表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミラクルガールは星の力を借りて  作者: ビターグラス
18 森の中の異変
102/266

森の中の異変 4

 サクラは地上に戻り、スライムと対峙した。スライム戦もそろそろ終わりにしたい。当たり前だが、既にカニと熊と戦っているのだ。それからギルドに戻っているとは言え、疲れを感じているのは仕方のないことだろう。これ以上の長期戦はサクラの体力切れで負ける可能性がかなり高くなるのは間違いない。彼女は火の玉を自身の周りに出現させて、それを自身の周りに浮かせる。その数は全部で八個ほど。それ以上、火の玉を出現させると、他の魔法を出すほどの魔気が残らなくなってしまうのだ。火の玉は相手の触手攻撃や水の球の攻撃から身を守るための物だ。スライム本体には風の魔法は効果があると予想して、彼女の残りの魔気は風の魔法でスライムの体を切り刻むために使おうとしている。


 彼女は適当な作戦を考えて、スライムに向けて、見えない刃をいくつも作り出して、相手の体を狙っていく。最初のいくつかの攻撃は全て回避されていた。スライムは器用に体を変形させて回避し続けていた。しかし、風の刃の数が増えていくにつれて、回避も出来なくなっていく。スライムは出来る限り、自身の体が削れないように回避しているが、それでも徐々に体を削っていた。スライムもやられるばかりではなく、相手も自身の周りに水の球を作り出した。最初と同じように水のレーザーをその球から射出してくる。それに呼応するように、ほとんど同じ出力の火のレーザーのようなものを水にぶつける。衝突するとどちらも消滅した。それでも、サクラは風の魔法を絶やさない。体が徐々に小さくなっていくスライムも焦り出したのか、先ほどよりも水の球を出現させて、一部はレーザーを撃ち、それ以外の水の球は彼女に近づいていく。近づいてくる水の球が何をするのか、サクラは知らない。何かされる前に消したのだ。今回は火の玉から触手のようなものが伸びていき、その水の球を消滅させる。魔法を使い続けられるのも限界が近い。彼女が使用できる魔気の量は既に底が見えている。これ以上は、戦い続けられない。彼女は火の玉を三つほど消して、風の刃を増やす。攻撃が増えれば、それだけ相手の体を切り落とすことが出来た。スライムもさらに攻撃の数を増やす。既に火の玉では対処できていない。レーザー二本が彼女の体に当たっているが、彼女は何とかそれに耐えて、風の魔法を使い続けていた。近づいてい来る水の玉を優先して攻撃して、水の球を近づけないようにする。水のレーザーは彼女の体に付かないが、もし水の球が体に付くもので、窒息させようとしているなら、それを止めるのを優先するしかない。この状態では、窒息を回避する手段はない。風の刃を作れなくなった時に、相手が再生しないとも限らない。ゼリー状ではあるものの、周りのものを取り込んで、再生できるなんて能力があれば、今度こそ逃げるしか選択肢はなくなるのだ。


「これで、終わりにしましょうっ!」


 サクラは水の球が近づいてきていないことを確認して、火の玉を全て解除した。使える全ての魔気を風の刃に変えて、スライムの逃げ場がないほどの量の刃を生み出して、その刃を一斉にスライムの体に当てた。スライムはバラバラになり、体が宙へと消えた。スライムの出していた攻撃も消滅し、彼女はレーザーから解放された。流石に今日だけはサクラも部屋に戻ってゆっくり眠りたい気分だった。息切れはしていない物の、彼女は立っているのもやっとだ。


 サクラはスライムのいた場所を見ていると、何かに光が反射しているのが目に入った。スライムのいた場所の近くに行くと、そこには緑色の石のような物が音ていた。完全な球体ではなく、一部が綺麗に切断されている。その破片がどこに行ったのかわからないが、その緑の石がこのスライムの核だったのかもしれない。最後に刃をいくつも出した時に、たまたまこの核を斬ったのだろう。そのお陰で、スライムを倒すことが出来たのだ。彼女はその石を持った。サイズとしては彼女の掌より一回り小さいくらいだ。彼女が握りこんでも包み込めない程度の大きさ。彼女はそれをそれを戦利品にして町に戻ることにした。


 森を進んでいる間は変身を解除したくはなかったが、彼女の体力がそれを許さなかった。ある程度、進んだところで、勝手に変身が解除され、空中に放られた鍵を両手でキャッチする。体にかなりの疲労感がある。町に戻るまでは気を緩めてはいけないのだが、彼女は歩くので精一杯だった。森の中であるため、彼女が魔獣に襲われる可能性はかなり高い。しかし、彼女は既に注意力散漫であった。そのせいか、背の高い草から魔獣が飛び出てきたところで初めて、自分が魔獣に襲われていることに気が付いた。対応する前に相手の攻撃が彼女に届くだろう。さらに対応しようにも、既に魔気は月欠けていて、変身は出来ない。彼女は死を覚悟した。目をキュッと瞑り、身を千々込める。しかし、攻撃はいつまでたっても彼女には届かなかった。


彼女が目を開くと、そこにはには薄汚れた白いシャツの男がいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ