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第六事件『ミーレ=ハザード』

はてさて、いよいよ、物語も佳境!

出来れば最後まで読んでほしいです。よろしくお願いします。

 無威がミーレと呼ぶ少女の名は、本名ミーレ=ハザード。

 かつて無威が所属していた暗殺組織【シール】。

 正式名称【SEAL(Silent Eat Active Labor)】=【静かに動き喰らう労働者】。

 その【シール】での無威の同期にして、同じく幹部だった少女。

 コードネームは【シール】では、幹部に与えられる【ZERO】から【SEVEN】のコードネームの内の一つ【FIVE】。


 物静かで口数が少なく、コミュニケーション能力が低く、思い込みが激しい。

 故に、ミーレが無威に助けられて以降、無威に無償の好意をぶつけて来た。

 無威が、何故怯えているのか、理由はミーレがヤンデレだからである。


 独占欲が強く。邪魔者は排除する。一時期、それが組織内で問題になるほどだった。

 無威に触れた女性は片端から殺害した、それは組織内外関係なく、である。

 だがそれでも組織が彼女を重宝していたのは、彼女には超強力な能力があったからだ。

 彼女の能力は【次元(ディメンション)】。次元と空間を操る能力だ。テレポートから、無次元を発生させ、あらゆる物を切断できる能力、明らかに一線を超えた能力だ。


 無威が唯一天敵する相手。理由は無威も付き合いは長いし、ヌルヌルとした戦い方で、無威自身の戦意を奪ってくるからである。

 しかし今の彼女は、無威にとっては獲物に〝成り下がった〟。

 理由は簡単、無威の逆鱗に触れたからである。

 つまり無威は、表は極めて冷静に、しかし裏では激情的に、ヒステリックに、噴火の様に、激怒していた。世にいう一種回ったという奴である。

 しかしそんな事をミーレは知らない。極めて危険な牙が近づいている事に……。



〓◆〓



「こ、ここは……?」


 葵が、気がついたのは窓もない倉庫のような場所だった。

 両手両足とも手錠で縛られていた。辺りを見回すと、パイプ椅子に腰掛けた少女【SEVEN】がいた。勿論、葵にとっては初対面である。


「お? 気がついたっすか?」


 【SEVEN】はニコッと笑う。


「あ、あなたは……?」


 葵は多少動揺しながらも尋ねる。


「私はマグル=マクレ。【シール】のエージェント。コードネームは【SEVEN】っす。以後よろしくっす」


 それを聞いて葵は、この状況がどうなっているか、ある程度推測できた。


「【SEVEN】……。なるほど私は餌ってとこか……。それも無威に対してじゃなく、先輩の……」


 そんな葵の姿を見て【SEVEN】は賞賛の拍手を送る。


「おおぅ! 流石警視さんっすね。頭いい! まあ、あなたは最近配属されたばかりだから、【FIVE】先輩のターゲットから外れてるっぽいっすけど。運いいっすね。あなたは生きて帰れますよ」


 葵はあくまで冷静な態度で聞く。


「貴方達の目的は何?」


 その言葉を聞いて【SEVEN】はやれやれと言いたげな態度を取る。


「おやおや。いつの間にかこっちか尋問されてるっす。いや――。警察官って怖いっすね――。あなたは自分の立場分かってます?」


 葵は【SEVEN】の威圧に耐えながら言い返す。


「何言ってるの? 立場が分かってるからこそよ。貴方の組織が私を拉致したのも餌にされたのも、想像はつく。無威が狙いなら、何故、私が先輩と一緒にいないか。それは無威にとって存在価値が低いから。でしょう? でも無威を殺すために、私と先輩を拉致する理由がない。だから聞いてるんでしょう? それに私がしているは、尋問じゃなくて質問よ」


「おやおや。これは一本取られたっす。まあ、目的ぐらい教えときますか」


 そう言って【SEVEN】は無垢な笑みをした。



〓◆〓



 美々の目が覚めると、そこは屋上だった。腕は柱に括り付けられていた。


「……気がついた? クソババア?」


 美々の目の前には見下ろす様に青髪の幼女が立っていた。なんとなく状況を理解した美々は鎌をかけた。


「あなたが【FIVE】?」


 ミーレは動揺を隠せず、眉がピクッと動いた。


「ッ! ……そう。私が【FIVE】。本名はミーレ=ハザード。……【ZERO】の運命共同体。……番であり、約束の相手である。……赤い糸でつながれた【ZERO】の運命。あの冷酷な瞳を奪ったババア。それが貴方と私の違い」


 ミーレは無表情であるが、頬を少し赤らめそう言う。


 これには流石の美々も少し引いた。


「つまりムイの恋人ってことかな?」


「……そう。でも、その名で【ZERO】を呼ぶな!」


 そう叫んでミーレは美々の腹部を蹴り込み、何度もいろんな部位を蹴り続ける。

 そしていつも無表情なミーレの顔は怒りで歪んでいた。


「グフッ!」


「その! 名で! 【ZERO】を! 縛って! るんでしょ!」


「ガッ! グッ! ゲッ! フグッ! ブハッ!」


 美々は蹴りを入れられるたびに呻き声を上げる。

 そして少し興奮しすぎたせいか、息を荒げて蹴るのをやめた。


「……【ZERO】に名前なんて無い! ……貴方達は【ZERO】に神木無威という名を体裁上つけて縛った。……それに貴方は【ZERO】の美しい漆黒の瞳から〝殺人〟を奪った! ……牙を抜いたたんだ! ……私は絶対に貴方を許さない。【ZERO】の前で、貴方を殺して、彼に戻ってきてもらう。……ついでに貴方殺すだけじゃ、すまさない。……死体を辱め、その後バラして、各部位に針を刺して針刺しにして、腐ったら刻んで、叩いて潰して、跡形も無く、殺して殺して殺して殺して殺して殺してコろしてコロしてコロシてコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロシテコロコロコロコロコロコロコロォォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッッッス♪」


 まさに常軌を逸していた。

 これが冷酷な殺人鬼に本性とでも言うかのように、おぞましく、恐ろしく、醜いものを曝け出していた。

 その時、美々は蹴られて飛びそうになる意識の中、心のそこからこう思った。


(嫌だ。まだ、死にたくない。私は、ムイと一緒にいたい。彼を支えたい。脆くて決して口にはしないけどまだ、自ら業と戦うムイと、同情かも知れない。でも、私は、私は! まだ何も……。生きたい。ムイと生きたいよぉ。お願い助けて……ムイ)


 その瞬間まるで狙いすましたかの様に事は起きた。

 無威がミーレを殴り飛ばしたのだ。

 ミーレは屋上の貯水タンクに激突する。

 無威は美々の縄を鎌で切ると笑顔で言った。


「美々姉さん。おまたせ。すぐ終わらせるから。少し待ってて」


 無威は黒く染まった拘束衣を翻して言った。


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