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五話
「今日もいらっしゃい、猫さん。」
「にゃー。」
少し坂を上り、白い壁の間を通ったところ。
周りの家々とは少し雰囲気の異なる場所。
ここに来るたび、この男の人に会う。
毎日、落ちている葉っぱや小枝を丁寧に掃いている。
たまにお客が来るようで、その相手をしている時も稀にある。
違う時間に来た時は、戸の開いた家の中から大きな声で唱る声が聞こえた。
白い壁の間から戸の開いた家までは、四角い石が敷き詰められた道がのび、
周りに丸みを帯びた白い石が綺麗に敷き詰められている。
白く綺麗な石を踏むたび、『じゃり。』『じゃり。』と音を立てる。
この石の海を通るのが秘かな楽しみだったりする。
そうしているうちに、建物の隣まで来た。
ここには、天高くまで伸びる、太く立派な木が生えている。
今日もここでひと休憩。
木の根元で横になりながら、空を流れる雲を見ていた。
澄んだ青空を、白い雲がゆっくりと漂っていた。