SACRIFICE その3
あのレンシー改め偽物は無表情のまま歩いてくる。
何とも不気味だ、このまま相手にしていいのだろうか。
レ「アイツをどうにかしましょう」
レンシーは一歩踏み出すがヒュドラが止めた。
ヒュ「もしかしたらお前の兄弟かもしれないぜ?それにお前が行ったらお前が俺で俺がお前で状態になって分からなくなるじゃん」
レ「・・・分かりました。私に兄弟はいないことは知っているはずでしょ?」
ヒュ「知ってるけど、もしもの場合があるだろ」
不毛な言い合いをエモが制止する。今は前の偽物をどうにかしなければいけないのだ。
エモとニアスは偽物の行動を見張って、レンシーは後方で待機、ヒュドラとネコは偽物に注意しつつも辺りを警戒した。
用意周到?いや何も考えていないが昨日の事もある、悪魔っぽいい奴がいつくるとも限らない。
そして、偽物は棍棒を振り上げこちらへ走って来た。
それと同時に赤い炎を纏った鞭がエモに襲う。
エモは持っていた槍でかわすも鞭が絡みついた。
エ「またかよ、取れない」
ここで私の出番だとニアスはカニを投げつけた。
動物強化の魔法でカニのハサミは強力になり鞭の先に食らいつく。
ヒュドラとレンシーエモ達よりも前に出て偽物を対処する。
ヒュ「生きてるか死んでるか知らないけどな、思いっきりやらせてもらうぞ」
見た目がレンシーそのもので、ここぞとばかりのストレス発散も兼ねるヒュドラの魔法は偽物の正面を捉えクリティカルヒットする。
レ「複雑な気分ですが安らかに眠ってください」
レンシーはヒュドラの指示に従い右往左往している。
ブラウン島の司祭は戦いに慣れていないらしく、少し震えながら様子をうかがっていた。
偽物は多少抵抗したものヒュドラのファイアの魔法を受け燃えだした。
何かが弾ける音がし、偽物は土塊となり下がる。
ヒュ「呆気ないものだな、おい、そっちはどうだ?」
カニの活躍により鞭の一部を切り取ることが出来たが、炎の影響でハサミの一部が赤くなってしまった。
エ「よし、とれた。あれ?いいにおいがする!」
二「カ、カニがっ!?」
見るからに美味しそうな色艶、だがこのカニはニアスのペットなので欲求には答えられない。
ブラウン島の司祭(以下:ブラ)「微力ながら加勢します」
そういうとカニのハサミに回復魔法を唱え始めた。
間違ってはいな・・・いる。
非常に緊迫した中でただのカニに回復魔法をかけるとは、この司祭混乱しているようだ。
私は今どのような姿をしているのだろう。
いつしかそのような問いも私を苦しめる言葉が頭の中で囁いてきて覆い隠す。
絶えることなく溢れ出す欲望、抗う術もなく飲み込まれ深く。
手に持つ鞭の柄は手の痕で汚れている。
覚醒する、夜に、月夜だ、満たされていく。
どこまでいっても帰り道など存在しない、目の前にはただ闇、闇。
快楽の始まり、終わりは見える事はないだろう。
その姿は突如エモ達の前に現した。
近づいてきてもその姿は影を重ねたように見え素顔さえ見る事が出来ない。
ただ悪魔と言われる証拠の二本の角、赤い衣をまとっている。
昨日見た奴とは違うのか、それともこれが本来の姿なのか分からない。
鞭を使っているし、あふれ出る妖気は昨日と同じ気がする。
ヒュドラは血の気が引く思いをした。




