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爺さんは基本的にシュール

【ラグバーン視点】




 俺はいつも通り明け方の山の中、木に背中を預けていた。野生動物たちが静かに暮らしているような平和な山。ここに俺が住む集落がある。集落の見張り役は、自分の番になるとこうして集落の外に出る。


 というのも、集落には強力な結界が張られていて、中と外が干渉できるような状態じゃない。直接的な行き来は出来るが、不可視結界が張ってあるために外も中も見ることは出来ない。


 何もない、とは言えない空間。勿論山の中であるから木々に囲まれている空間。方向感覚も失いやすく、この地に慣れていない人間ならすぐに迷ってしまうだろう。だからこそ、この山の奥地に人が来ないとも限らない。




「さて……帰ろ」




 とりあえず眠い。さっさと寝たい。


 てか、外の奴が迷いこんで来るなんて滅多にないことだけどね、うん。てか深夜にここに迷い込んだ人とか俺会ったことない。


 明け方、そろそろ交代の時間だ。俺は立ち上がって大きく伸びをする。そして寄りかかっていた木の裏側に向かって歩く。




「ラグ、いつもお疲れ様」




 何も知らない人間なら、この状況に驚くだろう。寄りかかっていた木のすぐ裏側、正確には真横を通過すると 同時に景色は一気に変わる。俺の目に入ってきたのは、ここから一番近くの家に住んでいるミーナ。20代前半の女性で、既に結婚していてお腹が大きくなっている。集落で唯一の妊婦だ。優しいお母さんのような人で、いつも見張りの交代の時間は俺を迎えてくれる。


 今日も俺の癒しだよミーナ、でも眠いから帰りたいかな。




「ミーナ、そろそろゆっくり寝た方がいいんじゃない? ほら、赤ちゃんもいるんだし」


「ラグは優しいのね、でも大丈夫よ。むしろこれが私の毎日だもの、こうしてないと体調崩しちゃいそう」




 そう言ってミーナは優しく微笑んだ。


 決して裕福な集落とは言えない。むしろ生活するのがギリギリに見えるような集落だが、俺たちには不満もない。集落、村という言葉が似合うようなその空間、家と呼べるような建物は五軒のみ。


 俺は集落内では「ラグ」という呼ばれ名で通っている。




「あれ? そういえば交代は?」




 そういえば交代の姿が見当たらない。見張りをするのは夜だけではない。むしろ昼間がメインだ。夜中山の中に入ってくる人間よりも、昼間に野生の獣を狩りに来る人間の方が多いからだ。




「多分そろそろアリアが来る頃だと思うんだけど、どうかしらね」


「次はアリアか……じゃあ俺はそろそろ」


「あ、族長が見張りが終わったら来るように伝えてくれって言ってたわ」


「おう、ありがとミーナ!」




 マジかよ寝かせろよ……。泣きそうだったのは内緒だ。


 俺はミーナに別れを告げて、族長のいる家に向かう。朝早いが、あの爺さんなら多分起きてるだろう。てか呼び出しといて寝てたら殺す。


 族長の家、と言っても他の家と変わらない造りなのだが。高床式の木造の家。昔、丸太を切り出して集落総出で造り上げた家らしい。勿論、他の四軒の家も同様だ。俺は何も言わずに扉を開く。




「爺さん、入るぞー」


「ノックをせい!!!」




 言葉と共に鍋やらおたまやらまな板やらがこっちに飛んでくる。白髪を振り乱しながら調理器具を投げ続ける 爺さん、見ていてシュールだ。考えてみて欲しい、80 過ぎの爺さんが白髪バッサバッサさせばがらこっちにものを投げてきているのだ、これなんてホラー?


 てかなんで全部調理器具?


 そんな疑問もどうでもいいように、俺は投げ込まれる調理器具を捕っては地面に置きを繰り返す。




「これは全部調理室に運んどけばいいか?」


「うむ」


「あいよー」




 なんだかんだいつものやり取りだ。いつもノックせずに入り、何かを投げつけられる。武器シリーズが投げられたときは流石に焦ったような記憶がある。いやいや、シャレにならないからね? ナイフだけとかじゃないからね? 斧とか飛んできて焦らない奴とかいるなら出てきて欲しい。





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