OPTIMAL PERSONA その1
誰の手も届かない所にある存在。
一握りの者だけが得られる栄光。
努力をすれば得られるわけでなく、それは生まれながらもつ光の粒であり育てる事が難しい。
水の量を間違えれば枯れてしまい、うまく咲いたとしても別の花に隠れてしまうだろう。
選ばれた一輪の花は他の花よりも美しく、誰もが振り返る憧れだけでは言い表せない。
しかし、一度咲いた花の命は短く、死んでは生まれ、生まれては死んで。
それでも人々は求め、叫び狂う。
手に入れらず遠くにあるからこそ尊く、身近な存在であるのならそれは幻、手を触れる事は決して無く、それでいて心は近くへ。
いつしかその花は唯一の物ではなくなり、醜く育った花も主張をはじめた。
それが悪という訳ではない、人の価値観と世界が変わってしまったのだ。
埋もれていく尊い花、騒音にかき消され更に幻となりその存在は見つける事が出来なくなっている。
「私を中心に世界が動いている」
自らの目ではそう映るかもしれないが実際はどうだろうか。
それは大きな世界の話ではなく小さな、ごく小さな世界だった。
たとえば自分の部屋の中で、その部屋の住人は好き勝手に行動できる、つまり中心にいて動いているのだ。
一つの町の隣り合った場所だけの世界で咲き誇る事を知らない花は生まれていた。
エモ達一向はブラウン島を出て船に乗り次の町を目指していた。
往復の船路ではなく美術館がある町から少し離れた町へと行く船だ。
ブラウン島は孤島ではあるが色々な航路がありエモが住んでいた場所の近くへ行く船もある。
それはさておき今到着した町はブラウン島よりも大きく賑わっていた。
大きな店大きなホテルと様々な施設が多く、一際目につくのが大きなレストランだった。
この町で一番有名なとても高価なでも一度この地に足を踏み入れたなら入らなければ後悔すると言われている。
レンシー(以下:レ)「露店も出てるし活気がある、人も多いですね」
ヒュドラ(以下:ヒュ)「そうだな、おもしろいものでもあればいいけどな」
エモとニアスは食べ物を物色していた。
ここぞとばかり次から次へと手を伸ばしていった。
いつもならもう少し大人しくしろと諌めるレンシーだが先日の件(第七章)があったので自由にさせている。
だからといってイライラしないはずもなく、眉間に皺を寄せている。
その姿を見て嬉しそうなのがヒュドラであった、他人の不幸は蜜の味とよくいうが、腐れ縁のレンシーが縮こまっているのは面白い。
エモ(以下:エ)「ねぇあそこに人だかりが出来てるよ。何かあるのかな?」
有名なレストランの裏手を少し進んだ場所の見通しのいい屋台のような所、日差しが強いので大きなパラソルが色褪せている。
長い行列は動く気配がなく、ただそこで待ち続けている様に見える
屋台には人が居ない、休憩にでも行っているのだろうか。
レ「少し気になりますね、ちょっと聞いてみましょうか」
レンシーは列の途中にいる適当な人に話しかける。
気だるげにこたえた男はとても興味深い話をした。
一通り聞き終えエモ達の元へ戻ってくると、何やら興奮したように話し出した。
レ「聞いてください、ここの露店では不思議な石を売っているらしいですよ!」
ヒュ「売ってる?石が?どんな?」
エ「それって探してる宝石かな?」
ヒュ「そんなはずはないだろ」
レ「すぐに見つかるようなものではありませんし、別のでしょうね、どんなのでしょうか」
ヒュ「とりあえず教会探して情報得てからでいいだろ、時間かかりそうだし後回しだ」
二「着いたばかりだから疲れた。ニャンちゃんもそう言ってる」
ニアスのネコは港町特有の湿った空気で、今日は特に気温が高いのでぐったりしている。
体力も回復させておかないとヒュドラ達は愚図るかもしれないとレンシーは思った。
レ「それじゃ教会探しましょう。ついでにご飯も食べておきましょうか」




