リフィルさんの弟さん!?
俺は、さっきリフィルさんにもらった青いワンピースに袖を通した。着る事に抵抗感が無かったわけでは決してないが。町行く人の視線、リフィルさんが買っていたクマの着ぐるみなどと比べると幾分ましだった。着替えていると自分の身体なのにドキドキしてしまった。
鏡に写った、自分の姿を見てみた。何度見ても自分とは思えないほど可愛いと思う。髪型はショートカットで髪色は明るい茶。今までの髪色は黒だったはずなのだが、こっちに来て変わったということか。
つり目でもなくたれ目でもない大きな瞳がキラキラとしている。
「もう、いいか?」
扉越しにリフィルさんの声がした。リフィルさんが着替えを手伝うと言ったが、見た目は女の子でも中身は紛れもなく思春期の男の子のためいろいろまずいと思い外で待っていてもらった。
「はい、もう終わりました」
その言葉を合図にリフィルさんは、部屋に入ってきた。この部屋は、服屋にある試着室のようなところだ。
「うん、似合っているな……男のような性格ではなければモテモテだろうに」
「男にモテたくないですよ」
俺は女の子の姿であっても男に恋愛感情がわくような薔薇ではない。今の状況からすると、俺は今、百合のほうだろう。
「さて、次は武器屋に行くとしよう」
「なにからなにまですみません」
いろいろリフィルさんにたかってしまっているので申し訳ないと思っている。
いざ武器の店に着くが、そこまで大きい店ではなかった。コンビニぐらいの大きさだった。
「ここだ、私はここに良く世話になっているからな」
「小さいですね」
「大きさじゃあないさこういう店は、一流の錬成士がいるからな」
錬成士ってなんだ?そんな事を一瞬思ったが、要するに優れた鍛冶職人がいるということだろう。
リフィルさんが店の扉を開いた。
「ただいまー」
へ?ただいま?どういうことだ?
「お帰り、リフィ姉」
「ああ、ただいまカノ」
姉弟なんだ。ってことはここは、リフィルさんの実家ということか、なるほど常連なのもうなずける。
リフィルさんの弟らしいカノと言う男は、リフィルさんにあまり似てない。鋭い瞳のリフィルさんと比べ弟のカノさんは優男といえる穏やかな瞳だった。服装は地味な作業服。かなり汚れておりかなりの仕事人かもしれない。髪形は特に特徴的じゃない感じで、リフィルさんとおんなじ銀髪だった。
「珍しいな、リフィ姉が客連れて来るなんて」
「まあ、丸腰で町の外に歩いていたから心配でな」
「あはは、すみません」
言われた通りだ思わず苦笑いをしてしまう。
「そうか、武器と防具なら取り扱ってるから気になるがあったら言ってね、リフィ姉のお客様だから安くするよ」
「ありがとうございます」
弟さんは、無愛想なリフィルさんとは違って表情豊かだった。ちょっとかわいいかもしれない。──って男だった。最近、女子らしくなってるかもしれないな。まあ女子なんだけどね。
「えーと、君、名前は?」
カノさんが一言訪ねて来た。
「お、俺ですか?」
「俺って、キミおもしろいな」
何か笑われてしまった。
「ユウです」
「よろしく、僕はカノ。カノって呼び捨てでいいから」
「よろしくねカノ」
リフィルさんの実家の武器屋で買い物をしてしばらく経つが何を使うべきかわからない。その時一つの武器が目に入った。