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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
36 モノクロの希望
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モノクロの希望 1

 ヘマタイトを挟んで、スコルピオが正面、マントの男が背後にいた。マントの男は矢を番えてはすぐに放ち、矢を連射している。その矢は真っ直ぐには飛ばず、彼女の周りを何度も回り、その円を縮めて最後にヘマタイトに当てるというような軌道を取っているため、ヘマタイトはうかつに動くことは出来ない。相手の連射が速く、既に、十本以上の矢が彼女の周りをとんている。全ての矢は回転している角度は全て同じと言うわけではなく、彼女をその場に留めようと様々な角度で回転しているのだ。ヘマタイトは逃げることは出来ないが、矢に当たることもない。最後に自分のところに来なければ、攻撃にはならないため、最後に矢を防御するだけでいいのだ。


 警戒するべきは矢ではなく、未だ何もしてこないスコルピオの方だ。攻撃の準備をしているのか、一向に攻撃してくる気配がない。土の壁でも防ぐことが出来る限度と言うのはある。いくら黒い壁を作ることが出来るとは言っても、その硬度にも限界はるのだ。当たり前だが、防御力以上の魔法は防ぐことは出来ない。それが来る前に決着をつけたいとは思うが、攻撃してからのカウンターの準備していないとも限らない。


 ヘマタイトが逡巡している間に、スコルピオは魔法の準備をしていた。防御の魔法は攻撃を認識できるからこそ、防御が出来るというわけだ。つまりは、反応速度以上の魔法を使えば、防ぐことは出来ないというわけだ。いくらミラクルガールでも、強力な魔法を受けて無傷というわけにはいかないだろう。その考えて、速度の速い風の魔法を準備していた。それも風を一か所に集めて、風の魔法を強化する。スコルピオは、風の魔法が得意ではあるが、風の魔法を圧縮して、電気にするほどの能力はない。それでも、ゾディアックシグナルの力でヘマタイトにダメージを与えられる程度の威力はでるはずだ。


 そして、ついにスコルピオの魔法がヘマタイトに近づいていく。ヘマタイトはその魔法には気が付いていない。スコルピオの魔法が彼女の体に到達して、ヘマタイトの体にぶつかったのだが、彼女はダメージはない。スコルピオのが使ったのは、風の刃を小さくして、速度重視の魔法だ。威力が落ちているのは確かにそうだが、スコルピオにはゾディアックシグナルの力がある。一般的な冒険者でも致命傷を受ける程度のダメージは与えられるはずなのだ。ヘマタイトは自身にその魔法が着弾してから初めて、何かの魔法に当たったことに気が付いた。スコルピオは、その程度の魔法ではダメージを与えられないというのを理解した。ばれるような威力の魔法でなければダメージは与えられない。ゾディアックシグナルの力を持っている人にもその軽い風の刃は効かないだろう。つまりは、その力を基準として、効果の出るであろう魔法を使うしかないということだろう。


 スコルピオは腕に、注射器を差した。それは、先ほどの魔気の吸収を高める薬だ。彼女の周りにある魔気が彼女の体に取り込まれていく。辺りの魔気が減っていることはヘマタイトもわかった。強力な魔法が来ると予想して、対処しようと考えてはいるが、彼女の周りの矢が邪魔だった。矢の対処をするために、彼女は土の魔気を圧縮していく。彼女はブラウンサクションを発動しようとしていた。いつもと同じ感覚で、自身の横一点に土の魔気を集中させる。いつもは茶色の小さな球になるはずなのだが、そこに出来たのは黒い小さな球だ。そして、ブラウンサクションを発動すると、いつもよりも周りを吸い込む力が明らかに強かった。自分以外の全てを吸い込もうとしている。周りにある矢を取り込み、この戦闘のせいで地面にから外れたレンガすら吸い込んでしまっている。そして、取り込めば取り込むほど大きくなるという性質はそのまま持っているため、力は増幅して言っている。ヘマタイトは、その強力な魔法の効果を見て、すぐにその魔法を消失させた。強力すぎて、町の中で使ってもいいような魔法ではなかったのだ。それでも、彼女の周りにあった矢は全てなくなっていた。スコルピオもマントも男も強化されていたブラウンサクションに取り込まれないように足を踏ん張るだけで、その隙に攻撃するなんて出来なかった。


「今の魔法か……?」


 マントの男も戸惑っている様子だ。そんな魔法がある以上は矢を連射したところでダメージを与えることは出来ないと踏んで、矢だけではなく魔法も使わなくてはいけないと悟る。モノクロと言えど、その力は絶大なのだ。他のミラクルガールの力は見ているため、油断はしてないつもりだったが、それでももっと力を振り絞らなくては勝てないと理解した。

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