何故U―23サッカー日本代表はアジアで敗れたのか?
皆様こんにちは!シサマと言う者です。
私は今まで、この「小説家になろう」サイトで幾つかのエッセイを発表させていただきましたが、その全てが「小説家になろう」関連の内容でした。
「小説家になろう」で成功したい、でも「小説家になろう」には問題点と疑問点が沢山ある……と考えている作者様・読者様はとても多いので、自分の意見を述べる事は勿論、他の題材を扱うよりPVアクセスが稼げて、それをきっかけに自分の作品を読んで貰えるかも……という期待があった事を否定はしません。
しかし、「小説家になろう」関連のエッセイを書く理由も、突き詰めればそれだけ「小説家になろう」サイトが好きだからなんです。
嫌いな物事を題材にしたエッセイを書いても、展望や対策、読者様への責任ある態度を示す事は出来ないと私は考えているんですよね。
さて、これでお分かりでしょうか?
私はサッカー大好きなんです(笑)。
今後の更なるサッカーエッセイ発表の可能性も踏まえて、少しだけサッカーのお話に付き合っていただけると幸いです。
とは言え、私は素人です。
プロサッカー選手の経験はありませんし、コーチングやトレーナーの学校に通っていた訳でもありません。
従って、私が戦術云々を語るべきではないと考えています。
私が気付いている問題点に、プロの選手や監督が気付かない訳がないですからね。
ではまず、U―23サッカー日本代表の置かれていた状況を確認してみましょう。
U―23サッカー日本代表は、今年の夏に開催される東京五輪へ向けて結成されたチームで、開催国のチームである為に、既に五輪への参戦権を得ております。
そこで、所謂アジアでの腕試し、メンバー選考、新戦力発掘の意味合いを兼ねて、東京五輪アジア最終予選でもある、U―23アジア選手権に参加しました。
しかし、この大会への参加を選手と所属クラブに強制する権利はありません。
従って、選手構成はJリーグクラブから。
海外クラブからの参加選手は、スコットランドのクラブに所属する食野選手だけでした。
現在のU―23代表には、久保選手や堂安選手等、攻撃的な選手に海外クラブで活躍する「五輪確定レベル」の逸材選手が多くいるのですが、守備の選手では、イタリアのクラブに所属する冨安選手くらいしか「五輪確定レベル」の選手はいません。
オランダのクラブで活躍する「五輪有力候補」、中山選手や板倉選手は、守備の選手として起用するのか、あくまで守備的な「中盤」の選手として起用するのかが決まっていませんでした。
つまり、アジア選手権開幕時点のU―23代表は、攻撃的な選手は生き残りをかけた「得点に絡む積極性アピール」が必要で、守備の選手は次回の選手選考までに振り落とされずに残る「ミスをしない堅実性アピール」が必要だった事になります。
最終的にはこの、「攻撃陣と守備陣の認識の違い」が、試合結果を大きく左右したと私は考えているんですよね。
そして、監督の森保さんはA代表監督を兼任しており、常に両チームの進化と選手構成を模索しなければいけない立場で、アジア選手権では目先の結果だけを出せば良い状況ではありませんでした。
グループリーグ第1戦、サウジアラビア戦の先発メンバーの特徴は、明らかに「堅実性重視」でしたね。
古賀選手、渡辺選手、岡崎選手の3バックに、両サイドのウイングバックはセンターバックでもプレイ出来る橋岡選手と杉岡選手。
どう見ても、「初戦だから手堅く試合に入り、守備陣のテストが出来れば最悪5バックで守って引き分けでも構わない」という意図が窺えたのです。
結果はまさかの、リスクを排除したはずの守備陣のミスからの2失点でサウジアラビアに敗北します。
食野選手らしい個人技からのゴールは見られましたが、練習機会が少なく連携の取れていない彼を、ゴールに特化したポジションや時間帯で起用していないと言う現実が、森保監督のプランが空回りした事を多くのサッカーファンに印象付けてしまいました。
森保監督が最前線のFWに望んでいる事は、ゴールよりむしろ、ポストプレーでボールをキープしながら味方のチャンスを演出し、前線からのプレスで守備にも貢献する事であり、体格に優れ献身性もある小川選手、上田選手が重用されています。
これは、大迫選手が不動の地位を占めているA代表でも一貫しており、3―4―2―1の基本システムも含めた、言わば「日本が世界と比べて弱い事を前提とした、個人技に頼らない全員サッカー」という事になるんですよね。
U―23の大会で、アジア相手にもそのサッカーを敢行したという現実は、森保監督がA代表を兼任しているからに他なりません。
しかし、同じFWのポジションを争う食野選手と田川選手の2人は、小川選手や上田選手とは対照的な「俺がゴールを決めてやる」と意気込むタイプの選手であろう事は、彼等の所属クラブの試合を見れば明らかです。
森保監督はそれを理解した上で、食野選手と田川選手に我慢やチームプレーを考えて欲しかったのか、大会を通じて最前線では起用しませんでした。
率直な感想としては、この起用法がFW4人の個性を全て潰した様に見えますね。
彼等を始めとして、攻撃的な選手は守備的な選手に比べて厳しい競争に晒されているので、ガムシャラなプレーが出来ない状況に立たされた挙げ句の敗北では、不完全燃焼も甚だしかったのではないでしょうか?
一方で、積極的な自己アピールよりもミスをしない堅実性重視の立場を意識した守備的な選手は、「消去法で自分がチームに残る」形のサバイバルを選択し、思わぬミスからの失点を招いてしまいました。
第2戦のシリア戦の先発メンバーでは、守備陣にも変化がありました。
初戦でミスをしてしまった3バックの一角、古賀選手に代わって町田選手を先発に、左のウイングバックの先発を杉岡選手から相馬選手に代えたのです。
杉岡選手から相馬選手への交代は、初戦を落とした事により攻撃的な布陣が必要であった事が窺えますが、右のウイングバックは橋岡選手のまま。
森保監督は、橋岡選手には守備の選手として合格を出し、杉岡選手には守備だけではなく攻撃も求めていた事が明らかになりました。
試合はまたしても、守備陣のミス……と言うより軽率なプレーでシリアにPKを与えてしまい、先制されてしまいます。
すぐに相馬選手の気迫に満ちたシュートで追い付きましたが、このゴールも、相馬選手が自身の積極性を妨げられないポジションでの起用だったから生まれたものであると私は理解しております。
2列目で窮屈そうにプレーする食野選手と田川選手は精彩を欠いたままで、連携不足の彼等より前にいる上田選手もチャンスをものに出来ません。
そうこうしているうちに、シリア選手のドリブル独走を誰も止めずにラインが下がり続けて失点を許し、万事休す。
自分が飛び込んでヒーローになる可能性に賭けるよりも、仮に失点しても守備陣全員の落選は無いと言う気持ちがあったのではないでしょうか?
伝統的にタレントと狡猾さを備えているサウジアラビアに負けるのはともかく、ひたむきなガムシャラさで正々堂々と戦ったシリアに内容で完敗した事に失望を隠せないサッカーファンも多かったはずです。
第3戦のカタール戦では、審判の不可解な判定で10人での戦いを強いられた事もあり、1―1の引き分けを責める気にはなれませんでしたが、不可解な判定が無かったとしても、結局0―0で引き分けたのではないか……と思える程、単なる寄せ集めチームの様な抜け殻になってしまった様に感じましたね。
闘志を見せろとか、身体を張って競り勝てと言った精神論以前の問題がある様に思えます。
今大会の惨敗の要因は、当然選手自身の責任も大きいとは思います。
しかし、五輪に向けたサバイバルを強いられる若手選手の心情を理解出来ずに、既に頭の中で五輪メンバーに確定している海外クラブの選手やオーバーエイジでのチーム作りと、まだ出場すら決まっていない2022年のワールドカップの戦いを見据えすぎた監督、コーチングスタッフの責任はより重大であると言わざるを得ないでしょう。