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ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
22 貴方がいなくなるくらいなら
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貴方がいなくなるくらいなら3

 スライムは堂々としたままのラピスに腹を立てていた。サクラもフローも自分と戦ったときはきつそうな顔をしていた。自分の攻撃を退けてはいたが、徐々に追いつめているという認識があった。そして、じわじわと止めを刺してやろうとしている床に彼女は来て妨害されたのだ。そして、サクラとフローの表情も少し元気になっていたようにも感じる。だから、スライムはラピスを殺せば、サクラとフローの戦意もなくなるだろうと考えたのだ。


 スライムはその考えと共に、苛立ちをラピスに無意識の内にぶつけようとしていた。その証拠にラピスの周りには青い触手がいくつもあった。いつでも殺せるというような配置だ。ラピスはそれを認識しているはずなのに、少しも怖気づいた様子がない。それどころか、彼女は既に魔法の用意をしていた。彼女の周りには岩の破片のような物が浮いていた。スライムはその欠片が何をするのかわからないため、攻撃するのを躊躇っているようにも見えるだろう。


 痺れを切らしたのは、スライムで触手をサクラやフローにしたように高速でラピスに向けて飛ばした。しかし、ラピスはその全ての触手を岩の破片で防ぐ。そして、岩の破片に触れた触手が、岩に包まれていく。ある程度、触手を取り込んだところで、触手が着れて地面に落ちた。堕ちた触手は岩になったまま動かない。やがて、魔法が消える時のように宙に消えた。そして、触手は修復できなくなっていた。スライムはより苛立ちを募らせて、触手を引っ込めた。触手を体に取り込んだ瞬間、スライムの体から三本の触手がビームのような勢いで射出された。ラピスがそれを認識したころには既に、彼女の体にぶつかって彼女の足が地面から離れていた。彼女は空中で風を起こし、その風圧で飛ばされた勢いを殺して地面に降りる。スライムは着地を狙って、彼女を吹っ飛ばした攻撃と同じ攻撃を放っていた。ラピスはそれを予測している。相手の触手に流れのある水の中に取り込んで、自分にぶつからないような軌道を取らせて受け流した。その状態で相手の触手に沿って、スライムに近づいていく。彼女はスライムを魔法の射程に捕らえると、大量の砂を出現させた。その砂はスライムを正面から覆うように広がった。相手は触手を落とされたような魔法だと予想して、その体から四角形の壁のような物を前面に展開させる。全ての砂がその壁にぶつかり、砂はその壁を飲み込むんだ。砂に飲み込まれた壁は地面に落ちて、宙に溶ける。接近しているラピスは明らかにスライムの攻撃範囲にいる。相手はスライムだが、知性がある。つまりは相手が近づいているというのに、攻撃しない選択肢はない。ラピスの胴の部分にレーザーのような水の塊がぶつけられる。顔女は後ろに吹っ飛ばされ、そこに勢いのある職種がいくつも彼女に襲い掛かる。空中ではフローのように器用に動くことが出来ないラピスは攻撃全てを回避することは出来ないだろう。しかし、回避できなくとも防ぐことは出来る。彼女の周りに風が吹く。彼女を守るように、風が彼女を包んでいる。触手はそれを突破できそうな勢いがあった。風の膜と触手がせめぎあっている。触手がぐるぐると彼女の周りを動き回り、風の膜事包み込んだ。触手は風の膜ごと、ラピスを握り潰すつもりで、ぎりぎりと締め付けようとしているが、風の膜は全く動くことはなく、それどころか触手を削っていた。それだけではそこから脱出することが出来ないと思い、ラピスは風の膜の中から、刃を様々な方向に飛ばして触手を切り刻んだ。触手はすぐには再生することが出来ず、彼女は触手の檻から簡単に脱出した。


 ラピスが奮闘している間にサクラは立ち上がっていた。彼女の視界にはラピスが勇敢に戦っている姿が映し出されていた。彼女は既に、自分と肩を並べて戦おうとしているのだと理解した。サクラはラピスを守る対象の一人として考えていたが、今戦っているのは自分ではなく、ラピスだ。サクラは立ち上がり、ラピスが戦っているところに合流しようと走り始めた。


 フローはふらふらと飛んでいたのだが、今は地面に座りこんでいた。サクラと二人なら勝てる相手だと油断していたのかもしれない。彼女と二人なら、何にも負けないと思っていたのは事実だ。だが、立った一撃受けただけで、ろくに空も飛べなくなり、今は地面に座り込んでいる。それを自覚すると自分が情けなく感じる。目の前を見れば、そこではラピスとスライムが戦っていた。彼女が戦える人物だとは思っていなかった。そもそも、彼女が戦闘できるとしても戦わないという選択肢を取ると考えていたのだ。それが、今、自分たちのピンチを救った命の恩人と言っても過言ではないだろう。休んでいる場合ではない。フローはそう思い、立ち上がる。翼を広げて、少しだけ地面から足を浮かせた。自身の超能力で、鎖で繋がれた鉄球を作り出して、ラピスの援護に向かうことにした。

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