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野球少女は天才と呼ばれた。  作者: 柚沙
伝説の幕開け
13/26

準々決勝戦



城西高校は最終回に野球の魔物に愛されてしまったのか、準々決勝でも最終回に魔物に襲われることになった。



準々決勝


千葉県代表成田女子高校 対 福岡県代表城西高校



今日は光の調子があんまり良くなかった。



かなりコントロールがアバウトで、球の球威やキレで力押しのピッチングが続いた。



3回表に1つデットボールを与えてしまい、それが運悪くその日最速の136キロのストレートだった。



相手選手の足に当たってしまい一時立ち上がれずに悶絶していた。



光は申し訳ないなと思いながらも後続の打者をしっかりと抑えた。



4回裏まで0-0の均衡状態だった。


先頭バッターの光がツーボールツーストライクからの相手の緩い低めのカーブをフルスイング。



打球は鋭いライナーで飛んでいくが、フェアかファールか際どい。





「ホームラン!!」




ライトポール直撃のソロホームランで先制することに成功した。





その後の投球もカウントが悪くなりながらも、ストレート中心の配球で何だかんだ被安打3、1死球、9奪三振で悪いながらも投球内容をまとめていた。




そして、6回裏の攻撃ツーアウトランナー1塁で光に打席が回ってきた。



相手の投手は変化球中心で、前の打席は相手の得意球のカーブを光に軽々ライトスタンドにホームランを打たれていた。



ここも相手は逃げることなく、カウントを稼ぐために先程打たれたカーブを初球に選択。



それを光は完全に狙い打ちしていた。



光は打者として打席に立つ時は、相手の最も得意としているボールをかなり積極的に狙ってスイングする傾向にあった。




相手の得意球を狙うかというと、逆に自分が投げている時に1番得意としているボールを打たれると腹が立つ。



というシンプルな気持ちを相手にも味わせるというなんとも光らしい答えだった。




打球はセンターの頭を越えて、飛距離十分のツーランホームランをかっ飛ばした。



光のホームラン2本で3-0。


3点差を持って最終回の7回表の守備についた。



最終回。



成田女子高校は5番からの攻撃だったが、5番からの9番まではこの試合全員無安打で光に対して手も足も出ない状態だった。




コツン。



5番バッターは初球のストレートを打った。


どん詰まりのボテボテのサードゴロだったが、捕球する寸前にボールがグランドの凸凹か小石に当たったか、どちらかはわからないが打球がイレギュラーしてしまった。



バウンドが変わりサードのグラブを弾いて記録はエラーとなった。



明らかに変化したのはわかっていたので、誰もサードを責めることも無なかったし、サード自体もそんなに気にしている様子もなかった。



この日は初球の入りはほぼほぼストレートを投げていた。


コントロールがイマイチだったので、ボールが散らばることを前提にど真ん中を目安に投げ込んでいた。



ストレートが来ると分かっていたために少しボール球でも強引にスイングしてきていた。


六番バッターも初球のボール球のストレートをスイングしてきた。



これも打ち損じてフラフラとセカンド後方フライが上がったが、今日はやたらと風が強くかなり打球が流されていた。




「ライト!前、前!任せた!」




打球を追っていたセカンドだが、思ったよりも打球が風の影響で流されていた。



セカンドは捕れないと判断してライトに指示した。



セカンドが打球を追いかけていたのをライトが見ていたので、少し走る足を緩めてしまい打球に追いつくのが遅れた。



セカンドとライトの前にボールが落ちた。



打球が落ちたのを確認して、一塁ランナーは二塁へ進塁。



またしても最終回にまさかの2球でノーアウト1.2塁のピンチを背負ってしまった。



『明らかに初球のストレートを狙っている…。この前失敗したけど、ツーシームならゲッツー狙えるかも。』




天見さんは前の試合に失敗したツーシームで打たせて取るリードをすることにした。




サイン交換して、今日1度も初球に投げていないツーシームを選択したが…。




カキィィーン!!



今日投げたツーシームの中で最高の球速と最高の絶妙な変化だった。



あまりに完璧なツーシームだったからか、ストレートと勘違いして打ちにいったバッターがたまたま完璧に捉えるという不運に見舞われた。




「ファースト!捕って!」



ファーストがダイビングキャッチを試みたが、グラブに入る直前でファーストベースに当たり大きく跳ね上がってライト前まで点々と転がった。



2塁ランナーがホームに生還して3-1。


ノーアウトランナー1.3塁のピンチが続いていた。



野球あるあるだが、ここまで最終回に重なるとこの試合もなにか起こるのではないかという不安がチームの中を駆け巡った。



だが、野球の魔物の力もここまでだった。



光の投球スタイルは1人で長いイニングを投げ抜くために、力を抜くところは抜いて毎回全力で投げることは無かった。



要所要所で全力のストレートを織り交ぜながら、上手く交わしていく。



この回は明らかにいやな雰囲気が流れているのを察して、全力でストレートをコントロールあまり気にせずにストライクゾーンに投げ込んでいった。



ここまでMAX136キロのストレートだったがら142キロまで引き上げ、それを連発して無理矢理力で抑え込みにかかった。




「ストライーク!バッターアウト! ゲームセット!」



ピンチの後、コントロールを気にせずに力を見せつけるようにストレートでゴリ押ししたのがよかったのか、ストレートに振り遅れて手も足も出ずに三者連続三振に打ち取った。




3-1で準々決勝も勝利した。



そして、優勝まで残り2勝となりこれから激戦が予想される準決勝に向けてチームメイト一丸となり前に突き進む。






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