だった。ヘマタイトもはらはらしている様子だ。しかし、彼女はこのまま負けるとは思っていない。むしろ、押されてからが彼女の戦闘のスタート言ってもいいだろう。


 しかし、相手の魔法の数が多く、それをかいくぐるのは難しかった。彼女は未だに超能力を使い、ラピスの攻撃を防ぎ続けている。ラピスが使う魔法は土の魔法だけではない。彼女の周りに水の玉も出現した。それは最初は球形だったのだが、それは回転しながら徐々に楕円形になり、さらに細くなっていく。最後にはまるで針のように細くなった。それらはラピスが手を前に出すと同時に、水の針がオブに向けて一斉に発射される。それでもオブは変わらず、超能力を使ってそれにも抵抗しようとした。しかし、その針は彼女の超能力の手に当たると、それに逸らされるように動き、そのまま真っ直ぐに進んでいく。彼女の体には辺りはしないものの、彼女の周りの地面に穴を開けて、水の針は消失していた。オブはそれを気にするような余裕はない。そして、彼女の土の塊も持続している。針を作り出すのに、少しだけ土の塊が少なくなったのだが、水の針の出現が安定すると、土の塊と水の針が入り混じった魔法が雨のように彼女に迫る。土の塊は心なしか小さくなっているような気がしたが物量が明らかに多くなっているため、あまり関係ない。オブは逃げようとしているのだが、やはり少しでもどちらかの足を上にあげると反対の足が上げた分だけ下に下がる。


 オブは魔法を弾く手を片手だけにした。そして、超能力を使い自身の体を掴んだ。両手で防御しきることが出来ていなかったものを片手で防御しているのだから、その分魔法を受ける回数は増える。と言うか、ダイレクトに彼女の体にぶつかっている。だが、自身の体を掴み、それを上に持ち上げると、彼女はようやく砂の中から抜け出すことが出来た。足元に柱を立てて、彼女はそこに降り立つ。自身の魔法でできている物を他人が魔法で干渉しようとすると、一度その魔法を崩さなくてはいけない。つまりは、彼女は自身の作り出した足場の上にいれば、砂の中に落ち、再び足を取られることはないということだ。しかし、干渉できないとはいえ、ラピスが飛ばす土と水の魔法が途切れるというわけでもない。オブは足場を維持しながら、相手の魔法を超能力でラピスの魔法から身を守っている。それは先ほどより意識を使う場所が多く、大変だった。それでも変身しているせいか、彼女はすぐに疲れるなんてことはなかった。しかし、ラピスの魔法をどうにかすること方法を未だに思いついていない。


 ラピスはこのまま同じ魔法を使い続ければ勝てると思った。だが、それでは圧倒的な実力差とはならない。やはり、魔法を使い続けての持久戦と言うのは圧倒的な力の差ではないのだ。彼女は魔法を打ち続けながら、彼女はその手の中に小さな火の玉を出現させた。さらに、魔法を使おうとしたことで、土の塊の魔法は維持できなくなり、オブに到達する前に周囲の魔気に溶けてしまった。水の針も鋭利さが失われ、楕円の球になっていた。水の球は速度だけはあるため、当たればダメージはあるだろう。しかし、オブの体に致命傷を与えるようなことはない。その威力の減衰も気にせず、彼女は小さな火の球に火の魔気を込める。火の玉は外から見ても完全な球体で、その球体の中で何かが動いているのが見えるのだ。さらに、火の魔気を込めていくと、赤から白へと色が変わり、その度により輝くようになる。やがて、その球は真っ白に輝くようになった。小さな球だが、その輝きは既にオブの目にも映るくらいだ。何かの魔法を使っていて、すぐにその攻撃が来るかもしれないと、オブにも予想できた。しかし、その魔法がどんなものなのかまではわからない。


「この程度で、貴女が負けるとは思いませんが、避けないとかなりの傷を負いますよ」


 彼女の手から白く輝く球がオブの目にも晒される。その光は目を背けるほどではないものの、眩しいと感じるほどの輝き。その球はラピスの手から離れたときはゆっくろと動いた。それは、少しの間、その場で停止した。しかし、すぐに動き出す。オブに向かって一直線に加速していく。白い球の魔法以外にも水の球の魔法がオブを襲い続けているのだ。そして、火の球に込める魔気の消費が無くなった分、水の球は鋭い針に戻り、土の塊が再び彼女の方へと飛んでいく。オブは移動しながら針と塊の魔法から身を守る。しかし、白い球は彼女についていく。彼女が逃げると、それだけ白い球が加速していく。

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