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Cafe Shelly

Cafe Shelly 世界一の仕事

作者: 日向ひなた

「いらっしゃいませー」

 その言葉がまた虚しく店内に響き渡る。本当にずっとこんな仕事をしていていいんだろうか。頭の中にふとそんなことがよぎる。

 目の前に通り過ぎるのは、ゆっくりと歩く老人。それと近所の商店のおばさん。たまに立ち止まって、店先の特売ワゴンの品を見る人もいるけれど、すぐに立ち去ってしまう。ふぅ、わかってはいることだがやはり状況は厳しい。

 自分の仕事は靴屋。この地域では老舗のお店で、親父の代から続いている。親父から経営権を引き継いでこの店を営んでいるが、正直業績は芳しくない。なにしろここはシャッター街と化した商店街。

 このさなか頑張っている店もあるが、経営者が高齢化して店をたたむケースがほとんど。うちも、大通り沿いにある大手チェーンの靴屋や、近くの大型商業施設に入っている靴屋のブランド力と価格力に押され、販売は低迷。それでも親父のプライドでこの店を続けている状況だ。

 自分としては、なにかしらの経営展開を図りたいんだけど。後ろに控えている親父が首を縦に振らない。自分に経営を譲ったのなら、おとなしく隠居していればいいものを。やはり自分の店、という気持ちが強いんだろうな。困ったもんだ。

 自分としてはもっと若者が来るお店に改装をしたいと思っている。いまどき、靴だけではやっていけない。経営を多角化して、ファンシーショップも併設をして若い女の子向けのお店を目指したいのだが。そのことを親父に言ったら猛反対された。

「ウチはそんな軽い店じゃねぇ。それに、ウチで扱っている履物を今まで買ってくれているお客さんに申し訳ない」

 今まで買ってくれているって、じいちゃんばあちゃんばかりじゃねぇか。おまけにうちの店にはなぜか下駄が多い。お祭りのシーズンになると確かに売れるのだが、通年を通して売れるものでもないし。中には高級桐下駄なんてのもあるが、何千円も出してこんなの誰が買うんだよ、ってのが店の奥に飾ってある。いまどき下駄なんか履く人いないのになぁ。

「裕人くん、いるかな?」

 訪れたのは商工会議所の新堀さん。この方にはずっとお世話になっている。

 自分は商工会議所青年部で活動をしている。若い経営者や時期二代目となる人間が集うこの会。自分はそこでいろいろと学ばせてもらっているが、親父からみると道楽にしか見えていないようだ。確かに、地元のお祭では店を家族に任せて、青年部のイベントの方に力を入れてるからなぁ。

 そんなこんなで低迷している商売をなんとかしないといけないという思いだけが先に立ち、行動が空回りしている。でも、何かしないといけない。そんなことだけが頭の中でグルグルと回っている。

「裕人くん、元気ないなぁ」

 改めて新堀さんに言われて、自己反省。

「見ての通りですからね。何か起死回生の策をと思っても、これがなかなか」

「まぁ、それはどのお店も同じだからね。ところで、今度商工会議所でイベントをやるんだけど。また青年部を動かして手伝ってくれないかな」

 新堀さんは一枚のパンフレットを手渡してくれた。

「来たれ! 新規事業、ですか。これ、どんなイベントなんです?」

「昔テレビでやっていたマネーの虎みたいなものだよ。新規事業のアイデアをプレゼンしてもらって、いろいろな人から支援をもらおうって内容なんだ」

 なるほど、そういうビジネスアイデアを出し合うのは面白いな。

「わかりました。で、どんなことを手伝えばいいんですか?」

「とにかくこのイベントの出場者を募集しないといけなくてね。青年部を通じていろいろと声をかけてくれないか。もちろん、裕人くんもアイデアがあれば出場していいよ。ただし、事前の書類審査があるからね」

 手にしたパンフレットをじっと見つめる。何かいいアイデアがあれば支援をもらえるかもしれない。そうでなくても、プロの目線からアドバイスをもらえるようだ。これは何か企画をせねば。頭の中ではすでに出場をしている自分の姿があった。

 その後、新堀さんと入れ替わりに一人のお客がきた。おそらく初めて見る顔だ。ちょっと恰幅のいい老人である。おそらくバイクに乗っているのだろう。革ジャンにヘルメット、バイク乗りの不良老人ってやつだな。

「おい、そこの若いの」

「はい、なんでしょうか?」

「この下駄、産地はどこだ?」

「えっ、産地ですか?」

「そうじゃ、どこで作られたものなんじゃ?」

 その老人が指さしているのは、うちの店でも一番高価な桐の下駄である。こんなのが売れたこと一度もない。おまけに自分は下駄の知識なんかまったく持っていない。

「あ、すいません。それについてはウチの親父が道楽で置いているものですから。ちょっと親父を呼んできますね」

 なんか厄介な客が来たなぁ。そう思いつつも、奥でテレビを観ている親父を呼び出し、接客をお願いした。こういうのは年寄り同士で話をしてもらうに限るな。

 予想通り、親父と客はやたらと話を弾ませている。自分はインターネットを開きながらもその話に聞き耳をたてる。

 どうやら桐の下駄は会津の方の材料を使っているらしい。他にも大分の日田産の杉を使ったものもいいらしい。

 親父は熱心に客に説明をしている。その客も関心を持ってうなずいて聞いている。

「いやぁ、こんなに下駄に詳しい人がいるとは思わんかったな。わしはこうやってバイクに乗っておるが、何も無い時は作務衣に下駄や雪駄を履いておるんじゃよ。雪駄もなかなかいいのがそろっておるな」

 その客の一言がおやじの心に火をつけた。うちの店は、下駄と同様に雪駄もかなりの種類をおいている。こちらは祭りのシーズンになると結構売れるのでそれなりの儲けになるのだが、売れるのは安い種類ばかり。こういったマニアックなお客が来ることなんかまずありえない。

 なんだかんだと親父とお客は立ち話を続けている。で、結局その客は高級桐下駄と高級雪駄を一つずつ購入。

「いやいや、なかなか楽しかったわい。ところで、この店はなかなか苦戦しておるようじゃな」

「はい、近所の大手さんにお客さんを持って行かれていますから」

「そうか…なんだかもったいないのぉ。もしよかったらわしに少しお手伝をさせてもらえんかな」

 なんだ、このじいさん。手伝いをするって、店の呼びこみでもやってくれるのか?

 この客のじいさん、親父に名刺をさし出している。すると親父は自分を呼んでこう言う。

「ありがたいことに、この方がお店の手伝いをしてくれるそうだ」

 そういってさっき手渡された名刺を自分に見せる。

「人財育成のプロフェッショナル…桜島さん、ですか」

 名刺をひっくり返すと、そこに今まで指導した実績企業の名前がずらりと並んでいる。驚いたのは、誰でもが聞いたことがある一流企業の名前がほとんどということ。このじいさん、何者なんだ?

「でも、東京の方なんでしょう? そんな方が指導をしてくださるなんて」

 親父が心配そうに尋ねる。確かに、住所が東京になっている。どうりでこのあたりでは見かけない顔だ。

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。心配はいらん。ここ数日、わしは弟子のところにお世話になっておるからの」

「しかし、そんなすごい先生にお世話になるんだったらそれなりの謝礼をお支払いしないといけないんじゃないですか。申し訳ないんですが、そんな謝礼をお支払いするほどの余裕はないのですが」

「心配はいらん。今回は仕事ではなく、わしの道楽だと思ってくれればよい」

「そうですか…ではお言葉に甘えて。で、早速ですが何をすればいいんですか?」

 この桜島と名乗る人財育成コンサルタントの先生、ちょっと風変わりではあるがなんとなく言葉には重みがある。さっきの名刺の裏の実績を見たせいなのかもしれないが。

「早速じゃが、おまえさんは今のこの商売のどこかで世界一になろうと思ったことはあるか?」

「世界一、ですか?」

 いきなり世界一と言われて度肝を抜かれた。そんなこと、考えたことない。

「いやぁ、こんな地方のシャッター通りにある小さな靴屋さんで、世界一なんかとれるわけないじゃないですか」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。そう言うと思ったわい。ところで親父さんは、世界一と誇れるものはあるかな?」

「いえいえ、そんなめっそうもない」

 そりゃそうだ。こんな頑固な靴屋の隠居した親父に世界一なんかあるわけがない。だが桜島さんは笑ってこう言った。

「いやいや、実のところ親父さんには世界一があるんじゃよ。じゃが今それを言ってしまうと、何の努力もせんようになるからのぉ」

「親父に世界一があるって、そんなまさか」

 いくらコンサルタントの先生でも、それは親父を買いかぶりすぎだ。だが桜島さんはニコニコしている。

 一体何が親父の世界一なんだろう? 疑問を残しつつも、桜島さんはこんなことを言い出した。

「わしはこれからちょっと喫茶店に行くんじゃが。息子さん、えっと…」

「裕人といいます」

「おぉ、そうか。裕人くんも一緒にどうじゃ? わしの弟子から教えてもらったおもしろい喫茶店があるんじゃが。親父さん、ちょっと息子さんを借りてもいいかな?」

「えぇ、かまいませんが」

「よし、決まりじゃ。では行くぞ」

 自分の意見は関係なしに、なぜか喫茶店に行くことになった。場所を聞けば、ちょっと距離はあるが歩いていけないところではない。一緒に歩いていくことになったが、その道中桜島さんはこんな話をしてきた。

「わしは今までいくつか会社を興してきた。どれもそれなりに成功はしたが、それ以上に失敗もしたわい。その積み重ねが今のわしを作っておる。その最後に行き着いたのが、今行っておる人財育成事業なんじゃよ」

 なるほど、年齢の分いろんな経験をしているんだな。自分なんかまだまだ経験不足の若造に見えるんだろうなぁ。そんな桜島さんの経験談をいくつか聞きながら、喫茶店に到着した。

「ここじゃ、カフェ・シェリーというところじゃ」

 ここは初めてくるところだなぁ。このお店のある通りは自分も時々おとずれる。道幅はあるのだが、実際には車一台しか通ることができない。道の両端にブロックでできた花壇が並べられているからだ。道はパステル色のタイルで覆われていて、なんだか明るい感じがする。

 自分がよく行くのは、この通りにある雑貨の店。中学時代の同級生がやっているところで、時々遊びにいく。しかし、この通りのビルの二階に喫茶店があったのは気づかなかったなぁ。

 桜島さん、さすがに寄る年波には勝てないのか。階段を上がるのにちょっと苦労している。

「ふぅ、老人にはやはり階段はつらいのぉ。じゃが、運動もせねばな。さて、入るぞ」

カラン、コロン、カラン

 桜島さんがドアを開けると、心地良いカウベルの音。同時に「いらっしゃいませ」の気持ち良い女性の声が聞こえてくる。

「いらっしゃいませ。桜島さん、お久しぶりですね」

 今度はカウンターからこの店のマスターが桜島さんに挨拶をする。

「マスター、ご無沙汰じゃったな。今日はお客さんを連れてきたぞ」

 そう言って桜島さんは自分を紹介した。

「この先の商店街で履物屋をやっておる裕人くんじゃ」

「あぁ、あの下駄のお店」

 マスターは自分のお店を思い出してくれたようだ。それにしても「下駄のお店」と言われたのは初めてだな。

 このお店は客席がとても少ない。窓際に半円型のテーブルがあり、そこに四人座れる。店の真ん中には丸テーブルがあり、ここは三人がけ。そしてカウンターが四人がけなので、十人もお客が来れば満員になってしまう。今も窓際の席に二人、丸テーブルに二人、そしてカウンターには一人のお客がいる。

 マスターに促されるままカウンター席に座ったが、ここでカップルでも来たらもう座るところがないじゃないか。でも、こんなにお客が来てくれることだけでもありがたいな。うちの店なんか滅多にお客が来ないからなぁ。

「なかなかいい店じゃろ」

 確かに、桜島さんの言うとおりなんとなく落ち着く店だな。店内にはジャズが流れている。お店の色も白とブラウンに統一されているが、暗い雰囲気はない。お店に広がるコーヒーとクッキーの甘い香りが心を落ち着かせてくれる。なるほど、こんな感じで空間を演出するというのも必要なのかな。

 うちの店は統一感がない。靴の種類がいろいろあって、それをごちゃごちゃと展示しているせいもあるのだが。BGMも流してないしな。こういった工夫も必要なんだろうか。いろいろ考えなきゃなぁ。

「早速じゃが、裕人くんにはここのオリジナルブレンドを飲んでもらおう。それで何かわかるはずじゃ」

 オリジナルブレンドって、コーヒーのことだよな。何かわかるってどういうことだろう?

「マスター、シェリー・ブレンドを二つたのむ」

「かしこまりました」

 マスターは手際よくコーヒーを入れる準備にとりかかる。

「桜島さん、うちのお店もこんな感じにしないといけないんでしょうかね」

「こんな感じ、というと?」

「まずは統一感ですね。色がはっきりしています。あとはBGMとか照明とか」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。裕人くん、まだわしの言っておる世界一の意味がわかっておらんようじゃな」

「そう、それなんですよ。親父に世界一があるとか、世界一を目指せとか。そんなの、うちの店でできるはずないじゃないですか」

「裕人くんはコアコンピタンスという言葉を知っておるかな?」

「コアコンピタンス?」

「そうじゃ、コアコンピタンス。これは経営を行う上で大切な考え方じゃ。簡単にいえば、世界一を持ちなさいということなのじゃよ」

「世界一って簡単に言いますけど、そんなの無理ですよ」

 桜島さん、何を考えているんだろうか。世界一なんて、そんなの無理にきまっている。

「果たしてそうかな? わしの目からみると、裕人くんの店はすでに世界一を持っておるんじゃがのぉ」

 桜島さんはさっきからうちの親父や店を持ち上げすぎだ。ちょっとムカっときたので、思わずこう言い返してしまった。

「じゃぁ、その世界一というのをいい加減教えてくださいよ」

 自分の真剣な気持ちにも関わらず、桜島さんはこうかわした。

「それを教えてしまっては、本当の世界一になれん。じゃが、ここのオリジナルブレンド、シェリー・ブレンドを飲めばそれがわかるかもしれんぞ」

 どうしてコーヒーを飲んだらそれがわかるんだ? コーヒーなんてどこで飲んでも同じだろう。そう思いつつも、胸の奥ではどこか期待しているものがあることに気づいた。

「お待たせしました。シェリー・ブレンドです。飲んだら感想を聴かせてくださいね」

 マスターはそう言いながらカウンター越しにコーヒーを渡してくれた。

「おぉ、きたきた。では早速」

 桜島さんはそう言っておもむろにコーヒーを口に運んだ。そして静かに眼を閉じる。

「ほほぅ、なるほど。そういうことか」

 桜島さんは何かに感心したような口ぶりだ。

「今日はどんなお味がしましたか?」

 マスターが興味深そうに桜島さんにそう尋ねる。すると桜島さんはこう答えた。

「今日はな、新緑の香りがするわい。ちょうど新しく育つ芽を見つけた。そんな感じじゃな」

 どういうことだ? コーヒーなのに新緑とは。

「不思議な顔をしとるの。説明をする前に、まずはこのシェリー・ブレンドを味わってみるがよい」

 桜島さんに勧められて、とりあえず「はぁ」と返事をしてコーヒーに口をつけてみる。

 うん、いい香りだ。コーヒーなんて素人だけど、この香りがいいのは自分にもわかる。そして口をつける。なんてことない普通のコーヒーじゃないか。と思った瞬間、舌の上で何かが跳ねたような感じがした。

 例えて言うなら、踊り食いの小魚が口の中でピチピチ跳ねているような。でもそれは小魚なんかじゃない。自分の心、自分の元気。それが弾んではじけている。と同時に、すごい笑いが込み上げてくる。楽しくて仕方のない、そんな笑いだ。

「な、なんなんだ、これ…」

 驚いている自分を、桜島さんもマスターもにこりと笑って見守っている。

「裕人くん、どんな感じがしたのじゃ?」

「なんか口の中で跳ねているんです。いや、実際に跳ねているわけじゃないけど、そんな感覚を覚えました。その跳ねているのは自分の心なんです。なんだ、これ?」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。裕人くんもシェリー・ブレンドの魔法にかかったようじゃな」

「なんなんですか、そのシェリー・ブレンドの魔法って?」

 それについてはマスターが答えてくれた。

「このシェリー・ブレンドは今飲んだ人が欲しいと思っているものの味がするんですよ。ですから、飲む人によって味わいが変わってくるのです。中には、欲しい物が映像で見えてくる人もいるようです」

 映像、そう言われて一瞬見えた自分が笑っている姿を思い出した。ということは、今自分は心から弾んで跳ねているような状況が欲しいのか。そして、その状況の中、大笑いをしている。そのことをマスターと桜島さんに伝えてみた。

「なるほどな。裕人くん、それはどういう事じゃと思うかな?」

「どういうことって…おそらく商売がうまくいっているってことじゃないですかね。今自分の一番の悩みはそこですから」

「そうじゃな。わしもそう思ったわい。じゃからこそ、先ほどから言っておる世界一をつくるのじゃよ」

「桜島さん、コアコンピタンスはなんとなくわかりましたけど。でも世界一って、そんなこと無理ですよ」

「大丈夫じゃ。例えばこのカフェ・シェリー。ここにも世界一があるんじゃぞ」

 桜島さんに言われてこの喫茶店をぐるりと見回した。こんな小さな喫茶店のどこに世界一があるというのだろうか?内装にはそんなものは見当たらない。いろいろ工夫はしているのだろうが、世界一とは言いがたい。じゃぁメニューか?

 あわててメニュー表を見るが、内容はごくありふれた純喫茶のもの。強いて言えば、今自分が飲んでいるシェリー・ブレンドに特徴があるくらいか。ん、ひょっとして…

 それを確かめるために、もう一度シェリー・ブレンドに口をつけた。すると今度はとんがった塔のようなものがイメージできた。これは明らかに「世界一」を示すもの。やはりそうか。

「桜島さん、このカフェ・シェリーの世界一ってこのコーヒーのことじゃないですか?」

「ご名答!」

 桜島さんは手を叩いて自分の出した答えをほめたたえてくれた。でもどういうことなのだろうか?

「桜島さんに世界一と言われると気恥ずかしいですが。言い換えると、この店にしか無い、ほかでは絶対に真似のできないもの。これが世界一でありコアコンピタンスなんですよ」

 マスターがそう解説をしてくれた。世界一というから構えていたけれど、そこでないとできない、他では真似のできないものが大事なんだ。

「つまり他店との差別化が必要ということですね」

「うむ、しかしただの差別化ではないぞ。自分のところでしかできないもの。これをつくると競争をせんでもよいからな」

 競争という言葉を聞いて、ちょっとドキッとした。自分は今まで、大通り沿いにある大手チェーンや大型商業施設の靴屋にどう対抗しようかということしか考えていなかった。確かに、桜島さんの言うとおり競争しなくてもいいものがあれば商売は楽になる。でも、そんな世界一だなんて見つかるのだろうか?

「今、自分のところの世界一ってなんだろうって考えているんじゃないでしょうか?」

 考え込んでいるところにマスターからそう言われて、またまたドキッとした。まさに図星だからだ。

「うちは昔からある商店街にある小さな靴屋ですから、世界一なんてあるわけがない。でも桜島さんは世界一があるって言いましたよね。そろそろその答えを教えてくれませんか?」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。悩め悩め。悩んだ数だけ、よいアイデアが出るというものじゃ。じゃがこのままではモヤモヤするじゃろうから、一つだけヒントを与えよう。おまえさんのお店、周りからどう見られておるのか。その市場調査をするとよい」

「市場調査、ですか?」

 なんだか難しい話になってきた。だがこれについてはマスターが自分の気持を軽くしてくれた。

「市場調査なんて構えなくても大丈夫ですよ。合う人合う人に、うちのお店って何が印象深いか、とか何が特徴あるか、なんてことを聞けばいいだけですから」

 まぁそのくらいだったら聞いて回れるか。そこで早速その言葉をそのままそっくりマスターに訪ねてみた。するとこんな答えが。

「ふふふっ、私が最初に言った言葉を覚えていますか」

「最初に言った言葉? あ、下駄のお店、ですか」

「はい。これが私の印象です」

 下駄のお店ねぇ。なんだかパッとしないけど、それがマスターの印象なんだ。

 このあと、カフェ・シェリーを出て早速その市場調査を始めてみた。なんてことはない、商店街の人達に直接聴いたり、よく立ち寄るお客さんに同じような質問を投げただけだ。そして答えをメモする。さらに、その日の夜は商工会議所青年部の集まりがあったのでそこでも聞いてみた。すると自分が思いもしなかった答えがそこに並んだ。

「聞いて回った人数が53人。そのうち36人が下駄と答えてる…」

 マスターの印象と同じだ。うちのお店は下駄のお店として知られていたのか。

 しかし下駄の印象が強いからって、それを戦略にして客が増えるとはとても思えないのだが。それに下駄が世界一だなんて、なんかダサいし。そんなこんなで悶々としながら翌日を迎えた。

「おはよう。どうじゃ、何かわかったかな?」

 朝一番に来たお客は桜島さんだった。桜島さん、昨日とは変わってなんと和服姿。そして早速昨日購入した下駄を履いてきている。

「桜島さん、なかなかお似合いですね」

「そうじゃろ。わしは実はこれが普段着なんじゃよ。仕事のないときには和服できることが多くてのぉ」

 なるほど。桜島さんの言葉はさらに続く。

「この前まで別の下駄を使っておったのじゃが。音の響きがイマイチでな。いわゆるカラン、コロンといったこの下駄の音。これがどうも気に食わんかったんじゃ。ところがこの下駄はなかなかよいぞ」

 そう言って桜島さんはそのへんをぐるりと回ってくれた。自分にはその音がいいのかわからなかった。下駄の音なんてどれも同じじゃないか。

「なんだか不思議そうな顔をしておるの。どうじゃ、別の下駄と履き比べて音の違いを確認してみるとよい」

 桜島さんの言うように、別の安物の下駄と桜島さんの履いている下駄を履き比らべてみることにした。

「えっ、なんだこれ」

 びっくりした。桜島さんが言ったように、カランコロンという音の響きがまず違う。安物のは引きずるような感じだが、桜島さんが履いていた方は心地良さが骨に響く感じがする。これは履いた人にしかわからない感触だ。さらに安物の方は、下駄を引きずりながら歩く感じがするのだが、もう一方はしっかりと足になじむ。下駄ってこんなにも違いが出るものだったのか。

「どうじゃ、びっくりしたじゃろ」

「えぇ、こんなに違いが出るとは思わなかったですよ。履いてみて初めてわかるものなんですね」

「そう思うじゃろう。じゃが、わしは履く前にお前の親父さんからこのことを教えてもらっていたんじゃよ」

「えっ、親父から!?」

 これにはびっくりした。親父、下駄には詳しいとは思っていたがそんなところまでわかっていたんだ。

 そこでピンときた。そうか、おやじの下駄の知識、これが世界一なんだな。さらに頭の中で一つひらめいた。

「下駄のソムリエ…」

 自分でつぶやいてみておかしくなった。下駄とソムリエという二つの言葉がとても合わない。合わないけれど妙におもしろいじゃないか。

「桜島さん、いいのかはわかりませんがアイデアが閃いたんですけど」

「ほう、なんじゃ?」

「自分は今まで、下駄の違いなんてことを考えもしませんでした。しかし親父はその知識はとても豊富です。そこで、その人に合った下駄をプロデュースする下駄のソムリエという看板を掲げて、人の注目を集める。さらに、その知識を冊子にして情報として配る。そうすることで下駄の注目を集めることができる。あ、検定試験なんてのをつくるのもいいかもしれない。インターネットでそういうのをすることで、全国からお客が付く可能性があるな」

 言いながらどんどんアイデアが膨らんでくる。うん、いけるかもしれない。ついさっきまで下駄で商売なんて、と考えていたのだが。これは他では絶対にやっていないサービスだな。

「なかなかおもしろいではないか。裕人くんのアイデアはわしのヒラメキを超えておるぞ。うん、もう少し具体化しようではないか。紙とペンはあるかな」

 そうして桜島さんの協力のもと、自分のアイデアをもっと具体化することになった。

 自分がもう一度アイデアをしゃべる。その単語を桜島さんが書いて、言葉と言葉をつないでいく。書いたものを見てまた次のアイデアが浮かんでくる。確かこれ、マインドマップとかいう書き方だったな。

 桜島さんの協力で、気がついたら膨大なマインドマップができあがっていた。中には夢物語のようなものもあるが、非常に現実味を帯びた内容となっている。

「どうじゃ、今の気持ちは」

「はい、我ながらすごくいいアイデアだと思いました。これ、ぜひやってみたいですね」

 下駄のソムリエを中心として、そこから下駄専門店としてのブランド確立と販売展開がそこに描かれている。下駄なんて、そう思っていた自分が恥ずかしいほどだ。

「ではこれを企画書に落としてみるとよい。書き方は自由じゃ。なぁに、このマインドマップに言葉を足して文章にすればよいだけじゃ」

 ここでひらめいた。

「今度、商工会議所のイベントで『来たれ!新事業』というのがあるんです。事業アイデアをプレゼンして、うまくいけばいろんな人から支援をもらえるというものなんです。このアイデアで応募してみようかな」

「ほう、それは面白い。そういうのがあると、意欲も出てくるというものじゃ。ぜひそうするとよい」

 桜島さんの助言で早速企画書作成に乗り出した。が、いざとなるとどうも筆が進まない。こういう企画書なんて書いたことがないからなぁ。結局その日は、ワープロの前で頭を悩ます自分がいた。

「どうじゃ、進んでおるか?」

 翌日、また朝一番に来たお客は桜島さんだった。今日も昨日と同じく、和服姿で登場。

「いやぁ、頭の中では思いつくんですが、いざ文章にしようとするとこれがなかなかうまくいかなくて」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。そんなことじゃろうと思ったわい。どうじゃ、ワシと一緒にカフェ・シェリーへ行かんか。こういったアイデアを形にする場合、いつものところに留まっておってはなかなか進まないものじゃ。環境を変えてみるのも良いぞ」

「はぁ」

 ということで、親父に店番を頼んで、ノートパソコンを持ち込んで早速カフェ・シェリーへと足を運んだ。

「いらっしゃいませ」

 まだ午前中ということもあってか、お客さんはまだ一人しかいない。今日は窓際の席へと案内され、そこに腰を落ち着けた。

「ん、なんかこの席…」

 前回来た時とはちょっと違う香りがする。

「その席はアロマの香りがするんですよ。私が毎日、これかなっていうのを焚いているんです。リラックスして欲しい方用の席なんですよ」

 女性店員の言葉だ。なるほど、こういった細かな心配りも必要なんだな。

「シェリー・ブレンドでよいかな?」

 桜島さんの言葉に自分はこっくりとうなずいた。

 シェリー・ブレンドができる間、桜島さんとつくったマインドマップをもう一度見る。そしてパソコンを開いて準備。さて、これからどうやって企画書にすればいいんだろう。

「裕人くん、今度はこれを使おう」

 そう言って桜島さんが取り出したのは正方形の付箋紙。これをどう使おうというのだろうか?

「ではまず、今回下駄のソムリエの企画を立てた理由、これを聞こうかのぉ」

「理由、ですか。そりゃ店の売上を上げるためですよ」

 そう言うと、桜島さんは「店の売上を上げるため」と付箋に書いて、テーブルの奥に貼った。

「他にはあるかな?」

「他にって、まぁ強いて言えば特徴のあるお店。そう、世界一のものをつくるため、ですかね」

「なるほど、世界一のものをつくるじゃな」

 これも同じようにして書き留める。

「では、この下駄のソムリエを実行することで、どんなお店になりたいのじゃ?」

「どんなお店…そうだなぁ」

 ここをあまり具体的に考えていなかった。このタイミングでシェリー・ブレンドが運ばれてきた。

「ちょうどよい、今の質問を頭においてシェリー・ブレンドを飲んでみんか」

 桜島さんの言われるとおりにやってみた。

「えっ、あ、そうか!」

 頭にある映像が浮かんだ。

「何か浮かんだようじゃな」

「はい、シェリー・ブレンドを飲んだ時に下駄フェスタっていうのが頭に浮かんだんです。今年の夏は節電ブームじゃないですか。下駄スタイルってエコにも通じると思うんですよね。だから、日本古来のスタイルである下駄を見なおそう、そういうイベントをやっているのが思いついたんです。そうか、うちは靴を売る店じゃない。下駄を通じて社会貢献をするお店。エコを呼びかけるお店にすればいいんだ」

「ほう、それはおもしろいな。靴を売る店ではなくエコを呼びかける店か。忘れんうちにそれをメモするとよい」

「はい」

 それを付箋に書いてテーブルに貼る。さらに、昨日作ったマインドマップを照らし合わせる。するとある部分が光って見えた。

「ってことは、こいつとこいつを組み合わせて、さらにこの流れでいくと…」

 マインドマップに書いてある単語を付箋に書き写し、テーブルの上に貼る。このとき、取り組むべき流れを考えながら貼っていく。そんなことをしていたら、あっという間にテーブルが付箋でいっぱいになってしまった。

「わぁ、すごい!」

 そう言ったのはここの女性店員だ。

「おぉ、マイちゃん。どうじゃ、なかなか面白そうじゃろ」

「へぇ、下駄でエコかぁ。それをアドバイスする下駄のソムリエ。どちらも下駄とギャップがあって、意外性が見えて面白そう。下駄なんて、昔浴衣を着たときにしか履かなかったからなぁ」

 ここでまた一つアイデアが閃いた。

「ということは、呉服店ともタイアップできそうですね。うちは下駄だけじゃなく雪駄もあるし。男性も女性も和服と下駄でおもしろい仕掛けができるかも」

 思いついたことを早速付箋に書き出してみる。

「なかなか面白くなったの。ではそれぞれ分かれた項目にタイトルをつけてみるとよい」

 下駄でエコ、下駄と和服のタイアップ、下駄のソムリエ、こういったタイトルを思いつくままどんどんつけてみる。

「そのタイトルがいわゆる目次になる。その下に書いているもの、これにちょっと言葉を足して文章にしてみるとよい」

 桜島さんのアドバイスの通りに、ワープロにしてみた。すると、昨日ずっと悩んでいたのがウソのように文章に変わっていく。

「これに最初に考えた目的、下駄を通じて社会貢献をするお店というのを追加してみぃ。これで立派な企画書の出来上がりじゃ」

 桜島さんの言うとおりに書いてみた。

「完成しました」

「うむ、あとはこれに数字を足せばよいな」

「数字って?」

「売上と利益予想じゃ。これについては過去のデータも必要じゃから、一度店に戻るとするか。マスター、今日もおいしいコーヒーありがとう」

 マスターはにこやかな笑顔で桜島さんの言葉に応えた。

 カフェ・シェリー、ここのシェリー・ブレンドは不思議なコーヒーだ。そしてあの空間もまた不思議な感じがする。あそこに行けば、自分の思いがだんだんと形づくられていく。それが体で実感できた。

 カフェ・シェリーを出てすぐに店に戻り、過去三年間の売上と利益データを元に今後の数値予想を行った。そして企画書が完成。

「どうじゃ、今の感想は」

「なんか夢のようです。あれだけモヤモヤしていたのがウソみたいに形になって」

「じゃが、本番はこれからじゃ。この企画書、このまま商工会議所のイベントに使うとよい。うまくいけば、どこかがスポンサーになって出資をしてくれるかもしれんぞ」

「はい、ありがとうございます」

 なんだか気分がいい。これ、絶対にうまくいきそう。そんな実感が湧いてきた。

 そしてあとはこの企画書を商工会議所のイベント、「来たれ!新事業」に応募してみた。このイベントが開催されるのは一ヶ月後で、まだまだ時間がある。だからといって、なにもしないで待つのはもったいない。まずは自分も下駄の勉強をせねば。ということで、親父に頼み込んで下駄についていろいろと教わることにした。

 突然下駄について教えてくれと言ってきたものだから、親父はびっくり。しかし、企画書を見せて事情を話すと、親父の目の色が変わった。

「下駄のソムリエかぁ。よぉし、やったろうじゃねぇか」

 親父はそう言うと、下駄に関する資料をいろいろと取り出してきた。さらにお店も下駄を中心としたレイアウトに大幅変更することに。

「親父さんも動き始めたようじゃな。わしは一度東京に戻るが、一ヶ月後のイベントの時にはまた来るわい」

 桜島さんはそう言って一度東京に戻ってしまった。頼りになる人がいなくて、少し不安もあるがとにかくやるしかない。そうして親父と二人三脚でいろいろな準備を始めて、いよいよ商工会議所のイベント「来たれ!新規事業」の日がやってきた。

 この日プレゼンに臨むのは五組。イベントだけあって、観客もいるし審査員の中にはゲストとして東京の有名な投資家もいる。気に入った事業があれば投資をしてくれるらしい。自分らは最後のプレゼントなった。

 今回の内容、これはかなり自信がある。だが、他の雄弁なプレゼンを聞くとちょっとプレッシャーがかかる。一つ前の順番になって、緊張感が体に走った。その時である。

「どうじゃ、緊張しとるか」

 ポンポンと肩をたたき語りかけてきた人。それは桜島さんだった。

「さ、桜島さん!」

「すまんすまん、遅くなったな。ぎりぎり間に合ったようじゃ」

「桜島さん、どうしよう。緊張して緊張して…」

「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ。こんな緊張感もたまにはいいもんじゃ。ところで、下駄のプレゼンをやるのにその格好か?」

「その格好って?」

 桜島さんが指さしたのは自分の足元。

「あっ!」

「じゃろう。下駄のプレゼンをやるのに下駄を履いておらんのはおかしいぞ」

「確かに。でも、今日は下駄を持ってきてない…」

「だと思ったわい。わしのを貸そう」

 そう言って桜島さんは風呂敷包みから下駄を取り出した。

「ありがとうございます」

「それとこれを飲むとよい」

 差し出されたのはポットに入ったコーヒー。それを飲むと、ほんわかした安心感を味わえた。

「これ、シェリー・ブレンドですね」

「そうじゃ。こいつを取りに行っていたら遅くなったわい」

 おかげで緊張感が一気にほぐれた。

「では最後は飯田靴店の飯田裕人さんです」

 その後のことはよく覚えていない。とにかく必死で喋った。でも、自分が履いた下駄の音だけはよく覚えている。

 そして、いよいよ自分のプレゼンの評価が始まる。その結果は…


「いらっしゃいませ。あ、桜島さん」

「裕人くん、なかなか繁盛しておるようじゃな」

「はい、おかげさまで」

 あれから三ヶ月後、飯田靴店は大きく変化した。今では「下駄のソムリエの店」として全国から注目をあつめるようになった。今日もお店の中に設けた小さなセミナールームでは、オヤジが下駄の講習会を行っている。さらに、全国からくるインターネット販売での出荷に大わらわの毎日。来店するお客様も増えた。

 あのイベントの時に、東京から来た投資家が自分のプレゼンを大絶賛してくれた。それどころか、一緒に手を組んで広げていかないかという提案までいただいた。そこでインターネットノウハウを学んだり、マスコミに売り込んでくれたり。そのおかげで、この三ヶ月でテレビや雑誌、新聞の取材を何度も受けることになった。

 やはり「下駄のソムリエ」という、他にはない称号をつけたことがインパクトが大きかったようだ。今では店舗も改装し、社員を二名ほど増やして大忙しの毎日を送っている。

「裕人くん、世界一をつくりあげたな」

「はい、桜島さんのおかげです。最初は世界一なんていうから、とうてい無理だと思ったけど。でも考え方を変えれば誰でも世界一なんてつくれちゃうんですね」

「その通りじゃ。他にはない、誰もマネをせん世界を作れば自ずとそれは世界一になれる。そして、世界一になった市場は誰も崩すことはできん」

 世界一、というには非常にお粗末な店舗ではあるが。しかし今なら胸を張って堂々と言える。

 うちは下駄のソムリエ世界一の店だ、と。うちの親父よりも下駄の知識を持った人はいるに違いない。だが、下駄のソムリエと名乗ったのはうちが最初なのだから。この称号での世界一は間違いなくうちのものだ。

「裕人くん、自信を持って堂々と仕事をしておるのぉ」

「はい、これも桜島さんとカフェ・シェリーのおかげです。そういえば最近忙しくて、カフェ・シェリーに行ってないなぁ」

「どうじゃ、今日はわしと一緒に行ってみんか?」

「はい」

 そして桜島さんと一緒に、下駄を鳴らして商店街を歩く。

 からん、ころん

 この音は間違いなく世界一の音なんだ。もっと多くの人に、下駄でエコをして下駄の知識を広げていきたいな。夢は大きく広がっていくぞ。


<世界一の仕事 完>

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