乙女の恥!
リフィルさんに連れられ、荒野のオアシスともいえるような町に連れてこられた。
「リフィルさん、俺の格好どうですかね?」
「どうと言われてもボロボロで乙女の恥ではないのかその格好」
はあ?乙女の恥だと一体どんな格好になっているんだ。確かに道行く人々の視線が痛いが……というか汚いものを見ている目だし。
「服屋に寄った方が良さそうだな」
「お、おねがいします」
この視線に耐えられないので服を新調することにした。このパーカー気に入ってたんだけどな。
ちなみに俺の着ていたパーカーは白いもこもこがついたパーカーだった。まあ男向けのデザインではあったけど、こんなに人に見られるなら処分するべきだろう。
「ところで金はあるのか?」
「無いですが……」
仕方ない、とリフィルさんがため息を吐く。
「奢ってやる、この際、武器もな」
「そんな、リフィルさんにお世話になるわけには」
「いいさ、その分手伝って貰いたいこともある」
手伝って貰いたいこと?意外と見返りは要求してくるリフィルさんだが今の俺にとってはその方がありがたい。
「わかりました、リフィルさんの頼みなら何でも聞きますよ」
「じゃあ、行こうか」
* * *
町の中央の噴水広場でリフィルさんを待っていた。視線が相も変わらず痛いので店内に入っても迷惑だろうと言われ外で待つことにした。
その間、リフィルさんの着ていた旅人の服の予備を借りる事になった。
「待たせたな、えーっと」
そういえば、リフィルさんにまだ名乗っていないな。
「そういえば俺、名乗って無かったですね。篠崎悠です」
「ユウと呼べばいいか?」
「はい」
そう言うと、リフィルさんはおもむろに袋を取り出し、その中身を見せた。
「これって、薄い青のワンピース?」
「無難なものを選んだからな」
これは、普通に可愛いとは思うけど、男のプライドが着る事を許可しない。
「それと、この服はどうだ?」
リフィルさんが次に取り出したのは、クマの着ぐるみを思わせる、服だった。っていうかこれ着ぐるみじゃね?
「これって、着ぐるみですか?」
「クマのフィーさんを知らないのか!?こんなに可愛いのに!」
フィーさんってなんだよもろにプ◯さんのパクリじゃねーか。
「まあ、気を取り直してどっちがいい?」
「どっちも……」
そう言うと、リフィルさんは遠慮なくクマの着ぐるみを押し付けた。
「なら、フィーさ」
「ワンピースで」
一瞬で男のプライドは消えていった。