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失われた宝石  作者: 田貫うどん
第七章
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Mortal その4

結局情報は集まらなかった。


エ「もう休もうか」


これ以上聞き込みをしても無駄のようで、日を改めなければ新しい情報は無いだろう。


ニ「あ、カニ捕まえようよ」


ヒュ「やることないし、いいかな」


レ「ない事はないでしょ。もっと情報集めましょうよ」


ヒュ「だって皆知らぬ存ぜぬだし、気分転換したいじゃない。もう聞き込みも飽きたし」


ニ「こっちにいるかもよ」


ヒュ「よっしゃ行こう」


レ「あーちょっと待ってくださいよー」


エ「行くぞ」


三人は駆けだした。

それは風の如く軽やかな足取りだった、レンシーは山のように動かず遅々たる歩みを踏み出す。

いつもこれくらいやる気を出してくれればいいなとレンシーは思う。

私だって何もかも忘れて休みたい気持ちがあるが、司祭という立場でそれは出来る訳がない。

しかし、たまにはいいか・・・いや、こういう時だからこそ緊張感を持たなければいけないのだ。


レ「おや?誰かの視線が・・・?」


レンシーは振り返る。

商店の裏へ隠れる何者かの影を見た。

嫌な予感がする。

調べなければいけない、気持ちは何故か焦っていた。

いつも冷静なレンシーだが、今回はいてもたってもいられず動いた影の方へ歩いていった。

胸騒ぎがする、頭に血が昇る、小刻みに震える体、冷や汗は背中一面濡らしていた。




エモ「レンシー来ないね」


ヒュ「放っておけ、そのうち来るだろ」


ニアス「やっぱりいた。カニいっぱいいるよ!」


ヒュ「磯くせーよ。沢ガニにしない?」


エ「川などない」


ニ「沢ガニ小さいからね、海のカニの方がいいよ」


ヒュ「で、カニ捕まえてどうすんだ?売って金儲けでもするのか?」


基本的にがめついヒュドラもカニを捕まえる事は面倒で、食べて腹でも膨れた方がいいと考えている。

エモもカニを見ておいしそうと呟いている。


ニ「飼う」


ヒュ「いやまて、意味分からない」


ニ「飼って可愛がる」


どうでもいい話、カニの寿命は結構長いらしい。

だからどうしたというのだ、カニなど横にしか歩けないじゃないか!

やはりカニを飼うのは止めさせた方がいい、非常食にはもってこいだが。


エ「カニの甲羅で猫の装備つくれそう」


せいぜい頭にかぶせるくらいしかできないだろう、ハサミはエモのイヤリングにでもしたら似合うかもしれない、それはないか。

ニアスはヒュドラの制止も聞かずカニをいじり出した。


ニ「この子に決めた」


少し小ぶりのそれは茶褐色だった。


ヒュ「それじゃ俺はこれを持って帰るか。宿屋に鍋くらいあるよな?」


ニ「それはダメ、いけない」


エ「私はこれを」


ニ「ちょっと待ってよ、今日だけはカニ食べるの禁止ね」


ヒュ「ニアスよ、昼にカニチャーハン食っただろ、その禁止は矛盾している」


ニ「ナニイッテルカワカラナイヨ」


おーよしよしと磯臭いカニを捕まえご満悦なニアス、ヒュドラは腑に落ちない気がしたがさっさと終わらせて宿屋に行こうと思った。

エモのポケットにカニが二匹無造作に入れてあったことには気づかなかったらしい。


ヒュ「戻るぞ、レンシー来ないから怒ってるんだろうな。おい、もう気が済んだだろ?」


ニ「この子はカニと名付けよう」


安直な名付け方だが、昨今の固有名詞には嫌気がさしているヒュドラであった、何故この親にして子供の名前がクソみたいなのだといつも思っている。

お前は普通の名前で一般的だ、子供はどうだ?猫や犬につけるような名前をしているじゃないか!

それに略称で呼ぶなら最初からその名前つけろってんだ(例:ケンジなのにケンちゃんと呼ぶ、最初からケンと名付けておけ的な)。

個性が云々(うんぬん)っていうのだろう、量産型になるなとは結構な上から目線だ、量産型の方が万能だし、特化というものは需要が無ければ無意味なのだ。

そう考えるヒュドラは魔法使いの特化型である、誰かの支援が無ければ特化型など選ぶべきではないのだ。

ヒュドラの場合はエモの祖父が支援をしてくれたおかげで今の地位がある、詳しいことは機会があれば語るとしよう。


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