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一話
今日も変わらぬ散歩道を歩き、いつも餌をくれるおばあちゃんの所に来た。
「にゃー。」
「にゃー。」
いつもこれぐらいの時間には縁側にいるのに、今日はいない。
家の中には、いつもはいない人が何人もいた。
「う゛ぐっ…う゛ぅ…。」
「母さん、いきなりだったな…この間は元気そうだったのに…。」
小さな女の子は泣き、男の人はそう呟いていた。
いつも餌をくれ、息子が孫を連れて遊びに来てくれたこと、
少し見ない間に孫娘が大きくなったことなどを話してくれた。
今日は違う所で昼寝でもしよう。
来た道とは違う散歩道へと歩き出した。
今日は心なしか、景色がぼやけて見えた。