魔法学校入学とマグロ人間
アンナ様と呼ばれる人と遂に出会い。そのまま成り行きで魔法学校への入学が決まる。お金に困っていた主人公は特待生制度のお陰で金欠の窮地から脱することに成功した!
──カラン! カラン!
扉の鈴が大きな音を立てて暫くすると、部屋の扉を開けて、受付の人と紫のロングヘアの女性が入ってきた。以下にも魔法使いですって感じのローブを着ており、見た目は20代だけどもしかしたら不老不死かもしれない。
(と言っても、私も不老不死みたいなんだよねぇ。)
あの後、アンナ様という人を待っている間に冒険者登録証が出来たので貰ったのだが、特殊技能の所に思いっきり不老不死と書かれていた。神様ショップではそんなの買わなかったのに。
「貴方が測定で魔力50を出したっていう子ねぇ。私はアンナ。アンナ・メヴェルーティエって名前だけどぉ、大体皆はアンナとかアンとか呼ぶわぁ。様はつけなくてもいいって言ってるんだけど皆つけるのよねぇ」
私を上から下までじっくりと観察し、納得したかのように頷いて受付の人に何か耳打ちをする。受付の人は、驚いた後頷いて部屋を出て行く。
「貴方がもしよければ、学校に通ってみない?」
嬉しいけど、今学校に通えるお金などない。それどころか、生きていけるのかすら怪しい。
「えっと、私……今お金が……」
「そんなのただに決まってるじゃない。特待生で入学してもらってぇ、学費とか生活費とか色々全部こっちで負担するわぁ。住む所がないなら寮があるしぃ。だから貴方の気持ち次第よぉ。」
学費どころか生活費も出してくれるなんて……。かなり太っ腹だけどなんでだろう。色々聞きたいことはあるけど、選択肢は決まった。
「じゃぁ……よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくね。うふふ」
こうして冒険者ギルドに来て冒険者になって間もないうちに試験もなしに魔法学校に入学するのだった。
魔法学校。正しくは国立アジェラーナ学園魔法学区。国で運営しているだけあって、魔法学区だけでかなり広い。大規模な演習場が4つもあるし、校舎も大きい。クラスは各学年4クラスで、他にも戦士学区や、神官を育成するための信仰学区もあるらしい。
卒業生を狙う貴族もよく出入りをしており、才能のあるものは私兵にしたり、軍貴族であれば軍に誘ってきたりすることがある。国の魔法省に所属する人も稀にいるらしい。
卒業生の進路は冒険者4割、軍人4割、貴族の私兵1割その他1割といった感じだ。
そして、学生寮は学年ごとに1棟と特待生用のものが幾つかある。その中でも、一際綺麗で大きい一軒家の様な寮に住むことが、いつの間にか決定されていた。
「アンナ様。私みたいな者が、ここに住んでもいいのでしょうか」
「様は付けなくてもいいわよぉ。それと、貴方で駄目なら、今いる学生全員駄目ねぇ。それくらい貴方の才能は貴重なのよぉ」
「は、はいぃ……」
どうやらかなり期待されているらしい。出来る限り頑張ろう。
寮というより、家といったほうが正しい気がする建物から、メイド服の人が3人出てきた。持っているものを見ると、どうやら掃除をしていたらしい。
「掃除ありがとぉ。これからも定期的にお掃除お願いね」
「「「かしこまりました。アンナ様」」」
深々とお辞儀をすると、メイド達は去っていく。
「週に一度、彼女達が掃除をしにくるわ。生活に必要なものは、彼女達に言ってねぇ」
家の中に入ると、玄関の正面に階段、両脇に二部屋あって、左が書斎、右にキッチンがあった。二階は寝室がある。階段の脇の廊下を進むとお風呂があった。シャワーだけだったけど。
(すごい。私には勿体無いくらいすごい。でも浴槽は欲しかったなぁ)
浴槽も容易出来るのかアンナに聞いてみたところ、どうやら知らないらしく、説明すると承諾してくれた。工事に一日かかるみたいだけど、完成が楽しみだ。完成するまでは、校舎にシャワー室があるらしいのでそれを使うことにする。
(これから、夢のような生活が始まるんだ。楽しみだなぁ。)
前世から夢見た、剣と魔法の世界での生活に心が踊った。
次の日の朝。アンナに言われた能力測定の為、第一演習場に来るように言われた。どうやら戦闘能力やセンスを見るらしい。ステータス測定では測れない所を、アンナ本人が見てくれるらしい。アンナに予定が入っていたので、お昼の後にやることになった。
とりあえず朝と言うには遅いくらいに起きてしまったのでご飯を食べに行くことにする。せっかくなので街に食べに行こう。
毎月生活費として2万ルルクが貰えて、もし足りなくなってもまた追加でくれるみたいなので美味しいものを好きなだけ食べれる。
正直なところ、私服とか嗜好品を買わなければ文具や制服は支給されるし、食事も無料で出してくれるから殆どお金を使うことはないんだけど。強いて言うなら武具に使うくらい。
武器も持たないし防具も神様ショップで購入しているので暫くは大丈夫だろう。
お昼は何を食べようかと大通りの屋台を見たり、飲食店を見て回る。美味しそうな匂いがあちこちからして興味を惹かれるが、今回は屋台にする。
どうやら、ダンジョンで取れた魚を焼いて出している屋台で、鮎の塩焼きらしきものが串に刺さったまま売られている。
他にも、赤身の切り身のムニエルっぽいものや、白身魚のフライ等が並んでいる。その中でも気になったのが、カツオ?の頭を焼いたものだ。すごいインパクトだ。
「らっしゃー! どれにすんだ?今日のオススメは新しく発見されたこいつだ!」
魚を焼いている店員さんが差した指の先には先程のカツオ?が置いてある。
「あのぉ。これ、カツオじゃないの?」
「カツオ? 聞いたことのない名前だな。こいつは今朝冒険者が持ち帰ってきた魚で、誰も見たことがないって聞いたんだが。嬢ちゃん知ってんのか?」
「……そっくりな魚は知ってます。その魚がカツオなのかはわかりませ……ひゃ!?」
偶々視線を反らした先にあった店員さんを見ると……なんと頭がマグロだった。
「マ……マグロ人間……。」
「誰がマグロだ!俺ぁマーグロイって名前があんだよ!」
「ご……ごめんなさい!」
何度も頭を下げて誤った結果…どうにか許してもらえた。あと、魚の塩焼きを2つ買った。
そろそろ時間だし、演習場に行かなきゃ。
見て下さってありがとうございます!
一話一話の文字数が少なかったり、そのせいでストーリーの進みが遅かったりしますが、頑張ってやっていきたいと思います。(`・ω・´)ゞ
マグロの頭で、まぁグロい…マーグロイ…。(*´ω`*)