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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
31 弱気も含めて
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弱気も含めて 4

 カプリコーンは未だにラピスに超能力が効かないことを信じ切れずにいたが、効き目が薄いというのは確かであった。だから、彼は超能力を使うのをやめて、最初と同じように肉弾戦を仕掛ける。翼を広げて、地面に足を付いていない状態で、彼女に近づいていく。平面だけでなく、空中も使い三次元的な戦法を使って戦おうとしているが、彼にはそこまで細かいことを考えられるほど能があるわけではない。ラピスは彼の打撃を受けて、その威力は記憶していた。彼女は土の魔気と水の魔気を混ぜて、衝撃を吸収するように、体に魔気を纏わせた。


 低空飛行で彼が近づいてきて、再び回し蹴りを放とうと体を回転させた。ラピスは既にその攻撃を受けていたため、簡単に回避できるのだが、彼女はその蹴りを右腕で受けた。そこに魔気を集中させて相手の蹴りの衝撃を彼女が受け止め切れる程度に吸収した。その状態のまま、受け止めた相手の足を掴んで、相手の胴にハサミで斬りつけた。足を掴まれているのにも関わらず、翼と筋力で体勢を変えて、ハサミを梳き傷程度の傷で納めた。そして、その回避の勢いを利用して、体を捻る。体の捻りはそのまま足に伝わり、回転する足を抑えておけずに、手を離してしまった。彼女は体勢を整えるために彼との距離を離そうとした。しかし、その行動は彼より少しだけ遅い。その少しの思考のラグの間でも彼はその思考の間に近づいてきていた。足を彼女の方に向けたまま、彼女の斜め上に移動した。そこで停止することはなく、彼女に足を向けて落ちていく。


 空は藍色で、完全に世留と言える時間。火の魔気を利用した揺れる微かな明かりはあるのものの見にくくなっていた。さらに相手の肌の色が紫と言うせいで、相手の姿も見にくくなってしまっていた。相手が空中にいることが分かった時点で、彼は既に蹴りを放っている。彼女はそれを何とか受け止めたのだが、先ほどよりも対処が遅くなり、バックステップで衝撃をいなすしかなかった。後ろの飛んだことで、彼との距離が離れたかと思ったが、空を飛べる彼はそう簡単には距離を開けさせてくれない。彼女が正面をみようとしたときには、相手は目の前にいて、眼前に拳が迫っていた。体を反らすことで何とか拳を回避する。彼女はそのまま後ろに体重を移動して、スローなバク転のような動きをした。相手の顔の下から、つま先が上昇してきて、顎の下から蹴り上げたのだが、威力が乗り切らず、彼には大したダメージを与えられなかった。彼はその蹴りを受けても、怯むことなく彼女に近づいていく。彼女はその度に相手の攻撃にカウンターを当てるような方法で攻撃を当てていく。お互いに徐々に体力が削られて行く。


 しかし、未だに彼は魔法を使ってきていない。ラピスは深読みして、強力な魔法を隠しているのではないかと考えていたが、カプリコーンは高度な戦闘で使えるほど魔法の訓練はしていない。その理由は簡単で、自身の超能力に頼ってきたからだ。超能力の効果があれば、魔法も体力も必要ない。格闘術を覚えたのは、囁く力をうまく使えなかったときに接近する必要があったためだ。近づくことが出来れば、魔法も格闘術も必要ない。そう考えた彼は、近づくための格闘術を覚えたが、魔法は一切練習などはしていなかった。生活するうえで必要な魔気の操作は体が覚えているが、その程度の魔法は戦闘では全く役に立たないだろう。それを役立てることが出来る魔法使いは、より高度な魔法を使える可能性が高い。彼にはそんな力は無いのだ。格闘術と超能力だけ。そのどちらも全く役に立たないとなれば、彼にできることなどは悪あがきくらいだろう。だから、彼は力で押すような戦闘方法で戦っていた。


「くそっ! なんでなんだ。お前がこんなに強いんだ。一番、弱そうだった。だから、二人を超能力で堕としたんだ。なのに、なぜ、なぜなんだ!」


 カプリコーンはもう自身の感情をコントロールできていなかった。口から出るのは恨みつらみだ。リブラを手伝い。彼女が力をなくしたから、取り戻したかった。自分ならできると思っていた。しかし、現実には勝てる相手ではなかったのだ。今、戦っている彼女さえ、ミラクルガールでなければきっと勝っていた。自らの運の無さを恨むしかない。苛立ちが彼を前に進ませる。攻撃の手を緩ませてはくれない。視界s、ラピスが相手でも攻撃だけしていれば勝てるという相手ではなかった。彼の拳や腕はハサミに斬られ続けて、血塗れだった。そして、彼の前にはいつの間にか、ハサミを輝かせているラピスが立っていた。彼女はハサミを振り上げた。

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