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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
27 分断
150/266

分断 5

 彼女はカイトの近くまで移動してきた。彼女は剣を使って、カイトの体に巻き付いている植物を斬ろうとしたのだが、剣ではその蔦を斬ることは出来なかった。その間にも、リブラからの攻撃は続いているため、蔦を斬ることが出来る時間は少ない。彼女はそれでも何度もその蔦を斬ろうとしていた。剣では駄目だと思えば、武器を作り変えで蔦に攻撃する。しかし、どの武器も蔦を斬ったり、壊したりすることは出来なかった。それでも彼女は諦めるわけにはいかなかった。彼が戦力になろうがなるまいが、サクラなら見捨てない。理由はそれだけだ。彼女にとってはそれが全てでもある。


 フローは武器が効かないなら魔法を使ってみようと思った。風の刃を作り出して、蔓にぶつけたが、蔦にはダメージを与えられていない。風の刃に込める魔気の量を増やして、刃をぶつけた。それでも刃は通らない。風の魔法を無効化するのかもしれないと、彼女は他の魔法を溜めそうとしているのだが、それ以上はリブラが許さなかった。ただでさえぎりぎりで回避できている超能力が勢いを増す。彼女が何かを握りこめば、それが植物の種になり、彼女の手からそれが離れれば、急速に成長してフローに向かって飛んでいく。回避するにも限界はある。彼女の体に破片の形の植物が掠った。服にも体にも異常はないが、その植物が掠ったという感覚だけは残っているのだ。だが、それに怯んでいては、次の攻撃を防ぐことも躱すことも出来なくなる。彼女は止まることも許されずに、攻撃を回避していく。魔法も使い、彼女の攻撃を防ごうとした。土の壁を作り出し、木の破片がその壁にぶつかる。木の破片のような植物は土の壁に突き刺さり、土の壁に穴を開けて彼女に向かっていく。彼女は土の壁を何枚か作り出して、植物を受け止めた。攻撃はやむことはない。


 フローはこの状態ではマスターを助けることもできないと思った。自分のことですら、守り切れるかどうかと言う状況。勝ち目がなくとも反撃くらいするべきだっただろうか。負ける未来を引き寄せるように、反省と暗い気分になりそうな心を無理やりにでも奮い立たせて、今の状況を凌ごうとしていた。彼女は既に持っている武器を使っていない。彼女の腕と同じくらいの剣身を持った剣は今にも手から落ちていく。それに気を取られて、防御が遅れた。木の破片は突き刺さりこそしなかったが、勢いが死に斬らなかったものが、彼女の羽にぶつかる。ミラクルガール状態でなければ、簡単に翼を失っていただろう。それでも痛みや衝撃は伝わる。翼が痺れて、空中でバランスを崩した。落とした剣に少しだけ近くなり、地面の方をみた。そこには彼女が防御した植物が大量に落ちていた。


 彼女はバランスを崩したまま、地面へと降りた。何とか足から着地した、ふりをした。地面につくと同時に、土埃を巻き上げる。それは魔法で作られたものだ。相手にダメージがある物でもない。しかし、相手の視界を遮ることは出来る。彼女はその間に、地面に落ちていた植物を大量に拾い上げる。それらを自らの鎧へと作り変えた。軽量で頑丈な金属でできたアーマーを体の各部に付けていく。まるで青い水銀のように、彼女の体に纏わりついて、彼女の体の各部位でアーマーになる。その金属は、銃なんであるがゆえに、衝撃を吸収するものだ。魔法に対しても耐性のある金属。それは現実にはないもので、今彼女が願い実現したものだ。大量の素材が地面に落ちていたからこそ、作ることが出来た物だ。土煙の中、リブラのいる位置は簡単に把握できた。魔法で土埃を払おうとしているのだから、相手の位置を特定するのは難しいことではない。自らが作り出した魔法であれば、ある程度どうなっているのかはわかるのだ。一部だけ、土埃の魔法が集まらない場所があれば、そこが彼女の居場所だとわかる。彼女は武器を彼女の背丈以上のランスを作り出して、翼と風の魔法を使って、自らを加速させる。自分に向けて魔法を使っているため、自分にも負担はある物の、その速度で土埃の中から出てこられて、回避できるはずがないだろう。彼女の狙い通り、土埃をかき分けて、巨大なランスが彼女の胴を貫こうとした。しかし、リブラはそれに抵抗していた。ランスの先端は彼女には突き刺さってはいない。先端を避けて、両手でランスを抑えようとしているのだ。しかし、リブラの足は地面には着いておらず、踏ん張る場所もない。腕で抵抗していても、壁に叩きつけられれば、いくらリブラと言えども、無事では済まないだろう。


 フローはリブラを壁にぶつけ、無理やりランスの先を突き刺した。背後の壁が崩れ、本物の土埃が巻き上がる。フローは相手の胴を貫いたという手ごたえがあった。

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