SHADOW OF LOVE その2
ヒュドラは教会へ急いでいた。
少なからず司祭ならば何かと役に立つことを知っているからだ。
実際レンシー以上に話の分かる司祭などはいない事は知っている。
だが、こういった事件が起こった場合には頼った方が楽なのだ。
しかし、被害者のあの傷はレンシーが持っていた棍棒で殴られたのだろうか。
だとしたらこの先どうなってしまうのだろうか。
確かにレンシーはおかしなやつだが頼りになる、いなくなったとしたらエモとニアスのお守りは金を貰ってもキツイだろう。
旅にはある種の犠牲が必要である。
それは単にお金かもしれない、見知らぬ場所に飛び込むのだ命の保証など誰もしてはくれない。
俺の命などどうでもいい、けれど今はまだその時じゃない。
スローモーションのように感じていた景色は今では目まぐるしく移り変わっている。
急ぎ過ぎているのか?いや今までが異常だったのだ。
ヒュドラは持てる力を出し教会に到着した。
ヒュ「手を貸してくれ」
教会にて机に向かっていた司祭は状況を察し「分かりました」とヒュドラの後に続いた。
もしかしたらこの司祭レンシーよりも物分かりが良いかもしれない。
だったらレンシーと交換してほしいな、こっちの方がイケメンだし。
でも俺よりイケメンだと困るな、それはないか。
赤く燃え上がる炎が二つ、遠目から見ることが出来た。
所々火の粉を浴び浮かび上がる顔、エモだ。
一つ目の炎は微動だにせず街灯のような役割をしている、もう一つは動き回りエモの動きに合わせ揺らめいている。
動かない炎を持つのは・・・レンシー?
何やっているんだあいつは。
ヒュ「すまない、あの火を持っている司祭の方へいってくれないか」
ブラウン島の司祭(以下:ブラ)「わかりました。任せてください」
聞き訳が良い、チェンジできないかな、そう思う間もなくエモの居る場所へ急いだ。
ヒュ「気を付けてくれ様子が変だから」
ヒュドラは炎とエモの間に入り手助けに入る。
ヒュ「待たせたな、状況を教えろ」
エモ(以下:エ)「遅いよ全く、レンシーは変態で、この人鞭持って襲ってくる」
ヒュ「見れば分かるわ。とりあえずお前は彼とレンシーをどうにかしろ、この女は俺が相手する。ネコ!おい!こっちこい」
鞭を持った女、この世ならざる者か、いや違うな。
顔は闇を纏っていてはっきりとは見えない、これが悪魔というものなのか。
だがそれはどうでもいい、どう打開するかだ。
しかしヒュドラ達が現れ対峙していた悪魔っぽい女は状況を不利と見るや姿を消してしまった。
いつ襲ってくるんだ、ヒュドラの額には汗が滲んでいる、いつもは不真面目だが本当にヤバイ時には冷や汗はでるものだ。
エモはレンシーに近づく、火のついたロウソクを掲げ動こうとはしない。
ブラ「何かに操られているのかもしれませんね」
ブラウン島(今エモ達がいる島の名前)の司祭は左手をレンシーに向け呪文を唱え始めた。
手から放たれるのは光、レンシーの目に映るように少しずつ近づいていく。
エモは槍をレンシーに向けた。
味方だが今は変態だどうなるか分からない。
もしもの時はこの槍で対応しなければいけない。
エモの心は少し動揺している。
ブラ「大丈夫です、任せてください」
レンシーの持つロウソクは燃え続けていが次第に小さくなった。
これは司祭の力なのか?いや違う、ただロウソクの芯がなくなりそうなだけだ。
司祭の放つ光を取り込むレンシー、持っていたロープを放した。
ブラ「もう少しです、頑張ってください。あなたも彼を呼んでください」
エ「レンシー、戻ってきて!」
レンシーの目からは涙が溢れてくる、彼自身も戦っているのだ。
ブラ「もっとです、もっと!」
ヒュドラは気配を探るが何も感じなかったし、ネコも警戒を解き座り込んだ。
ヒュ「おい!そっちは大丈夫か?」
エモ達は聞こえていない様子だったが、エモは涙を流していた。
エ「レンシー!!」
ヒュドラは急いで駆け寄る。
ブラ「もっと!」
エ「レンシー!!」
ヒュドラは回り込んでレンシーの尻を思いっきり蹴っ飛ばした。




