OPTIMAL PERSONA その5
少女をホテルのロビーまで連れて行き椅子に座った。
怪我は無さそうだったので一同は安心した。
少女「本当にありがとうございました。助けてもらえなかったらどうなっていたか、考えると怖ろしい・・・」
ヒュ「大丈夫です、僕がいますから!」
エ「少し黙ってくれない?一応安全確認できるまで一緒に行動しましょう」
少女「はい、それじゃお言葉に甘えて」
レ「何かあってからでは遅いですからね」
少女は仕事でこの町へ来ていてホテルに滞在しているらしい。
ここで別れる訳にも行かないのでホテルまで見送ることにした。
少女「あの・・・」
エ「ん?どうした?」
少女「あの、前にどこかでお会いした気がして」
レ「私もなんとなくそんな気がするのですが」
ヒュ「おやおや、レンシーさんナンパですかな?いつ覚えたんですかい?」
レ「そんなんじゃありませんよ、どこかで見た記憶が」
そのような会話をしていると、この少女がいま巷を騒がせている有名人ということを知った。
何やらここ最近有名になり始めたアイドルらしく、色々な町を回ってプロモーション活動しているという。
当然の如くエモ達は知る由もなく、レンシーもどこかのポスターで見たのかもと納得していた。
エ「有名人だと歩いてるだけで大騒ぎみたいだね、色々情報集めしてる時なんて君の事ばかりしか話題がなかったし」
ヒュ「確かに騒ぎたくなる気持ちが分かるね。今にも踊り出しそうだ」
二「やめて、それ以上いけない」
少女「かわいい、モフモフ」
ネコをさすりながら連れて帰りそうな目をしていた。
ニアスの心配そうな目、それは少女に向けられたのではなくネコにであった。
ホテルの前に到着し、これでひとまず安心だということでエモ達も宿へ戻ろうとしたのだが、
少女「あの、もう少し一緒にいてもらえませんか?」
ヒュ「はい喜んでーー!!」
エ「おい黙れ。残るのは問題ないですけども」
レ「そうですね、さっきの事があったからもう少しここにいることにしますか」
ヒュ「そうしようそうしよう」
二「あ、ちょっと待って、カニに餌をやってくるね・・・うぉカニが速い!3倍速い!」
レ「ヒュドラ、カニにあの欠片くっつけたんじゃないんですか?」
ヒュ「な、なんのことですけ?」
二「あー!!あ、でもそんなに早くない」
レ「カニですもんね」
ホテルの一室、少女の心が休まるまで一緒に居る事になった。
流石に襲われた後、すぐには恐怖は消える事はないだろう。
レ「物騒な世の中になってしまいましたね」
エ「目立つ仕事をしていると余計に危険なんだろうね」
ヒュ「愛でる事を知らない可哀そうな奴らだ」
少女「この前も別の子が襲われて逃げる時に怪我したんです、まだ名前さえ知られてない私でもこんな目にあうなんて」
この世に光と影があるように、人の中でも区別されている。
誰しも光には憧れて近づこうとしても近づけない、その悶々とした思いが募り積もって憎悪になってしまう事がある。
逆恨み、自分には無いものは全て憎い、手に入れられないから壊そうとするのだ。
有名人というレッテルが無ければ誰も見向きもしない人間であるのに、たった少しだけの優劣は思っていた以上の代償なのかもしれない。
ヒュ「少し心配だが、ここはエモとニアスに任せて男は出ていくか。その方が安心するだろう。何かあったら連絡してくれ」
レ「そうですね、心配ですけどお願いします」
エ「そんなに心配なら残ってもいいんだよ?」
二「眠い・・・」
少女「しばらくすれば関係者が来ると思うのですが、連絡がまだないです」
レ「教会の方にもこのことは伝えておきますね。それではエモよろしくお願いします」
ヒュ「明日の朝には戻ってくるからな」
ヒュドラとレンシーは出ていき、エモとネコは少女に寄り添った。
少女「あの・・・優しくしてください」
エ「そ、そんなつもりはありませんからね!」
その夜は不気味な色を広くまき散らし、潜む悪意はまだその手に鋭利な刃物を握りしめていた。




